「未経験でも転職できる人の共通点」は? 異業種転職で大切なこと
「未経験歓迎」の求人は増えているものの、実際に転職を成功させるには何が必要なのか――。
未経験でも挑戦できると信じたい。でも、現実はそう甘くない。「このままでいいのかな」と感じながらも、転職に踏み出すには勇気がいるし、不安もつきまとう。理想と現実のギャップに戸惑いながら、どう動けばいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そんな葛藤を抱える方へ向けた今回の記事では、キャリアコンサルタントの林碧先生に「未経験でも転職できる人の共通点」を解説いただきました。
採用現場やキャリア支援の経験をもとに、“未経験でも選ばれる人”の共通点や、実際の成功事例を通して、異業種転職に必要な「姿勢」と「準備」を紐解いていきます。
転職を「リセット」ではなく「進化」のチャンスに変えるヒントが、きっと見つかるはずです。
キャリアコンサルタント
林 碧(はやし みどり)
株式会社キャリアイズ 代表取締役社長、国家資格キャリアコンサルタント・キャリアコンサルティング技能士2級、両立支援コーディネーター。 企業人事経験および個別相談対応経験を活かし就職・転職の相談からライフキャリアビジョン構築、育児・傷病など個別事情との両立まで、幅広い相談に対応。通算4000件以上の個別面談実績、年100件以上の研修登壇実績を保有。特に若年層のキャリア形成支援を得意とし、大学での登壇実績が豊富である他、企業向けの育成者研修や若手定着支援、人材コンサルティングも実施。日経Xwomanアンバサダー。小学生2児の母。
「このままでいいのかな」──ふとした瞬間に、そんな思いがよぎることはありませんか?
今の仕事に大きな不満があるわけではない。でも、なんとなく気持ちが晴れない日がある。この先ずっと同じ仕事を続けるのかと想像すると、モヤモヤする。
そんな風に感じるのは、あなたの中に“変わりたい”という小さなサインが灯っているからかもしれません。
実際、「未経験だけど、違う業界や職種に挑戦してみたい」と考える方にご相談を受ける機会も増えています。ただ、未経験からの転職には、独特の難しさがあるのも事実です。
今回は、これまで採用実務やキャリア形成支援に携わってきた立場から、“未経験でも選ばれる人”に共通する姿勢と、転職成功につながった実例をご紹介します。
•「未経験歓迎」は、本当に“誰でも歓迎”なのか?
•あなたの中にある“活かせる経験”を見つけよう
•成功の鍵は「行動力」と「謙虚さ」の両立
•仕事は、自ら動く人のもとに集まる
「未経験歓迎」は、本当に“誰でも歓迎”なのか?
求人票でよく見かける「未経験歓迎」の文字。しかし実際には、“完全な未経験”を歓迎しているわけではないケースも少なくありません。
企業が求めているのは、「ポテンシャルのある人」や「伸びしろのある人」。
経験がないこと自体は不利にならなくても、「この人なら活躍してくれそう」と思える何かが必要なのです。
特に、いわゆる“新卒扱い”ではなくなる20代後半以降の転職では、選考官は社会人経験があることを前提に応募者を見ています。
「社会人としての基礎ができているか」「どんな風に仕事に向き合う人か」「どんな学び方をする人か」など、姿勢や意欲も含めて評価されるのです。
あなたの中にある“活かせる経験”を見つけよう
そう聞くと、自分には無理だと思ってしまう方もいるかもしれませんが、立ち止まって考えてみましょう。
「異業種転職=これまでの経験がまったく活かされない」と思い込んでいる方もいますが、それは大きな誤解です。
仕事をしてきた中で、あなたはすでに多くのスキルを身につけています。
その中には、業界や職種を超えて活かせる“ポータブルスキル”──たとえば、対人対応力、提案力、調整力、誠実な姿勢、細やかな気配りなどが含まれているはずです。
実際に未経験転職を成功させた方たちは、「自分の何を活かせるのか」「どのように伝えるか」をしっかりと言語化し、準備していました。
そして、強みを活かそうとする一方で、「未経験だからこそ学ばせていただく」という謙虚な姿勢を持ち、柔軟に吸収する心構えを大切にしていたのです。
成功の鍵は「行動力」と「謙虚さ」の両立
あるクライアントの女性は、この春、まったく未経験の業界に転職を決めました。
彼女は「自分の何をPRしたらいいのかわからない」と繰り返し話していましたが、その一方で転職への意欲は高く、助言を素直に実践する方でもありました。
自分の強みを言語化するため、私は「その業界の人に直接話を聞いてみては?」と提案。すると彼女は実際にSNSを通じて現職者を募り、インタビューを実施しました。
最初の頃、彼女がよく投げかけていたのは、「もし私があなたの立場だったら、どう自己PRしますか?」という質問だったそうです。
振り返って彼女は、「この問いこそが自分に自信を持てるようになったきっかけだった」と話していました。
そして、この“学ぶ構え”が信頼を呼び、インタビューで出会った方からの紹介により、とある企業から内定を獲得することができました。
別の知人は、興味のある分野で、有志を募り無償イベントを開催しました。
その経験自体が転職の決め手になったわけではありませんが、転職活動において、「自ら機会を創り、経験を積もうとする姿勢」や「行動力」が評価され、結果的に希望していた業界への転職を果たしました。
2つのケースの共通点●自分の強みをしっかり自認していたこと
●未経験部分に対して、謙虚さと自律心を持って取り組んでいたこと
●「教えてもらって当然」ではなく、自ら学び、動く姿勢を当たり前とする考え方を持っていたこと
仕事は、自ら動く人のもとに集まる
未経験であっても、「どう学ぶか」「どう関わるか」は、自分の言葉でしっかりと伝えることができます。
現場で求められているのは、経験の量よりも、「任せられそうか」「一緒に働きたいと思えるか」という“仕事との関わり方”です。
仕事は、与えられて当然のものではありません。自ら仕事を呼び込み、与えられたチャンスを120%活かす人にこそ、また次の仕事が集まってくるのです。
未経験だからこそ、自分の価値を示し、信頼を築く姿勢が何より問われています。
未経験転職は「リセット」ではなく「進化」のチャンス。今ある経験を活かしながら、新たに学ぶことで、キャリアはより立体的に広がっていきます。
応募の段階では完璧でなくても構いません。まだ知らない未来の自分に向けて、少しだけ勇気を出して動いてみませんか?
仕事は、“動く人”のところに集まってくる。私はそう信じています。
「未経験でも挑戦できるのか?」
その答えを探すなら、まずは企業の声を直接聞いてみるのが近道です。
マイナビ転職フェアでは、業界・職種を問わず多くの企業が出展。
気になる企業と話すことで、自分の可能性に気づけるかもしれません。まずは一歩、気になる企業と“話してみる”ことから始めてみませんか?
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文・マイナビ転職編集部