【ケルト神話】時勢を反映し続けるアーサー王伝説【眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々】
ケルト神話|時勢を反映し続けるアーサー王伝説
国家君主の理想像から生まれた名キャラクター
実在しなかったアーサー王ですが、6世紀頃にブリテン軍を率いてサクソン人と戦った指揮官がモデルとも考えられています。
そして、何世紀もの間に王としての理想像が重ねられていき、いくつものアーサー王伝説が生まれました。
アーサー王の人柄は、好奇心が旺盛で冒険好き。自分に仕える戦士たちを養い、いたわり、騎士として育てる大きな心の持ち主です。
人間界のみならず異界を行き来し、魑魅魍魎をなぎ倒すなど、超人的な能力も発揮。
聖剣エクスカリバーをはじめ、短剣、槍、盾などを手にした神話最大の英雄です。
10世紀以降の書物では、ケルト神話の影響が色濃く反映されています。魔剣エクスカリバーは、ダーナ神族の魔法の剣をなぞらえたものではないかといわれています。
12世紀には中世の騎士物語が加味され、国家君主の理想像が描かれるようになりました。
父ウーゼル王、妻グィネヴィア、アーサーを死に追いやる甥モルドレッドなどもこの頃に登場し、複雑な人間関係が展開されます。
モルドレッドとの死闘の末に魔法の島アヴァロンに送られる結末にも諸説あり、12世紀にはグラトンベリーの修道院でアーサー王の墓が発見されたともいわれています。
グィネヴィア:アーサー王の妻。アーサー王の心が自分から離れるのを悟り、 円卓の騎士ランスロットと道ならぬ恋に落ちる。この恋はアーサー軍の内乱を招き、国は滅亡する。
アーサー王などケルト神話の舞台
ケルト神話の舞台はアイルランドを中心にイングランド、ウェールズなど。いまも荒々しい自然の残る地で、各地には神話ゆかりの遺跡が点在する。
〈アルスター物語群〉
アルスター物語群はここを中心に繰り広げられる。
〈来寇神話群〉
ダーナ神族とミレー神族の戦闘地となったとされる場所。
タラの丘
巨石遺跡の残る場所。
カーリーアン
アーサー王の宮殿があったとされる地。
ソールズベリー
ストーンヘンジがある。ストーンヘンジはマーリンが建設したとされる。
グラトンベリー
アーサー王の墓が発見された。
カムラン
アーサー王、最後の戦いの地。
ドズマリー・プール
アーサー王がエクスカリバーを手に入れた湖。
ティンタジェル
アーサー王の故郷。
カーリーアン
アーサー王の宮殿があったとされる地。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』監修:鈴木悠介