今、「社会」入門に最適な名著3選――NHK「100分de名著」シリーズ【NHK100分de名著キャンペーン】
社会の名著を読み、未来について考える
シリーズ開始から、累計1000万部以上の発行を記録しているNHK「100分de名著」シリーズ。番組では、古今東西の名著を25分×4回の100分で読み解き、今の世の中を見通すためのヒントを得る構成が人気です。司会の伊集院光さんとゲスト講師とのやりとりも、毎回話題に。
今回は、2025年7月から全国の書店とNHK出版ECサイトで開催中の「100分de名著」フェアを記念して、数百もの名著に触れてきたNHK「100分de名著」テキスト編集部に、「今の世の中を理解するために必読の『社会』にかかわる名著」を聞きました。
「社会」入門におすすめの3冊
グローバル化などを背景に不安定な状態が続く昨今。社会問題や都市の未来について考えましょう。さまざまな学問の視点から現代の課題を深く理解することで、より良い未来を築くための知識と洞察を得ることができます。社会の名著3冊、ぜひ今こそ読んでください。
アドラー『人生の意味の心理学』
「人生は、変えられる」の思想を理解してみる。
――アドラー心理学の特徴は、あらゆる対人関係は「縦」ではなく「横」の関係にあり、人と人とは対等であると考える点にあります。対等という考え方は、民主主義が浸透しているはずの今日でも、残念ながらまだ本当の意味では実現できているとはいえません。(中略)アドラーは「あらゆる悩みは対人関係の悩みである」といっていますが、その対人関係の問題を解決するためにアドラーが提言している数々のことは、もしも人と人とが対等であるということの意味が真に理解されていなければ、かえって対人関係を損ねることにもなってしまいます。(名著ブックス「はじめに」より)
オルテガ『大衆の反逆』
民主主義の限界をあぶりだした大衆社会論の大著
――彼が言う「リベラル」とは、自分と異なる他者と共存しようとする冷静さ、あるいは寛容さといったものです。「大衆」が支配する時代においては、そうした姿勢が失われつつあるのではないかというのが、オルテガの指摘でした。(名著ブックス「はじめに」より)
アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』
ソ連従軍女性たちの声に寄り添う「生きている文学」を読み考える
――アレクシエーヴィチは、第二次世界大戦でソ連軍に従軍した女性たちのもとに足繫く通い、戦時中の過酷な経験、忘れ難い思い出、戦後の辛い体験やトラウマなどについて、じっくり耳を傾け、録音していきました。そして五百人にものぼる人びとの声を文字で再現し、紡いで、悲しみと苦しみに満ちた壮大な交響曲『戦争は女の顔をしていない』を織りあげたのです。(名著ブックス「はじめに」より)
今回ご紹介した「名著」読み解きのための「NHK『100分de名著』ブックス」の情報は、全国の書店、またNHK出版のホームページでもご覧いただけます。