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三条の町はずれにある住宅街のスーパー「フレッシュ梅津」の奮闘。

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三条の町はずれにある住宅街のスーパー「フレッシュ梅津」の奮闘。

コロナ禍を機にネットショップが充実したり移動販売が増えたりして、世の中の消費スタイルにも大きな変化がありました。そんななか、40年間「地元の冷蔵庫」として営業を続けるスーパーマーケットが三条市にあります。その名も「フレッシュ梅津」。今回は副店長の梅津さんからお話を聞いてきました。

フレッシュ梅津

梅津 貴史 Takafumi Umezu

1982年三条市生まれ。他のスーパーに勤めた後、2019年より家業の「フレッシュ梅津」に就業。現在は副店長を務める。ディズニー好きでディズニーリゾートへよく行く。お気に入りのアトラクションは「ソアリン」。

スーパーマーケットを取り巻く、厳しい環境の変化。

——まずは「フレッシュ梅津」の歴史を教えてください。

梅津さん:祖父母がリヤカーを引っ張って、食料品の行商をしていたのがはじまりです。それから青果や生活雑貨を扱う商店を始め、父の代の1988年にここへ移転してスーパーマーケットに変わりました。

——個人経営のスーパーマーケットが次々と廃業していくなかで、40年間も続いているのはすごいことだと思います。

梅津さん:スーパーマーケットになってから15年間は順調だったんですけど、高齢者の多い地域だったので地元の人口がどんどん減少していったんですよ。世の中が不景気になって主婦もパートへ出るようになると、地元で買い物をしなくなっていきました。

——なるほど。

梅津さん:さらにコロナ禍以降は消費スタイルも変わってしまって、ネット販売や移動販売が主流になっていきました。それにドラッグストアでも生鮮食品を販売するようになったんですよ。スーパーマーケットには厳しい時代だと思いますね。

——そんな状況のなかでも、長くお店を続けてこられたわけですね。梅津さんは昔から「フレッシュ梅津」を継ごうと思っていたんですか?

梅津さん:家業のスーパーマーケットは継ごうと思っていなかったんですけど、よそのスーパーマーケットでは働いていたんです(笑)

——ええっ、修業という意味ではなく?(笑)

梅津さん:そうなんですよ(笑)。でも接客業は好きだったから、家業の影響は受けていたのかもしれませんね。

——それなのに「フレッシュ梅津」で働くことになったのはどうしてなんですか?

梅津さん:父が体調を崩したので、5年前から店を手伝うことになったんです。前に勤めていたスーパーと同様に、鮮魚と青果を主に担当しています。

小さいお店だから、できること。

——スーパーマーケットを取り巻く環境も厳しそうですけど、乗り切るために心掛けていることがあったら教えてください。

梅津さん:お店の個性を大切にすることでしょうか。知り合いの生産者から直接仕入れた鮮度のいい青果を並べているので、お手頃価格の新鮮な野菜や果物が自慢です。お惣菜にも力を入れていて、よそのお店にはないような商品を出すようにしています。

——例えばどんな商品ですか?

梅津さん:珍しい具材を使って、しっかりと握らずに作っている「おにぎらず」は、おにぎりと違ってお米の食感がふわっとしていて人気ですね。あと、カレールーを使わずにスパイスだけで作った「黄色いカレー」もときどき販売しています。料理の得意な妻が考えてくれるんです。

——確かによそでは見かけない商品ですね。他にも商品で工夫していることがあったら教えてください。

梅津さん:できるだけ大手スーパーでは手に入らないような商品を置くようにしているんです。例えば長岡市栃尾の「佐藤豆腐店」さんから取り寄せた栃尾油揚げとか、同じく「星長豆腐店」さんのおぼろ豆腐とか……。「水戸の梅」や「お福餅」のような県外からのお取り寄せ商品も販売しています。

——仕入れで工夫をしているわけですね。

梅津さん:そうなんです。そうした商品も含め、インスタグラムやXなどのSNSを使って紹介しています。いい魚が入った時には、お刺身に卸す前に元の姿を投稿しているんです。毎日更新するように頑張っているので、フォロワーも増えて市外から来てくれるお客様もいますよ。「毎日、楽しい情報をありがとう」なんて言っていただけると嬉しいですね。

——SNSでコミュニケーションが取れると、お店を身近に感じられますよね。

梅津さん:SNS上だけではなくて、店での身近な距離感も強みなのかもしれません。わからないことがあったら聞いていただければ、なんでもバンバンお答えしますよ。店が広くないことも、考えようによってはメリットになるんですよ(笑)

——それはどうしてなのでしょうか?

梅津さん:高齢のお客様でも買い物をしていて疲れない規模感なんです。大きなお店で買い忘れをすると長い距離を戻らなければならないんですが、うちなんてすぐそこですから(笑)

——そういう考え方もあるんですね(笑)

梅津さん:「小さい店だからできること」ってあると思うんです。例えば出張販売。今も学校や施設への出張販売を行っているんですよ。近くにお店がなくて買い物に困っているような地域や、忙しくてスタッフが買い物できない病院の皆さんの助けになればと思っています。

——他にも、これからやってみたいことはありますか?

梅津さん:いろいろなイベントで商品を販売して、三条にもこんな面白い店があるんだということをアピールしたいですね。これからも、地元の皆様の冷蔵庫として利用していただけたら嬉しいです。

フレッシュ梅津

三条市井栗1-34-43

0256-38-5035

9:30-20:00

無休

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