「43年間リンガーハットに行かなかった理由」を長崎県民に言ってみた結果 → ブチギレ
全国に広がる長崎ちゃんぽんチェーン「リンガーハット」。その規模は、2025年現在、ラーメン・餃子チェーンの中では餃子の王将に次いで2位の店舗数らしい。言われてみれば、私(中澤)の家の近所にもリンガーハットあるなあ。
だが、何を隠そう私は、生まれて43年間リンガーハットに行ったことがない。毎日前を通るにもかかわらず、常にスルーだ。その理由は約35年ほど前にさかのぼる。
・リンガーハットに行かない理由
あれは私の年齢が一桁の頃だった。家族旅行で長崎県に行った時のこと。確かツアーだったと思うのだが、その食事でちゃんぽんが出て来た。見るのはおろか、聞くのさえ初めての食べ物であるちゃんぽん。目の前に現れた野菜の山に食べ方もよく分からなかった。
当時、野菜があまり好きではなかった私。味もよくわからないまま、残さないようにゆっくり食べ進めていると、結構お腹いっぱいになってきたところで麺があることに気づいた。え!? ここから麺スか!?
しかも、ゆっくり食べていたからか登場した麺はノビていた。もともと太めの麺がノビていたため、食べきるのに疲れた記憶がある。すでにツアーで連れ回されて疲れている上で、食べてさらに疲れたので、全体的によくない印象が残ってしまい、それ以来、長崎ちゃんぽん自体を食べたいと思わなくなってしまったのだ。
・長崎県民に言ってみた
ゆえに、リンガーハットも入ったことがない。単なる印象であることは理解してるんだけど、長崎ちゃんぽん食べなくても生きていけるしね。と、そんなことを長崎県出身である御花畑マリコ記者に話したところ……
御花畑マリコ「先に麺食えや。」
──ブチギレられた。そして、気づいたらリンガーハットに連れてこられていた。御花畑マリコ記者の理論によると、「野菜がモリモリという理由でサブウェイが好きならリンガーハットも絶対好きなはず」というものらしい。
・長崎県民と注文してみた
確かに、今ではサブウェイ好きの私も昔はサブウェイもピンと来なかったしなあ。ほうほう、「野菜たっぷり食べるスープ(税込930円)」なんてものもあるのか。これええやん。
しかし、野菜スープを注文しようとしたところ、微妙に不満そうな雰囲気を出してくる御花畑マリコ記者。話を聞いてみると、初っ端はやっぱり長崎ちゃんぽんがオススメらしい。
そこで「野菜たっぷりちゃんぽん(税込1010円)」を注文してみた。
本当に野菜たっぷりだな!
丼の上に山みたいになった煮野菜や細かい海鮮、肉の切れ端。それを見てかつての記憶が蘇る。そう言えば、長崎ちゃんぽんってこんなんだったなあ。スープを飲んでみると、とんこつ味でとろみがある。
・ちゃんぽんの最前線
あの時は幼かったゆえスープにまで気が回らなかったけど、ラーメンやそばを知った今、このスープのとろみは独特だ。クリーミーで美味しい。そして、成長した私はまず麺を食う。これが本当のちゃんぽんの味……!
太めの麺の柔らかい食感がスープのまろやかな味に溶け込むようだ。余裕でウマイ。だが驚いたのは、レモン味とわさび味のドレッシングの瓶が付属されていること。麺類にドレッシングだと!?
御花畑マリコ記者によると、これらは味変用のドレッシングらしい。昔はなかったけど、ラーメンの味変が流行り出した頃からドレッシング味変が登場したのだとか。
・成長
そこで試しにかけてみたところ、元の味と一体になってひと味加えるのがレモンで、方向性をバチッと変えるのがわさびという感じ。わさびドレッシングはかなりわさび。まろやかさを塗りつぶすレベルでビシビシ鼻を攻めてくる。
ただ、共に一度味わうと足さずにはいられないクセがあって、結局最後までドレッシングをかけつつ食べてしまった。野菜モリモリでありながら、幼き日の記憶よりもずっと今っぽいジャンクさがあったリンガーハット。ちゃんぽんも進化してるんだなあ。
とは言え、例えばあの時長崎でこれに出会っていたとしても、私は良さを理解できなかったに違いない。出会うタイミングというのは本当に大事だ。あれから35年、色んなものに出会ってきたからこそ今の理解がある。リンガーハットをウマイと思えることに成長を実感した夜であった。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.