Yahoo! JAPAN

県高校総体前特集 バスケットボール男子(5)臼杵 届かなかった勝利に、確かな成長の実感 【大分県】

オー!エス!OITA

写真/オー!エス!OITA SPORTS

 県高校総体の前哨戦と位置付けられる南九州四県対抗バスケットボール選手権(南九対抗)の県予選は柳ケ浦が圧倒した。追随する別府溝部学園、大分舞鶴らも着実に力を付けており、夏の県王者を目指す。約1カ月後の大一番に向けて、実力校の現在地を探った。第5回は敗戦の中に手応えをつかんだ臼杵。県総体での躍進を誓う。

 

 南九対抗の県予選で、臼杵は準々決勝敗退に終わった。4強の壁は厚かったが、準々決勝の大分舞鶴との一戦は最後まで互角の展開。勝敗以上に手応えは大きかったようだ。

 

 試合序盤は臼杵が主導権を握る場面もあったが、第2クオーター(Q)ではわずか4点しか取れず苦しい展開に。第3Qではゾーンプレスが機能し、一時は同点に追いつくなど粘りも見せたが、終盤は相手に試合巧者ぶりを見せつけられ力尽きた。斎藤哲也監督は「ゾーンプレスで追いついたが、最後はショット力の差が出た」と試合を振り返る。「厳しい練習の質が足りない。もっと追い込まないと」とも語り、次の大会へ向けた修正点を明確にした。

 

 チームの中核を担うのが村上葵(3年)と山下大空(同)。中でも山下は、攻守でオールラウンドに活躍する存在だ。斎藤監督は「困ったときは思うようにプレーしていいと言っている」と全幅の信頼を寄せるが、今大会はケガの影響で本来のパフォーマンスを発揮しきれなかった。「県総体ではもっといいコンディションでプレーさせてあげたい」と指揮官は語る。

 

オールラウンダーの山下大空

 

 司令塔としてチームを支える村上は、敗戦の要因を冷静に分析する。「後半に流れをつかめそうな時間帯もあった。でも、自分たちはノーマークのゴール下を落としてしまった。決定力の差が出た」と振り返る。それでも、「ベスト4には入れると確信した」と語る表情には、迷いがない。次こそ勝ち切るという決意が、言葉の端々から伝わってくる。

 

 そして、県高校総体に向けてもう一つの大きなカギとなるのが、長期離脱中のキャプテン丹生啓太(3年)の復帰だ。腰の手術からの回復を目指しており、プレー時間は限られるかもしれないが、存在そのものがチームに与える影響は計り知れない。斎藤監督も「プレー以上に、精神的な支柱として絶対に必要な存在」と語る。

 

 「チーム一丸で、また1から勝つ気持ちでやっていきたい」。村上の言葉通り、今の臼杵には一体感がある。厳しいトーナメントを勝ち抜くには、技術だけでなく、心の強さが求められる。キャプテンの復帰がチームにさらなる結束をもたらせば、臼杵は間違いなく「台風の目」となるだろう。

 

南九対抗県予選の悔しさは県総体で晴らす

 

 

(柚野真也) 

 

【関連記事】

おすすめの記事