青魚の臭み消しには「松ぼっくり」が最適って本当? 渋みと香りは独特
青魚の臭み消しには様々な食材が使われますが「松ぼっくり」も役に立つ可能性があります。
ロシア名物松ぼっくりジャム
アジアとヨーロッパの両面をもつ巨大国家ロシア。多様な食文化をもち、我々の想像が及ばない不思議な食材が存在します。
その中でも比較的知られたものが「松ぼっくり」。なんとロシアでは松ぼっくりを食用にするのです。
食べられるのはいくつかのマツ科樹木の、まだ緑色の若い果実。これを大量の砂糖とともに煮ていくとやがて赤くなり、とろっとしたシロップやジャムになります。
不思議な香りで好みは分かれる
先日筆者もこの松ぼっくりジャムを自作してみました。使ったのは我が国の浜辺でお馴染みのクロマツの松ぼっくり。たっぷりのお湯で一度茹でこぼすと松脂が白く浮かび上がり、檜風呂のような香りが立ち上ります。
重量の1.2倍の砂糖とともに煮ていくと、水分が1割程度になった辺りで急に赤みが出てきました。さらに煮詰めてとろみが出たところで完成とします。
食べてみると、意外なことに味は甘酸っぱく、レモンのような爽やかな酸味があります。色味も手伝いまるでイチゴやスグリのジャムのようにも思えますが、そこにフワッと檜風呂の香りが広がると脳内にクエスチョンマークが浮かび上がります。
青魚を松ぼっくりジャムで煮る
この松ぼっくりジャム、普通のジャムのようにパンに塗って食べると、後味の渋みと香りがかなり気になります。しかし、これを活かした面白い使い方があると聞いたので試してみました。
用意するのはイワシやサンマなどの脂の多い青魚。普通の煮付けのように煮ていきますが、砂糖の代わりにこの松ぼっくりジャムを入れると美味しくなるというのです。
試食してみると、松ぼっくりの渋みの中にあるスパイシーさがまるで山椒のような風味になっていました。ヒノキのような香りは青魚の臭みと綺麗に打ち消しあっており、とても上品で食べやすい味に仕上がっています。ハッキリ言ってオススメです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>