YOUはどうしてフジロックへ?-Visitor Interviews at FUJI ROCK FESTIVAL'24- アジア最大級の野外フェス『フジロック』が海外音楽ファンに支持される理由、海外音楽ファンの目に映る『フジロック』の魅力とは【1】
海外からの『FUJI ROCK FESTIVAL』(以下、フジロック)来場者を中心に現地インタビューを実施し、アジア最大級の音楽野外フェスティバル『フジロック』が彼らの目にはどのように映っているのかについて様々な視点で『フジロック』の魅力に迫るSPICEオリジナル企画「YOUはどうしてフジロックへ?」。2回目となる今回は、2024年7月26日・27日・28日に新潟県湯沢町苗場スキー場にて取材を行いました。
『FUJI ROCK FESTIVAL'24』には、ヘッドライナーのTHE KILLERS、KRAFTWERK、NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDSを筆頭に国内外200組以上のアーティストが出演し、前夜祭からの4日間で延べ9万6,000人が来場。主催者によると、そのうち2024年のインバウンド来場者数は前年と同じく全体の10%にのぼったそうです。本稿では15組の海外音楽ファンが語った『フジロック』の魅了を紹介します。■ Andyさん from Sweden
「フジロックは日本で好きなもののMy top 5。毎年来るのが当たり前」と語るのはスウェーデン出身のアンディさん(46歳)。友人からもらった懐かしのサンクス制服を着ていた彼は今回で参加19回目を誇る超ベテランフジロッカー。2004年、『RISING SUN ROCK FESTIVAL』への参加を皮切りに、2005年からはフジロックにも参加。フェス参加のために、当時住んでいたイギリスから来日を繰り返していたものの、日本へ移住して10年以上が経過。インタビューにも日本語で応えてくれました。
初参加した2005年の思い出について訊ねると、「プライマル・スクリーム(Primal Scream)、ボビーがめっちゃかっこよかった! あの年のプライマル・スクリームは他と比べられない。ファンではなかったけど、そのライブが素晴らしくて大好きになった。ボビーが前にいたジーザス&メリーチェイン(The Jesus and Mary Chain)、今年演るでしょ? 見たい見たい!」とコメント。
その他のお目当ては、電気グルーヴ、Sugiurumn。そんな彼がフジロックに強く求めているのは、過去開催されていた深夜のパーティー『オールナイトフジ』の復活!
「最初は知らなくてずっとレッドマーキーへ行ってて、友達から『オールナイトフジ 行った?』って言われて『え? オールナイトフジって何?』みたいな。3年目くらいで初めて行って、めっちゃすごかった…。本当にすごかった。めっちゃ楽しかった! 戻って〜!!」と切望。さらに「Takkyu IshinoとSugiurumnは毎年…毎日やって(笑)。あと、デペッシュ・モード(Depeche Mode)をグリーンステージで観たいね」との熱い想いも語ってくれました。
■ Linaさん from Bulgaria & Billさん from USA
リナさん(35歳)とビルさん(43歳)は、それぞれ2回目、4回目のフジロック。東京在住のカップルがフジロックに参加したきっかけは、友人からの誘いだったそう。「フジロックは東京の外国人コミュニティでとても有名なフェス。だから多くの友人が毎年ここに来ています」とLinaさん。「私は2018年からその友人らと参加し始めました。コロナ禍の2年前でしたね」と語るBillさん。
お目当てのアーティストを訊ねると、「The Killersが一番ですが、私たちはこのフェス自体が好きなんですよ。すべて違ったタイプのステージやエリアがあって、食べて飲んで友だちとおしゃべりをして、いい音楽との出逢いもある。ここにいることが楽しいんです」とのこと。『SUMMER SONIC』にも参加経験のあるビルさんは、「サマソニは面白い。でも好きなバンドが出るなら行こうかなという感じ。でもフジロックの場合はこの愉快な雰囲気があるので、知っているバンド1つ2つでも出るなら来るには十分なんです。彼女なんてThe Killersの代表曲を1曲知っているだけですが、それでも来て喜んでいますしね」とコメント。リナさんも「ええ、コンサートよりも断然フェスよ」と息ぴったり。
そんな二人がフジロックに求めることは、「去年はマジシャンがいて、とても楽しかった。それから、かつてはここ(ORANGE CAFÉ)に小さなステージがあって、それもお気に入りでした。コロナ禍以前のように戻してもらえたらいいですよね」といったコロナ禍前後を知るビルさんだからこその意見も。リナさんは「日本酒バーがあったらいいわ。でも飲み物や食べ物の種類は豊富だと思います。だから私はハッピーです!」と笑顔で話してくれました。
■ Yijinさん & Kellyさん from Taiwan
台湾からフジロックのために来日したイージンさんとケリーさん。母国でも音楽フェスによく行くという27歳の二人は今回がフジロック初参加。「フジロックはとても有名なフェスなので、こうしてやってきました。昔から知っていますし、長い間ここに来たかったんです」
初めてのフジロックについての感想は「かなりチルってますよね。私たち、すぐそこで寝てました。それからフードがとてもおいしい。どの音楽フェスにも言えることですが、フードの量が少しなのは気になる…けど、クオリティは本当に高いです」と高評価。
会場までの道のりについて訊ねると、「台北から成田、上野から新幹線で来ました。道中はスムーズでしたが、キャンプ用の荷物がたくさんあって重くて…とても大変でした!」と苦笑いするケリーさん。テントも台湾から持参した二人は、「台湾ではキャンプスタイルでの音楽フェスは少なく、都市型フェスが多い」と教えてくれました。
そんなイージンさんのお目当てはtoe、ケリーさんはYussef Dayes。京都で開催されているフェスにも行ってみたいそうです。
■ Gao Yuanyiさん & Ivy caoさん from China
中国・重慶市(チョンチン)から来た21歳のアイヴィ・カオさんは2023年に続き2回目のフジロック参加。23歳のガオ・ウエンさんは初参加。15日間の旅の目的はフジロックとアートフェスティバルという二人に話を訊きました。
フジロックを知ったきっかけについてガオ・ウエンさんは、「彼女(アイヴィ)がレコメンドしてくれて。それからNo Party For Cao Dongというバンドが昨年出演したのも知っていました。私はいつもどんな音楽フェスにも注目していますが、フジロックは世界中で知られていますが、中国でもよく知られています」とのこと。さらに「中国のソーシャルメディアWeChatルームには、約1,500人のフジロックファンが集う大きなグループが存在します」という仰天エピソードも。
そのほか、母国の音楽フェスとの違いについて、「好きなバンドが出演しなければ、中国の音楽フェスには行きません。でもフジロックはフェスをよく知らなくても、食べ物が特別で、チルできて、自然があって...ここにあるすべての面白いものによって作られる唯一の雰囲気と環境がある。中国の音楽フェスではステージが1つしかないことが多く、そのステージを1日、2日、3日と同じ場所で見ているだけなのでつまらないこともありますが、フジロックは単なる音楽フェスではなくカーニバルのよう。だからこそ、ここでの体験はマルチレイヤーなものになるのでしょうね」
■ Lavonneさん、Ianさん & Leoさん from Taiwan
台湾からやってきたラボーンさん(30歳)、イアンさん(32歳)、レオさん(32歳)は、友人グループで全員がフジロック初参加。10-FEETを観てきたばかりの3人組は、「とても興奮しています! ライブは何よりも素晴らしいです」と意気揚々。楽しみにしているアーティストを訊ねると、「私たち全員が観たいのはKRAFTWERKと、くるり!」と即答でした。
初めて来場したフジロックの印象については、全員が口を揃えて「本当に素晴らしい!」とコメント。レオさんは「こんなにたくさん人がいて混んでいるのに、まったく嫌な気分にならない。それってすごいことですし、来場者たちの素晴らしさの裏返しですよね。それにトイレが非常にいい。想像を超えて良いです」とトイレ問題について言及。ラボーンさんも「そのとおり。トイレが本当にナイス。台湾の音楽フェスに比べてより計画的に練られていると思う。それから、私は子どもたちのためのエリアがすごく好き。家族で来ることができますよね。実際にたくさんの子どもたちがそこで音楽を楽しんでいる姿を見ましたが、それもまた素敵でした。小さな子どもたちにとって、とてもいい教育だと思います」とフジロックに来場する子どものための自由な遊びのエリア・キッズランドについて関心を寄せていました。
取材・文=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ
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