手造りパンとケーキの店 あおば 56年の歴史に幕 街の発展見守る
青葉区榎が丘で地域を見守り続けて56年。店長の野口英行さん(55)と母・悦子さん(87)で切り盛りする「手造りパンとケーキの店あおば」が2月28日、最終営業日を迎えた。野口さんは「亡くなった父の代から地元の皆様に愛されてきたお店。感謝しかない」と感慨深げに話す。
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同店は野口さんの父・茂さんが56年前に開業。今では商業ビルが立ち並び、駅前商店街として栄える同地区だが、当初から茂さんを支えてきた悦子さんは、「お店が出来た時、辺りはまだ畑ばかり。工事をしてくれた大工さんにも『こんなところに店を開いて大丈夫か』と言われたもの」と懐かしむ。
人気メニューは「揚げあんパン」。悦子さんは「無性に食べたくなると評判だが、高カロリーなので食べ過ぎに注意」とにこり。店内には手ごろな価格の出来立てパンや駄菓子、玩具も並び、学校帰りの子どもから大人まで集う地域の憩いの場となっていた。
お別れに続々
閉店数日前になると、最後のお別れをしようと県内外から常連客が続々と詰めかけた。店内には花束や近隣の子どもたちから贈られた手紙がずらり。「静かに閉めようと思ったら、普段の何倍もの数が売れて、てんてこ舞い」と野口さん。
閉店の前日に訪れた椎原菜々美さん(榎が丘小4年)は「ラスクが大好きだった。美味しいパンをいつもありがとう」と話し、悦子さんは「子どもがたくさんいるようなもの。あとは長生きしなきゃね」とほほ笑んだ。