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<春季高校野球静岡県大会>日大三島vs掛川西、2時間47分の激闘 サヨナラ決めた殊勲打は三塁コーチ

アットエス

サヨナラ勝ちを決め、喜ぶ日大三島ナイン

春季高校野球静岡県大会3回戦で実現した日大三島vs掛川西。何かと〝縁〟のある2チームの対決はとにかく勝負がもつれる。昨夏の4回戦、2022年夏の準決勝とも1点差ゲーム。4月26日に磐田球場で行われた3回戦も互いに譲らず、取られたら取り返すシーソーゲームとなり、2時間47分の熱闘の末、日大三島が5―4、サヨナラ勝ちで決着を付けた。

掛川西  000 210 010 =4
日大三島 100 010 111x=5
(掛)杉崎、加藤―佐藤
(日)小川―桐島

忘れられない夏の敗戦

前回の対戦が昨夏・静岡大会4回戦。掛川西が3―2で勝利し、この一戦で勢いを加速させて26年ぶりの夏の甲子園切符を手にした。

日大三島はこの試合11残塁。九回裏、1死満塁のサヨナラ機にもあと1打が出なかった。三回途中からロングリリーフしたのが現エースの小川秋月投手。「あの夏のことは忘れたことはない。あの夏の1本、あそこで抑えていれば、それだけを考えてやってきた」。1点の重みを痛感した試合だった。

エースが見せた精神的成長

力投する日大三島のエース小川秋月

今春の小川投手は決して万全ではない。永田裕治監督も「ようやく復活の兆しが見えてきたくらい。完全じゃない」と話す。県大会予選では上位決定戦での2イニングのみ。先発は県大会からで、この日も入りは硬さがあり、状態を確かめながらの投球だった。

ただ、精神面での成長をうかがわせた。

試合後の小川投手は「野手が本当に助けてくれた。打たれたのは自分の甘さであり実力。打たれても最少(失点)で切れたので出来は80点くらい」と冷静に分析。

ピンチを切り抜け、ガッツポーズをする小川

不調を経験し、我慢を覚えた。試合終盤は相次ぐ選手交代で守備の連係が乱れ、味方の失策でピンチを背負った。「起こったことはしょうがない。もう一回打たせるよ」とミスのあった選手に自ら声をかけた。「去年の夏に負けて学んだ。夏は気持ちだけ前に出て空回りしていた。今は周りに声をかけて冷静になれるようになった」

殊勲打は三塁コーチ

小川投手の力投に野手が応えた。九回、敵失に乗じて無死満塁の場面で打席に立ったのは、別當(べっとう)和侑選手。三塁コーチを務める背番号18は、八回に左翼の守備固めで出場し、そのまま九回に打席が巡ってきた。永田監督は「別當にはバッティング練習させてなかったので、調子のいい選手を代打に出すことも考えた。ただ、一番努力している子だから、いけるんじゃないかと思って」と、そのまま打席に送った。

九回に殊勲打を放った別當和侑(左)

別當選手は「いつも厳しい監督から『思い切りいけ』と言われて元気が出た。夏に1回負けているので、何としても勝たないといけないという気持ちだった。小川のいいピッチングに応えたかった」。力強く振り抜いた打球は相手左翼手の前にポトリと落ちた。「小川からナイスバッティングと言われました」と照れ笑い。

公式戦を控えた時期は、打撃練習はスタメンが中心。フリー打撃の時間は守備に入り、シート打撃の際は三塁コーチとしての感覚を磨いた。自身の打撃は自主練習でカバーしてきたという。

実は小川投手と別當選手は寮で同部屋。小川投手は「別當は真面目でしっかりしていて、規律正しい生活を背中で見せてくれている。普段から助けられているんです。打ってくれてうれしかった」と、仲間の存在を心強く感じていた。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)

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