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中村橋之助らが受け継いだバトンを次の世代へ繋ぐ 『新春浅草歌舞伎』記者会見レポート

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『新春浅草歌舞伎』記者会見より

40年以上にわたり、次代を担う若手花形俳優の登竜門、浅草の初春行事として親しまれてきた『新春浅草歌舞伎』。2025年は中村橋之助、中村鷹之資、中村莟玉、中村玉太郎、市川染五郎、尾上左近、中村鶴松らが『絵本太功記(えほんたいこうき)』、『道行旅路の花聟(みちゆきたびじのはなむこ)』、『春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)』、『棒しばり(ぼうしばり)』といった演目に挑む。

この度、取材会が行われ、会見には中村橋之助、中村鷹之資、中村莟玉、中村玉太郎、市川染五郎、尾上左近、中村鶴松と松竹株式会社 取締役副社長・山根成之が登壇した。

ーーまずはご挨拶をお願いします。

山根成之:浅草の新春歌舞伎が若手の成長の場ということが知れ渡り、本当に多くの方に支えていただいて続けてくることができました。来年1月にはまた世代を一新します。今しか見られないものにご期待いただけたらと思います。

松竹株式会社 取締役副社長・山根成之

中村橋之助:初めて座頭を勤めさせていただきますが、僕一人ではなく全員が座頭のつもりで、同じ思いを持って熱く走り抜けたいと思います。それがお客様に届き、明日の活力になるような公演にできたら。兄さんたちから代々引き継がれてきたバトンをもっと重いものにできるよう、僕らの代も一生懸命勤めていきたいと思います。

中村橋之助

中村鷹之資:先輩たちの姿を見ていたので、参加できることを嬉しく思っています。この公演は先輩方がリレーを繋いできたものであり、浅草の皆様が育ててくださっている特別な公演。我々が一丸となって歌舞伎を継承し、次世代に繋いでいけるよう切磋琢磨したいと思います。

中村鷹之資

中村莟玉:私が『浅草歌舞伎』に初めて出演したのは2013年でした。若い世代のお兄さんたちと一緒に舞台に立てるのが嬉しくて、毎日楽しみに劇場に通っていました。先輩たちがいるのが当たり前として過ごしてきましたので、いよいよ自分たちの番が来たんだとワクワクと不安を感じています。

中村莟玉

中村玉太郎:小さい頃からお客さんとして見ていた公演に出られるのが嬉しいです。浅草の皆さんとは個人的に関わりもありますから、楽しんでいただけるように一生懸命やります。もしかしたら歌舞伎を初めて見る方もいらっしゃるかもしれませんので、そういった皆さんにも歌舞伎の魅力が伝わり、「他の劇場でも見よう」と思っていただけるように一生懸命勤めてまいります。

中村玉太郎

市川染五郎:若手の登竜門とも言われる公演で、「いつかは」と思っておりましたので、今回参加できることが嬉しいです。また、大役に挑ませていただけるということで、みんなで一致団結し、若さを武器に自分たちの精一杯をお見せしたいです。

市川染五郎

尾上左近:お兄さんがたがおっしゃいましたように、若手の憧れである舞台に立つ責任を持って勤めたいです。お客様に楽しんでいただくのはもちろん、後輩たちに憧れに思っていただける舞台をつくっていきたいです。

尾上左近

中村鶴松:数年前に出演し、今回戻ってくることができました。浅草は6歳で『平成中村座』に出てからずっとお世話になっている土地。今回の公演について、勘九郎と七之助の兄も「死ぬ気でやって来い」とメッセージを送ってくれました。精一杯取り組みたいと思います。

中村鶴松

ーー改めて、公演が決まった時の思いを教えてください。

橋之助:まずは率直に「きたか」と思いましたね。プレッシャーもありつつ、「やってやるぞ」と強く感じました。そこからメンバーや演目も決まり、実感に変わってきた。不安さえも楽しみに変えていきたいです。

鷹之資:私自身も出演したいと思っていましたし、浅草の方からも「来られるといいね」といっていただいていたので嬉しかったです。この世代でがっつり組んで芝居をするのは初めてなので、どうなるのか期待も大きい。それぞれ大役に挑戦させていただきますので、皆さんに楽しんでいただけるよう稽古に励んでいきたいです。

莟玉:若手公演自体が珍しいものになっているので、若手にとっては大きなチャンス。その中で次の代に渡していく責任も感じます。お兄さんたちは楽しく勉強する姿を見せてくれていましたが、プレッシャーと焦りも持ってらっしゃったんだろうなと改めて感じています。浅草歌舞伎への出演回数が多くても、このプレッシャーをちゃんと受け止めないと「挑戦した」ということにはならないのかもしれないと思いました。

玉太郎:最初は「きたー!」と思ったんですが、後からプレッシャーがやってきました。今回は同世代の皆さんと一緒の新しい環境ということでワクワクと不安があります。1個上が鷹之資さんで1個下が染五郎くん。パワーのあるお二人に挟まれて潰れないかという心配もありつつ(笑)、一番は楽しみです。

染五郎:私も「いつかは浅草に」と思っていましたので嬉しいです。ただ、ここ数年、1月は祖父と父と歌舞伎座に立たせていただいていました。しかし、若手のお兄さん方の中に入らせていただくのも貴重な機会。お役も、太十の光秀は祖父から教わることになり、楽しみな気持ちでいっぱいです。ここまで大きな役を祖父から学ぶことはあまりありませんでしたから、こちらも楽しみですし祖父も張り切ってくれていて嬉しいです。父は俳優祭で1度しかやったことのない役なので「先を越されちゃった」と少し悔しそうでした(笑)。

左近:例年は菊五郎劇団としてお芝居していました。そこから離れるからには、菊五郎劇団の人間として恥じないものを見せなければいけない。プレッシャーもありますが、新たな舞台に立って成長し、いつか劇団のみんなに恩を返したい。そういった気持ちで憧れの舞台を勤めたいと思っています。

鶴松:勘九郎・七之助の兄から配役を聞きました。僕よりも嬉しそうに叱咤激励されたことを覚えています。素敵な仲間たちの中で大きなお役を学ぶ機会はなかなかないこと。苦労もするでしょうが、今後に繋げられるような芝居にしたいと思います。

ーー『絵本太功記』で光秀を演じるお二人に、役についてお伺いしたいです。

橋之助:父も何度も勤めているお役で、僕自身十次郎より先に光秀を演じるとは思っていませんでした。今回この役をいただいて、父からも「こういうお役を若い時に体当たりで挑むことで見えるものがたくさんある」、「体当たりでぶつかるしかないという感情を知った上で、40代・50代になってから挑めるのは羨ましい」と言われました。僕自身、真ん中が似合う立役を目指しています。体当たりで挑みたいなと思っています。

染五郎:父は俳優祭で一度だけ勤め、祖父も意外と回数はやっていません。太十の光秀というと、私は曽祖父の映像がすごく印象にあり、そこを目指したいと思っております。播磨屋のおじさまが何度かやっている印象があり、傘を下ろして顔を見せた瞬間に比喩ではなく鳥肌がたった思い出があります。まさかそんな大役をこんなに早くやらせていただけるとは思っておりませんでしたので、嬉しくありがたく思いますし、代々やってきたお役を繋いでいけるように回数を重ねたいと思っています。まずは祖父に教わり、きっちり勤めたいと思っています。

『新春浅草歌舞伎』は2025年1月2日(木)〜26日(日)、浅草公会堂にて上演される。

取材・文・撮影=吉田沙奈

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