うちの猫に適正な『カロリー』はどれくらい?計算方法とフードの正しい図り方
猫のカロリー計算の3ステップ
猫の適正なカロリーは「基礎代謝量(RER)」と「活動係数」を基に計算します。ここでは、具体的な手順をステップごとに詳しく説明します。
1.猫の体重を把握する
まず、猫の体重を正確に測定します。家庭用の体重計に猫を抱っこして測り、次に自分だけの体重を測って差を出す方法でも構いません。体重が定期的に変動する場合は、できるだけ最新の数値を使用しましょう。
猫の体重を測る場合、4〜4.5kgといったおおよその数値ではなく、4.2kgなど100gの単位まで把握することが大切です。特に成長期の場合はベビースケールなどを用いて10g単位まで測ることが理想です。
2.安静時エネルギー要求量(RER)を計算する
安静時エネルギー要求量(RER)とは、猫が安静時に生命を維持するために必要な最低限のエネルギーのことを指します。
このRERを基にして、猫の年齢、体重、活動レベルなどを考慮して1日に必要なカロリーを計算します。
RERは、以下の計算式で求められます。
RER = 70 ×(体重(kg))0.75
少し難しい計算式ですが、『(体重(kg))0.75』の部分は、「体重の4分の3乗」を指しています。
例えば、体重が4kgの猫の場合、以下のようになります。
RER = 70 × 4)0.75≈ 約198kcal
電卓を使う場合は、まず体重の4を3乗します。
4×4×4=64
その状態で電卓の「√(ルート)」のボタンを2回押します。すると数値は「2.828…」になります。
その値に最初の70をかけます。
この計算で求めたRERは、猫が安静時に必要なエネルギー量ですが、実際の生活では活動量や年齢などによってカロリーの必要量が増減します。
3.活動係数をかけて調整する
猫の生活スタイルや年齢に合わせて、基礎代謝量に適切な活動係数をかけます。以下は参考値です。
✔成猫:RER☓1.2
✔肥満傾向の猫:RER☓1.0
✔高齢の猫:RER☓1.1
✔妊娠中の猫:RER☓ 2.0
✔授乳中の猫:RER☓ 2.0~(自由給与)
✔4ヵ月未満の猫:RER☓3.0
✔4~6ヵ月未満の猫:RER☓2.5
✔7~12ヵ月の猫:RER☓ 2.0
例として、中程度の活動をする4kgの成猫(去勢・避妊済み)の場合は以下のようになります。
198kcal × 1.2(活動係数) = 238kcal
以上の計算で、1日に必要なカロリーは238kcalと算出されました。
フードの正しい図り方
猫の健康を守るためには、1日の適切なフード量を正確に図り、定期的に体重測定をしながら継続的に管理することが大切です。ここでは、キャットフードを正しく図る方法について解説します。
パッケージのカロリー情報を確認する
キャットフードには、通常「代謝エネルギー(ME)」という形でカロリー情報が記載されています。これは、フード1gまたは1カップあたりのエネルギー量を示しており、「〇〇kcal/100g」や「〇〇kcal/1カップ」のように表記されています。
例えば、あるドライフードのパッケージに以下の記載があるとします。
代謝エネルギー:380kcal/100g
この場合、100gで380kcalの生体内で利用可能なエネルギーが含まれていることを意味します。
1日のフード量をグラムで計算する
猫が1日に必要なカロリーが分かれば、次はフードの適正量を計算します。例えば、必要カロリーが238kcalで、フードが380kcal/100gの場合、以下の計算になります。
1gあたりのカロリーを計算
380kcal ÷ 100g = 3.8kcal/g
必要なフード量を計算
238kcal ÷ 3.8kcal/g =62.6g
この場合、1日に約63gのフードを与えれば適切だと算出されました。
ただし、ウエットフードやドライフードなど種類によってカロリー密度は異なります。
また、猫の消化吸収の効率が製品や猫個々の体質によって異なるため、フードを変更した際は体重や食欲を観察し調整する必要があります。
キッチンスケールを活用する
キャットフードを計量する際には、キッチンスケールを使うのが最も正確です。
まずキッチンスケールの上に空の器を置き、「0」にリセットします。
フードを器に入れ、必要なグラム数まで加えていきます。1g単位で調整できるスケールが便利です。
カップやスプーンを使った計量方法は手軽ですが、目分量になりがちで誤差が大きくなる可能性があるため、可能であればスケールで図ることをおすすめします。
まとめ
猫の健康を守るためには、適切なカロリー計算とフード管理が欠かせません。体重や活動レベルに応じたカロリー量を計算したうえでフードを正確に図り、一定量を与えることがポイントで
また、猫の体質、体調、活動レベル、フードの種類など様々な素因によって、理想量を与えていても、肥る・痩せるといった変化が起きることがあります。
定期的に体重測定を行い、肥っていくなら理想量より減らす、痩せるなら増やす、フードの種類を変えるといった調整を行いましょう。 す。
ぜひこの記事を参考に、愛猫の食事を見直してみてください。適切なカロリー管理で、愛猫の元気いっぱいの毎日をサポートしましょう!
(獣医師監修:唐野智美)