【チェーンのチャーハン行脚】第16回:人生初の「来来亭」にして本誌独占スクープ(隠された秘密)をGET!
看板を見たことはあるけど行ったことはないお店。それが私の中での「来来亭(らいらいてい)」だった。
車を運転している時によく目に入ったことから、なんとなくロードサイドにあるイメージ。しかし、少し遠方への取材後にGoogleマップを眺めていると、なんと駅から徒歩2分で行ける店舗があった。
ということで、人生初の来来亭。東川口店に行ってみた〜。
通されたのはカウンター。タッチパネルが目の前にあり、店員さんと接することなく注文することができるもよう。
キムチチャーハン(700円)も気になるが、やはり最初はお手並み拝見のノーマル「チャーハン」(税込600円)を攻めるべきだろう。
水を飲みつつ、目を閉じながら耳を澄ます。
それはまるで「名曲喫茶」でBGMと共にコーヒーサイフォンのポコポコ音も楽しむがごとく、私は厨房から聞こえる「カンカン音」を堪能しようとしていた。
ところが!
聞こえてきたのは機械的なシャカシャカ音。「シュー、シャカ、シュー、シャカ」。一定のリズムでシューシャカしている。洗濯機っぽい音でもある。
ふと気になって、トイレに行ったついでに厨房を覗いてみた。すると、鍋が回転していた。ドラム式ではなく、コーヒーカップ的に鍋が回転しているのだ。もしかしてシューシャカの元はこれか? ロボシェフっぽくも見える。
そして店員さんが、シャッシャとシャモジ的な器具で鍋の中の料理をお皿によそっている。威勢よく「はいよー!」なんて言ったりもしている。チラっと見えたが、それはチャーハンっぽい外見。
そしてそれは、そのまま私のカンター席に運ばれてきて……
着飯(ちゃくはん)。
超・こんがり茶色!!!!!
なんとも思い切った茶色のチャーハン。これはもう「しょうゆ先行チャーハン」であることは明白。当連載初の「茶色い醤油チャーハン」なのでは? ある意味では「ヤキメシ」とも言えるコレ系のチャーハン、何気に私は大好物だ。
具は、卵、ネギ、そしてチャーシューのシンプル構成。食べてみると……
予想外にウマイ! 予想通り、かなり醤油系のチャーハンなのだが、思った以上に完成度が高い。
さらに、そのチャーハンの存在感を際立たせるのが、このスープ。ワカメの入ってないワカメスープのような、白ゴマたくさんのスープなのだが……
“チャーハン式ねこまんま” にピッタリなのだ! もしや、“そう食べてくれ” というチューニングなのか?
この濃い濃いの醤油チャーハンを、ワカメスープっぽいスープと合わせると、もう個性と個性のぶつかりあい。百戦錬磨の漫才師のような相性の良さを感じる。
正直、一瞬は「なんだ、炒飯マシン作か……」とナメた気持ちでいた私がいる。しかし、そこに「強烈な個性」を入れることにより、マシン作であることなんてどうでもよくなってくる。
完全に予想を裏切ってきた。いや、予想をはるかに超えてきた。「こういう(炒飯マシンの)使い方もあるのか……」と私は深く感動してしまった。
そして……
お会計時、あまりの感動に店員さんに、思わず「チャーハン、ものすごく美味しかったです!」と言ってしまった。思いが溢れすぎて漏れてしまった……に近い。
すると店員さんは「ありがとうございます」とニコリと笑い、とびきりのスクープ情報を教えてくれたのであった。
なんでも、前までは手振り(手作り)のチャーハンだったが、2024年7月5日からリニューアルして、炒飯マシンを導入したとのこと!!!!!
なにぶん人生初の来来亭だったので、「前までの手振りチャーハン」の味は未知なのだが、リニューアル後の「マシン炒飯」への方向転換は成功しているのではと私は思った。マシン炒飯でここまで感動したのは人生初かも。
手振り(手作り)には「念」が入ると私は強く信じている。
だが来来亭のマシン炒飯は、「マシン用にどうチューニングするか」という、研究に研究を重ねた末の研究結果にも似た「念」が入っていた。
モノは使いよう。そこには確かに「念」があった。
参考リンク:来来亭
執筆:チャーハン研究家・GO羽鳥
イラスト:マミヤ狂四郎
Photo:RocketNews24