アメリカの旅の終わりは、天国?それとも地獄?『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』特報映像
「第76回カンヌ国際映画祭」で監督週間に選出され、そのクールな映像スタイルと奇妙でアイロニカルに溢れた物語の構築で話題となった映画『スイート・イースト 不思議の国のリリアン(原題:The Sweet East)』が、2025年3月14日(金)より公開される。このたび、ポスタービジュアルと特報映像、メイン写真が解禁となった。
ショーン・プライス・ウィリアムズ、衝撃の監督デビュー作
本作は、どこか物憂げな高校生リリアン(タリア・ライダー)を主人公に、恐怖とユーモアが交錯する“現代アメリカ(=不思議の国)”の“闇(=リアル)”を巡る、数奇な旅を描く物語。
監督を務めたショーン・プライス・ウィリアムズは、サフディ兄弟監督の『神さまなんかくそくらえ』(14)や『グッド・タイム』(17)など、NYインディペンデントシーンの撮影監督として20年を超えるキャリアの持ち主。アルバート・メイズルス監督の『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』(14)でも撮影者のひとりとして名を連ねている。また、福永壮志監督『アイヌモシリ』(20)や遠藤麻衣子監督『TOKYO TELEPATH 2020』(20)などで日本人監督ともいくつかコラボレーションしている鬼才だ。長編映画は約60本、さらに50本の短編と7本のシリーズもの、他にもミュージックビデオなど、計120本を超える作品で撮影監督として活躍してきた彼の監督デビューとなる本作を、あのマーティン・スコセッシも「ショーン・プライス・ウィリアムズのような巨匠から学ぶことは多い」と絶賛している。16ミリで撮影し被写体に迫る鋭いリアリティと、ラフでありながら味わい深いカメラワークなど、ウィリアムズ監督ならではの撮影技術を遺憾なく発揮している点にも注目だ。
主人公リリアン役に扮するのは、『17歳の瞳に映る世界』(20)のタリア・ライダー。確かな演技力とキュートな笑顔で思春期の危うい少女の魅力をスクリーンいっぱいに表現している。不思議な旅で出会う人物たちには、ショーン・ベイカー監督作『レッド・ロケット』(21)で高い評価を受けたサイモン・レックス、『プリシラ』(23)でエルヴィス・プレスリーを演じたジェイコブ・エロルディ、偉大なミュージシャンとして知られるニック・ケイヴの息子であり、いま最も注目される若手俳優のアール・ケイヴ、俳優としてNetflix「エミリー、パリへ行く」などに出演し、劇作家としても活躍しているジェレミー・O・ハリスなど多彩な俳優たちが、物語に深みを与え、リアルな息吹を吹き込んでいる。
アメリカの旅の終わりは、天国?それとも地獄?
特報映像は、こちらに向かってウィンクする魅惑的なリリアンを捉えた場面から始まり、続けて、鏡を見ながら「楽しくて、こわいものがない私」という歌詞の歌を歌うリリアンが映し出されるシーンからスタート。その後は、彼女の歌に乗せて、赤い車の助手席の窓から風を受けて笑顔を見せるリリアン、古風なドレスを身にまとって不安げな表情を浮かべるリリアン、白いワンピースを着て自然が豊かな緑の上で軽やかに舞うように側転する、まるで妖精のようなリリアンなど、様々な魅力あふれるリリアンの姿を切り取った場面がミュージックビデオ風に映し出される作りになっている。
しかしその後、ホワイトハウスが見えた場面を境に、今までとは全く違う世界観に。突然の激しい銃声とけたたましい悲鳴。そして、<現代アメリカ(=不思議の国)のめくるめく闇(=リアル)を巡る、奇妙で甘美なワンダー・トリップ>の文字が映し出される。最後には星条旗を背に不適な笑みを浮かべで去っていくリリアン。彼女に起こる、恐怖とユーモアが交錯する旅は、どんなものなのか?
本作はすでに私たちが目にしている多くのことを予見していると思います。脚本は最初のトランプ政権時代に書かれました。ただ、彼の名前は意図的に一切出していません。瞬時に「時代遅れ」になってしまうからです。しかし、アメリカの歴史は動きが速く、激しく揺れ動きます。確かに、私を苛立たせることがいくつか起きています。それでも、アメリカ人の情熱を信じています。私たちは依然として最も協調的でない市民の集まりであり、その燃え立つ個人主義こそが、私たちを先見的な存在にしていると思います。
(ショーン・プライス・ウィリアムズ/監督)
ポスタービジュアルは、「楽しくて、こわいものがない私。」というキャッチコピーと共に、鏡に映る主人公リリアンの鋭い視線が印象的な表情を切り取った写真を全面に使用。この後、鏡の裏にある“秘密の扉”から地下通路を通って旅に出ることになるリリアン。彼女の視線はこれから何を捉えていくのか気になるデザインとなっている。
『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』は2025年3月14日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開