中和田幼稚園 「閉園後の活用に感謝」 園の備品を市内外に寄贈
上鶴間本町の中和田幼稚園が3月31日に閉園した。同園の遊具や机・椅子などの備品は現在、市内外で譲り受けられている。同園の園長を務めた齋藤淑子さんは「閉園後も皆さんに使っていただき感謝しかない」と語る。
同園は1966年4月、創立者の願いであった仏教の教えのもと、「自立と慈悲深い心、思いやりと感謝の心を忘れずに」をモットーに、明るく健やかな仏教情操教育による園児の育成に力を注いできた。
レクリエーションでは特にサッカーが盛んで、約40年間、専門の講師を招いて親しんできた。1989年に園舎を建て替えたときは、サッカー用に縦長の園庭に。サッカーゴールも設置した。
少子化や認定こども園のニーズの高まりなど、子育て環境の変化の波を受けて3年前に閉園が決定。このたび7人の園児を送り出し、3月末をもって59年間の歴史に幕を閉じた。
譲り先の卒園式で演奏
閉園により、昨年11月に卒園生やその保護者に向けた同窓会を開催。アルバム写真や絵本や玩具などを展示し、希望者に譲ることを呼び掛けた。
当日は200人近くが同園に集合。齋藤さんは「アルバムを見て『これ私』と盛り上がったりして。成長して顔が分からなくても、名前を聞けばやはり思い出しますね」と振り返る。
一方でサッカー大会に出場した記念写真、園児椅子・机約200セット、サッカーゴール、放送機器など、園内の備品は卒園生や地域の自治会館、子どもセンターなどの希望者に譲った。
またグランドピアノや白象の置物などは横浜市にある仏教系保育園へ寄贈。品物が到着した2日後の卒園式で使用されたという。齋藤さんは「その園は高台にあるとてもいい場所。安心した」と安堵の表情を見せる。
さらに園庭にあった遊具は伊勢原市の大乗山養国院の境内へ。同寺院の宇都宮昌徳住職が同園の理事長を務めていたことが縁だった。
閉園にあたり、遊具が廃棄処分されることを知った同園最後の卒園生7人の園児や保護者らから、「思い出がたくさん詰まった遊具がなくなってしまうのが寂しい」と処分を惜しむ声が上がったという。それを受けて宇都宮住職は「子どもたちの思いを少しでもかなえられるなら」と同寺院で引き取りを決意。宇都宮住職は「寺は敷居が高いと思われがちなので、気軽に遊びに来てほしい。お寺の存在を知ってもらえたらありがたい」と思いを話す。
齋藤さんは「伊勢原の地で、新たに地域の方に利用していただけるのは嬉しい」とし、「閉園後も皆さんに活用してもらえるのはありがたい。支えてくれた皆さんに感謝しかない」と語った。