ユニティワールドで「世界一」 高齢者施設勤務・沢井利江さん
勝田町の高齢者グループホーム「横浜ゆうゆう」に勤務する沢井利江さん(42)が「美しさを社会の活力に」を理念にインドで開催された「ユニティワールド世界大会2024」のミズ部門で世界一に輝いた。沢井さんは「支えてくれたすべての人に感謝したい」と喜びを語った。
大会は、外見だけでなく「知性」「人間性」「タレント性」など個性を「美しさ」と捉え、美しさを社会の資産として活かし、世界平和や文化交流の促進など、社会にポジティブな影響をもたらすことが出来る女性を選出している。
沢井さんは、2月に合同会社セイントビューティーインターナショナルが主催する日本大会でグランプリとなり世界大会に出場。世界各国から選ばれた29人の中から世界一に選ばれた。
きっかけはコロナ禍
介護施設で働くほかシンガーソングライター、ボイストレーナーとしても活躍している沢井さん。ビューティコンテスト出場は2022年。コロナ禍で音楽活動が制限された中で、「自身の活動や挑戦する姿をファンに届ける方法」として、思いついたアイデアだった。「ミスジャパンの年齢制限がなくなったのを知り、気軽な気持ちで」応募。北海道出身の沢井さんは「ミス北海道」に選ばれた。23年には「グローバルユニティ」の日本大会でも好成績を収め、今回の「ユニティワールド」では日本代表を目指し、ウォーキングなどのレッスンを継続してきた。
世界大会では、持ち前の歌唱力などを生かし、クイーンのほか、「ベストタレント」「ベストナショナルコスチューム」など4部門の特別賞を受賞。5冠に輝いた。
家族介護の難しさ
20代前半からアーティストとして活躍していた沢井さんが、介護の現場で働き始めたのは約10年ほど前。認知症を患った祖母を母と2人で在宅介護した経験がきっかけだった。
在宅介護時、身体は元気な祖母は、夜間徘徊や暴力なども激しく、母娘共に疲弊していたという。体力の衰えや症状の進行もあり、祖母が施設に入所すると、沢井さんは慰問ライブを買って出た。アーティストの広瀬香美さんや原正行さんから指導を受けていた沢井さんは、施設利用者の心肺機能や嚥下機能の低下抑制に役立てば、と一緒に発声したり、歌ったりもした。残念ながら祖母は亡くなったが、介護の経験や慰問ライブをきっかけに介護の現場への興味が湧き、介護現場へ。
沢井さんは自身の経験も踏まえ「要介護者を抱える家族は施設入所に負い目を感じている人が多い」と話す。「気持ちは理解できるが、施設に入所することで穏やかになる人もいるし、家族の絆も深まると思う。親族間の介護の難しさを知っているので、そんな家族の負担を減らしたい」と思いを語る。沢井さんは22年に介護福祉士の資格も取得している。
沢井さんは今後、世界大会のクイーンとして、チャリティ活動や国際交流など、精力的に活動していく予定。「介護福祉士として、音楽家として、そして世界大会のグランプリとして、社会に貢献できるよう、さまざまなことに挑戦していきたい」と力強く語った。