生活保護費は毎日たったの1000円…群馬県桐生市の問題に大竹「暮らしていけない」
お笑い芸人の大竹まことが同世代や全世代の男女に向けてお送りしているラジオ番組『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送・毎週月〜金曜13:00~15:30) 5月19日の放送は、地平社から発売された『桐生市事件:生活保護が歪められた街で』の共著者である、一般社団法人「つくろい東京ファンド」スタッフの小林美穂子氏を招き、本の内容について伺った。
大竹「今回は『桐生市事件』というご本を参考にしながら、桐生市や、もっと大きく言えば生活保護の全体がどうなってるのかを考えてみたいと思います。とんでもないことが桐生市で起こっていました。『1日1000円の衝撃 困窮する市民をハローワークに日参させ、千円札を手渡し。罵声を浴びせかける水際作戦。捺印を捏造する大量の印鑑。警察官OBを福祉課に配置……』本の帯にはこんな言葉が並んでおります。全部事実?」
小林「はい、全部事実です。これ以上のいろんな人権侵害や、ほとんど虐待と言えるような対応が確認されましたし、証言をたくさん受けました」
大竹「群馬県の桐生市で何が起こっていたのか。小林さんがこの件に関わった経緯をちょっと教えていただけますか?」
小林「私も群馬県出身なんですけれども、どういう生活保護行政が行われているかっていうのは全然知らないでいました。2023年の11月に「反貧困ネットワーク群馬」という支援団体の仲道宗弘司法書士から「生活保護が開始しているのに、1日1000円しか手渡されない人がいる。しかも窓口でハローワークに行ったのを条件にして」…市役所側は条件にしてないって言い張ってるんですけれども、ハローワークに行ってきた、そこで就職活動してきたっていう証拠を見せると「窓口で裸の1000円札を渡されている人がいる」っていう話を聞いて、まさかそんなところがいくらなんでもあるなんて、と半信半疑に感じて取材したのが始まりです」
大竹「え?この生活保護費が1日1000円しか渡されないっていうのは、この方は生活保護を申請してて?」
小林「もう申請もして決定もされていたんですけど、なのに満額が全然支払われないで、あなたの場合は1日1000円ですと言われて、それも毎日窓口に来いと。水光熱費は請求書を見せると、その分だけくれる。で、毎日ハローワークに行って。この方は持病もあり、足も悪かったんですね。群馬県って交通機関が非常に不便なところなんですけれども、そこを毎日毎日ハローワークに通って、行ってきたっていう証拠を見せて、1000円渡されていた。この方は、ちょうど夏の終わりだったのかな?害虫が出て駆除をしたいと頼んだんですけれども、だったらホームセンターとかに行って、害虫駆除のスプレーとかの値段がわかるように写真撮ってこいと言われて、いや、そんなことできないって答えたら、そのお金も出してもらえずに、害虫駆除もできずに夏を過ごしたって聞いてます」
大竹「すごいね。普通、生活保護のお金っていうのは1人どのくらいになるんですか?」
小林「単身男性ですと年齢によって違うんですけれども、7万前後。生活扶助が7万前後。住宅扶助に関しては地域ごとに金額が変わってくるんですけれども、その金額は憲法で、健康で文化的な最低限度の生活を保てる額、と国が定めているわけです。それを自治体の勝手で、出す出さないとか決めていいわけじゃ全然ないんです。月内に満額支払わないっていうのは、そもそも生活保護法違反であって、憲法にも反することです」
大竹「普通は生活扶助が7万前後。住宅扶助が?」
小林「住宅扶助は地域によって全然違って、群馬県とかだと3万いくらとか。東京23区だと一部の地域を除いて53,700円で、これも少なすぎるんですけれどもね、もう全然時代にあってないと思っています」
大竹「役所に行って申請すれば、その額をもらえるはずなのに。1日1000円だったら月3万。この7万に届かないじゃないですか。
小林「国が定める最低生活費の半額で生活をさせられるということになります」
大竹「それは窓口の裁量なんですか?」
小林「どこにもそんな権限はなくて、自治体は国が定めた金額を支給しなければいけない。義務だと思います。ただ、もちろん分割支給が全部だめだというわけではなくて、例えば認知症になった方だとか、なかなか金銭管理が難しい方は、金銭のサポートがついたりすることはあるんですね。分割支給したりっていうこともあるんです。ただ、それはあくまで、本人の同意のもとでなくてはいけないし、ましてや保護費を全額支払わない、最終的に足りないとか、そんなことがあってはいけないです。まあ、当然の話ですよね」
大竹「どう考えたって暮らしていけないですね」