50年前のレシピを受け継ぐ“今風”な「sakaeスペシャル焼き」 神戸市
みなさんは、訪れる前と訪れた後で印象の変わったお店はありますか?
昨年10月、須磨にオープンした『sakae(さかえ)』は、豊富なメニューと広々とした店内が特徴の鉄板焼き屋さんです。
独創的なメニューのお好み焼きがあるほか、カフェタイムもある“新しい発想のお店”・・・だと思っていましたが、取材を進めるうちに意外なお話を聴くことができました。
「いらっしゃいませ」と朗らかに迎えてくれるのは、オーナーの平山さん。“まるでカフェ”な店内の理由を聞いてみると、「お好み焼き屋さんでコーヒーが飲めるところってあまりないですよね。ご飯を食べた後ゆっくりお茶もできる場所にしたかったんです」とのこと。
同店は昼夜の営業意外に、「モーニングタイム」と「カフェタイム」があります。自家製パンを使った「鉄板焼きトースト」も好評だそう。
小鉢やスープの付くお得なランチメニューもありますが、今回はInstagramで見て気になっていた「sakaeスペシャル焼き」をいただくことにしました。なんでも若者に大人気なのだとか。
目の前の鉄板で焼き上げられてゆくお好み焼き。こちら、真ん中に入っているのはなんとカレー!カレーは手作りで、溢れ出ないようにじゃがいもを潰して固めに仕上げているそうです。たっぷりの豚肉でフタをして・・・
生地を集めてくるりとひっくり返すと
ふんわりまんまるな形に。そこにソース&マヨネーズをかけたら今度はお餅のトッピング!真ん中に卵を落として、たっぷりのチーズをオン。
おおお、たまらない。好きなもの全部集めました♪という感じ。
チーズが溶けて、青のりを振ったら完成です!
カットすると、半熟卵がトロ〜リ。熱々をすぐにいただきます。
出汁の効いたふわっふわの生地に歯応えの残るキャベツ。それだけでも十分美味しいのですが、そこにカレー&チーズ!カレーの味が強いのかなと思ったらそんなことはなく、全体がうまく調和しています。
「重すぎませんか?大丈夫ですか(笑)」と気にしてくれる平山さん。全然!確かに味が濃いものが集まっているのですが、食べた後がしつこくなく、後に残らない感じです。
「なんでこの組み合わせのお好み焼きを作ろうと思われたのですか?」と尋ねてみると、「実は、50年ほど前からあったんです」とのお答え。
え!50年前?!
『さかえ』は約40年間垂水で営業していた、歴史あるお好み焼き屋さんでした。お母さんが創業し、途中からは平山さんが引き継いで営業していましたが、閉店。この度15年の時を経て、須磨の地にオープンしたのだそうです。
同店のお好み焼きのレシピは、その時代のものを継承。この“今風”のスペシャル焼きも、今は亡きお母さん考案なのだそうです。
この味が50年前にあったなんてびっくり!よくよく聴くと、お好み焼きの生地も、一から出汁をとり、発酵させるために一晩寝かすなどかなりの手間がかけられています。もちろんこちらもお母さんのレシピ。
ほかにもキャベツは手切り、豚肉や牛すじは地元の肉屋から仕入れる良質なもの、ソースは専門店によるスペシャルブレンドであるなど、細部にまでこだわりが詰まっています。
“今風”の新店だと思って訪れてみると、そこには数十年に渡って受け継がれたものを大事に守り続ける温かい思いと歴史がありました。「良いものを美味しく食べてもらいたい」という誠実な思いは、きっと新たなお店でも多くの人に伝わり、長く愛され続けることでしょう。
場所
sakae
(神戸市須磨区須磨浦通6-4-11 須磨浦ビラー1F・2F)
営業時間
モーニング:8:00~11:00
ランチ:11:00~14:00
カフェ:14:00~17:00
ディナー:17:00~L.O.20:00
定休日
不定休 ※公式Instagramにてお知らせあり
駐車場
店舗前にコインパーキングあり