MISS MERCY、新時代を感じさせる女性ダンスボーカルグループが語るこれまでとこれから
MISS MERCYは「GIRLS NEW ERA」(新時代の女の子たち)をコンセプトに 2018年からプロジェクトが始動、およそ4年間にわたるボーカル・ダンスレッスンを経て2022年3月にデビューした女性7人組ダンスボーカルグループ。通算10枚目となるシングル「AISHITE」を11月20日(水)より各音楽配信サービスにてデジタルリリース、12月21日(土)には4thワンマンライブを開催する彼女たちのこれまでとこれから、その胸の内にせまる。
――自己紹介代わりに、最近自分が成長したと思うことをRINAさんから順に話してもらえますか。
RINA:最近、成長したなって思うのは、前よりもメンバーにわがままを言えるようになったことです。
――それはどういうことですか?
RINA:最近特に仲よくなってきたというか、絆が強くなってきたなっていうのをより感じていて、お互いに思ってることを言い合ってひとつのものを作っている感覚が最近あるなって。だから、これからも自分の意見をしっかり伝えて、相手の意見もしっかり聞いて、MISS MERCYをもっと高めていきたいと思えるようになりました。
SARA:私は、ライブ中にお客さんとコミュニケーションを取れるようになったことです。最近はパフォーマンス中に余裕が出てきて、お客さんが手を振ってくれたら振り返したり、アイコンタクトでコミュニケーションを取ったりできるようになってきたと思います。
ION:私は今、歌をメインでやらせてもらっているんですけど、前よりも歌割りのパートが増えて、周りからも「歌声が安定してきたね」って言ってもらえるようになって、自分でも少しは成長したのかなって思ってます。
YUKI:私が成長したと思うのは……みんなが話している内容に比べてレベルが低いかもしれないですけど、東京に慣れてきたことが私の中では大きくて。私の地元は静岡なんですけど、前まではすぐに実家に帰りたくなっていたんです。でも、今はみんなといるのがすごく楽しいし、さっきRINAが言ってくれたように素直に思ってることを言い合えるような関係になったことで居心地がすごくよくなって。なので、このまま12月21日にある4thワンマンライブに向けて、もっと絆を深めて、お互いを高め合っていけるようになりたいなって思ってます。
COCONA:私が成長したと思うのは、音域を広げられたことです。私は高音のパートを任されることが多くて、そういうパートを任せていただくからにはもっと音域を広くしないとダメだと思ったので、高音が得意な歌手の方の歌を聴いて練習したことで、高音を安定して出せるようになってきました。最近はホイッスルボイスを練習していて、いつか披露できるように練習しています。
――それは自分で練習しているんですか?
COCONA:はい、家でクッションを口元に当てて、近所迷惑にならないように練習してます(笑)。
MIYU:私は初期に比べて緊張しにくくなりました。昔はイベントのリハーサルでもすごく緊張していたんですけど、今では程よい緊張感を持ちながらパフォーマンスができてると感じています。
――それは何かきっかけがあったんですか?
MIYU:ばすう(場数)、っていうんですか?
YUKI:ばかずばかず。
MIYU:場数を踏んだことが一番大きいと思います(笑)。
――今、それぞれの成長ポイントを聞いていて何か思ったことはありますか?
YUKI:SARAちゃんのファンサは、ライブ撮影可能タイムにお客さんに撮っていただいた写真を見ると、すごく上手なことがよくわかります。
MIYU:そう、ハートしてたりね。
YUKI:だから、きっとお客さんは心を打ち抜かれてるだろうなって。最近のSARAちゃんはめちゃめちゃステージを楽しんでるなって思います。
――ほかには何かありますか?
RINA:私は宮城県出身なんですけど、事務所の宿舎でYUKIちゃんと2人でよく泣きながら「帰りたいね」って話してたので、その頃に比べるとYUKIちゃんは本当に変わったと思います。
YUKI:だよね(笑)。年齢もあるのかな。
――みなさんは元々、歌手を目指してスタダに入ったんですか?
SARA:元々ちょっと興味があって、事務所に入ったときにMISS MERCYのお話をいただいてって感じでしたけど、私にとってはすごい挑戦でした。
ION:最初はレッスンについていけるか本当に不安だったし、ダンスや歌はこれまで本当に手をつけたことがない領域だったんですけど、「自分にもできるかな?」「ちょっとやってみたいな」みたいなワクワクがどんどん大きくなって参加することにしました。
YUKI:私もそうです。同年代の子たちが学校と両立しながら頑張ったり、キラキラしてる姿を見て、「あ、私もキラキラなりたい!」って(笑)。だから、私もワクワクが大きかったです。実際に入ってみたら不安が大きくなったし、「ついていけない!」って思ったけど。
RINA:私は元々、踊りを見ることは好きだったんですけど、こういうグループをつくろうと思ってるんですって誘われたときは、「え、踊るのも歌うのも難しいな」と思って。というのも、私の地元の仙台市はカラオケが禁止だったんですよ。
――え?
RINA:中学生まではカラオケに行っちゃダメで、プリクラもダメなんです。その話をいただいたときはまだ中学生で、歌を歌って楽しむという経験がなかったので、人前で歌うことに関しては楽しむどころの話じゃなかったんです。だから、最初はメンバーやお客さんに自分の歌を聴かれることにすごく抵抗がありました。
――そこから約4年間にわたってみなさんはレッスンを重ねてきたわけですけど、デビューまでに4年というのは準備期間としてはけっこう長いですよね。
ION:たしかに長いんですけど、私的には一瞬で。それは多分、今も含めてずっと楽しかったからで、4年もやってきたっていう感覚はあんまりないですね。
MIYU:私もです。気づいたら年取ってて……。
――年取ってて(笑)。
MIYU:ああ、「年取ってて」じゃなくて!(笑)でも、楽しかったし、課題もたくさんあったので、一生懸命取り組んでいるうちに気づいたら……歳を重ねてました(笑)。
――でも、10代にとっての4年ってめちゃめちゃ長いですよね。
RINA:意外とあっという間だったな。
――学校の一学期とかめちゃめちゃ長いじゃないですか。
RINA:長いですぅ!
ION:学校は長い。
RINA:中学生は長かった。中学の夏休みにMISS MERCYの強化期間みたいなものがあったんですよ。午前中から夜までずっとレッスン、みたいな。しかも泊まりがけでやってたから毎日ヘトヘトになって。
YUKI:それとは別に課題もやらなきゃいけないし。
RINA:そう、YUKIちゃんと一緒に課題をやりながら、「長いな……いつまでこれが続くんだろう……」ってめっちゃ頑張ってました。
――部活の合宿が延々続いてる、みたいな感じですよね。
RINA:本当に毎日だったからね。逆に、みんなと会わないことのほうが珍しかったです。
YUKI:家族と一緒にいる時間よりも長い。
――じゃあ、誰か1人いなかったら、「あれ? あの子、どうしたの?」みたいな。
YUKI:今日もSHUKAがいないからそれは感じるよね。SHUKAはすごくおしゃべりだから。
MIYU:ずっと話してるもんね。
――1人いないだけで空気が変わる。
YUKI:特に、SHUKAは(笑)。
RINA:SHUKAはグループに一番最後に入ってきたんですけど、そこからグループとしての何かが大きく変わったなって。私たちはSARA以外ダンスを経験したことなくて、どうやって練習すればいいんだろう?って。そんな迷走期間にSHUKAが入ってきてくれたんです。SHUKAは何年もダンスをやってて、ああしたほうがいいと思う、こうしたほうがいいと思うって引っ張ってくれたので、そこで道が開けたと思います。
――まだ見ぬSHUKAさんのイメージがどんどん膨らんでいきます(笑)。その4年間、不安になることは多かったでしょうね。
RINA:歌とかダンスはもちろん不安だったし、その頃も仲はよかったけど、今ほど自分の意見を言えるような感じではなくて。
YUKI:誰か1人が「じゃあ、こうしようか」って言ったら、「うん、そうしよう!」って。
MIYU:誰も反対しない!(笑)
YUKI:みんな、思ってることはあったと思うんですけど。
RINA:でも、何年もやっていくうちに、ただ人の意見についていくんじゃなくて、自分はこうしていきたいっていう軸がメンバーそれぞれにできてきたのをすごく感じます。
――技術面だけではなく、人間として成長する時間でもあったんですね。4年の準備期間が終了して、自分たちに変化は感じられましたか?
MIYU:それぞれ変わったし成長したと思います。内面もそうだし、技術面も。
YUKI:確かに、今は「こういうところを自分の強みにしていきたい」みたいに明確な思いがどんどん出てきて、メンバー個々もだし、グループとしても全体的に底上げされてる感じがします。
――そして、MISS MERCYは2022年3月にデビューを果たしました。楽曲をリリースするごとに音楽の幅が徐々に広がっていると思うんですけど、MISS MERCYの楽曲についてみなさんはどう説明しますか。
SARA:曲を出すたびに毎回違う一面をお見せできてると感じています。
――僕が初めてMISS MERCYの音楽を聴いたときはK-POPの影響下にあるグループなのかなと思ったんですけど、モロにユーロビートな「UNSTOPPABLE」を聴いたときに「これは違うぞ」と。でも、そこには一本の筋が通ってるようにも感じるんですよね。決してバラバラなことをやってるわけじゃないというか。
RINA:どの曲でも女性の強さを出したいと思っていて。人から憧れられるような人間でありたいからこそ、グループとして、人として、「この人、素敵だな」って思ってもらえるような、カッコよさを出したいと思ってるので、表情の作り方とかについてみんなとよく話し合ったりしてます。毎回、「この歌詞はこうだからこうしてみよう」って表情の解釈が始まって。
――表情の解釈?
RINA:歌詞がこうなってるからここはあまり笑わないようにしよう、とか。あと、サビに同じ歌詞があるときも、1番、2番、3番で全部違う表情だと思う、とか。それは曲ごとに話し合ったりします。新曲「AISHITE」もそうですね。
――では、「AISHITE」の表情の解釈を教えてもらえますか?
RINA:「AISHITE」だとどこだろう……たとえば、サビはめっちゃ笑う。
YUKI:「もう、自分がかわいい!」みたいな。
ION:そうだね、自己肯定感が上がる歌詞で、コンプレックスなんて関係なく自分を愛してほしいっていう曲だから、それを伝える自分たちも自分のことを愛さなきゃっていう気持ちを込めて、思いっきり笑うパートを作ってます。
YUKI:ありのままの姿でいいっていうことを強調してる曲だもんね。あと、最初の1人ずつ歌っていくところで、歌っている人がより目立つように周りにいるメンバーはマネキンのような表情をしたり、歌ってない人の表情も重要です。
――ちなみに、「AISHITE」の歌詞のイメージに一番近いメンバーは誰ですか?
全員:せーのーで!(とCOCONA以外の全員がCOCONAを指差す)
ION:あ、やっぱり。
COCONA:私だ……! えー! なんでー!?
SARA:“COCONAワールド”があるっていうか。
RINA:COCONAはいい意味で周りにあまり惑わされず、自分の意見をしっかり貫いてくれるメンバーなんですよ。今まで私たちのグループって周りに引っ張られがちというか、人の意見についていっちゃうようなところがあって、直したいと思う部分だったんですけど、COCONAは特に意識をしなくても自分の軸がしっかりあるなって。それがすごくカッコいいってずっと思っていたので、COCONAのそういう部分がこの曲にも合ってると思います。
COCONA:でも、人と比べることは自分の成長につながるけど、一番大事なのは自分自身だから、自分の大事なところは常に忘れないようにしようっていつも思ってます。
――「AISHITE」のダンスについてお聞きしたいんですけど、中盤のラップパートでビートが変わるじゃないですか。ここでダンスはどう変化するんですか。
COCONA:ラップパートは一気にダンスの感じが変わるよね。ヒップホップ!って感じ。足のステップがけっこう入ってたり、 腕も強く使ったり、そういう振りが多くて。
YUKI:たしかに、サビは上半身のシルエットがすごく重要だけど、ラップパートは下半身に重心を置く感じで、ズドンと地に足がついてる感じがあると思う。そこでSHUKAが前に出てきてラップをかましてくれて。
COCONA:めっちゃカッコいいよね。「SHUKA、キター!」って感じ。(別現場で遅れていたSHUKAがここで登場)
SHUKA:遅れてすみません!!! SHUKAです! よろしくお願いします!
――今日はインタビューの冒頭で、最近自分が成長したなと思うところを話してもらったので、SHUKAさんもお願いします。
SHUKA:MISS MERCYのギャルダンス番長、SHUKAでーす!
――……みなさんが言ってたように、確かにこれは場の空気が変わりますね(笑)。SHUKAさんが来るまで、みなさん「SHUKAはすごい」って言ってたんですよ。
SHUKA:そうなんですか! えーと、自分が成長したなと感じたのは、「Welcome To the Show」(今年7月にリリースされたEP『Turn Up』の1曲目)のときは自分の中で100出し切ってダンスをしてしまっていたんですけど、「AISHITE」は「Welcome To the Show」みたいに強くない分、曲に合わせて踊れるようになったというか。最初の頃は、楽曲に合わせて自分の踊りを見せることが難しくて、「Cinderella」(デビュー曲)のときは特に。それで、みんなで勉強したんですよ。
YUKI:昔はずっとダンサーさんの踊り方だったけど、アーティストとしての踊り方になったんだよね。
SHUKA:そう! 私は14年ダンスをやってるから遅いのかもだけど、アーティストとしての見せ方をやっと掴めてきたのを感じます。
――ダンサーとアーティストのダンスの違いをもう少し説明してもらえますか?
SHUKA:ダンサーさんは個性を体で表現するんです。でも、アーティストさん、特にグループになると揃え具合も大事じゃないですか。そうなると個性を出せるところは表情とか一つひとつの仕草になってくると思うんです。ダンサーさんは体全体で表現するし、表情は踊ってるときの感情がそのまま出るんですけど、私たちはその楽曲に合わせた踊り方…… 例えば「Gravity」みたいなメロウな曲調だったら、キレというよりもしなやかさというか、流れるような見せ方をするというか。
――MISS MERCYはアイドルグループと対バンすることも多いと思うんですけど、MISS MERCYと似たようなグループがいないだけにそういう場で自分たちの異質さを感じたりしませんか。
MIYU:感じるかもしれない。 今まで一緒にイベントに出てくださったり、フェスとかで見る方々の衣装はけっこうフリフリだったり、かわいい感じのものが多いんですけど、私たちは今回もデニムを使った衣装だし、Y2Kみたいにちょっとイカつかったりして。
YUKI:でも、その中でもMIYUはリボンをつけたり、個性はあるよね。
COCONA:確かに。かわいさとカッコよさの融合みたいな感じがある。
RINA:パフォーマンス面でも、「これ、かわいくしすぎないほうがよくない?」とか、「これはもう、バチバチにカッコよくしよう」とか、イベントごとにかわいさとカッコよさの割合は変えてます。
――セトリはメンバーで決めてるんですか。
SHUKA:はい、決めてます。気付いたら自分たちで決めるようになってました。
――これからどんな曲を歌っていきたいですか?
COCONA:それはすごいいっぱいあるよね。カッコよさを極めた笑顔も一切見せないような曲を歌ってみたいです。攻めた歌詞がいいな。自己肯定感を爆上げしてくれるような。
YUKI:さらに?(笑) 今も自己肯定感上げる曲が揃ってるけど。
COCONA:うん、もっともっと!
――MISS MERCYは強さを歌っていきたいグループなんですね。
COCONA:(即答で)そうですね。
――弱いところは見せたくない?
RINA:弱いところも肯定しつつ、それも強みなんだよって背中を押してあげられるような人になりたいなって思ってます。今回も、コンプレックスはそれぞれあるけど、それもその人らしさなんだよって肯定してあげたいなって思ってます。
――12月21日には4thワンマンライブがシティホール&ギャラリー五反田にて開催されますが、今回は1部と2部で内容が違うそうですね。
COCONA:今回、2部はAfter Partyです。初めてだよね?
YUKI:これまでは1部も2部も1時間半ぐらいずっと歌って踊ってたからね。
RINA:今年1月にあった2ndワンマンライブが終わったあと、「カケルMERCY」というイベントでいろんなアーティストさんとコラボしたんですけど、そのアーティストさんたちから学んだことを8月にある3rdワンマンライブに活かそうっていうコンセプトだったんです。で、3rdワンマンのあとは、「fullmoon MERCY」というトークイベントを開催することでトーク力を磨いたので、それを今回の4thに活かしたいなって。
――じゃあ、1部と2部、どちらを観ても楽しめるという。
全員:はい!
―― そして、両方観ないともったいない。
MIYU:もったいないね!
YUKI:1部を観た人はAfter Partyも来ないと。
COCONA:1部に来てくださる方はぜひ2部でも一緒に盛り上げてもらえたらうれしいです。
――来年以降、MISS MERCYはどうなっていきたいですか?
RINA:今は関東でイベントを行うのが中心で、大阪でライブをさせてもらうことも多いんですけど、来年はそういう機会をもっと増やしていきたいし、海外でもライブができるようになることを目指してみんなで頑張っていきたいです。
YUKI:そのためには、歌、ダンス、トーク、ビジュアル!
COCONA:英語もしゃべれるようにならないと!
全員:ああ~っ!
取材・文=阿刀"DA"大志 撮影=大塚秀美