『タコピーの原罪』新たな試みでアニメ化! 第1話先行上映会で上田麗奈さん・小原好美さん・永瀬アンナさんら声優陣がそれぞれの想いを語る/レポート
アニメ『タコピーの原罪』第1話の先行上映会&トークショーが2025年5月20日(火)、グランドシネマサンシャイン池袋にて行われました。登壇したのは、上田麗奈さん(しずか役)、小原好美さん(まりな役)、永瀬アンナさん(東役)。本稿では上映後に行われたトークの模様をレポートします。
【写真】『タコピーの原罪』先行上映会で声優陣がそれぞれの想いを語る/レポート
「点在する救いを求めて、最後まで見届けてください!」
タイザン5による原作『タコピーの原罪』は、短期連載作品で、単行本も全2巻ながら、SNSを中心に話題が広がり、作品の内容から、多くの人に衝撃を与えた。作中、いろいろな問題提起があるのだが、それはぜひアニメを観て、一緒に考えてもらいたい。
本作は、ハッピーを広めるために地球に降り立ったハッピー星人のタコピーが、自分を助けてくれた女の子・しずかと出会い、笑顔を見せないしずかに、笑顔になってもらおうと奔走する物語。ただ、便利なアイテムを出しても、それがことごとく上手くいかない……。心を閉ざしてしまっているしずかを取り巻く環境はどうなっているのか。それが徐々に明らかになっていくと、その真実に心が揺さぶられてしまう。
衝撃的な展開もあった第1話の上映後、キャストの上田麗奈さん(しずか役)、小原好美さん(まりな役)、永瀬アンナさん(東役)が登壇し、挨拶をしたのだが、どんなテンションでいけばいいのか、戸惑う3人。でも、トークを楽しんでいってほしいと伝えると、さっそく第1話の感想から話していく。
上田さんは“光と影の描き方”に触れ、「きれいなところをとことんきれいに描いて、汚いところをとことん汚く描く。その思い切りの良さに意味が込められているのが伝わってくるので、しずかの気持ちが、いま陰寄りなのだなとわかる。そんなところからも、原作へのリスペクトを持って、アニメでもその魅力をたくさん表現したい、という熱量を感じました」と熱く語る。
この複雑なストーリーをアニメ化できるの?と思っていたという小原さんは、「見ていて違和感があるんです。タコピーはポジティブでカラフルに描かれているけど、しずかちゃんやまりなが抱いている感情は、カラフルな世界ではない。音楽は、目を覆いたくなるシーンでもポップなところがあって、それがどこか引っかかる……。今まで見てきた作品とは違う空気が流れているのを、第1話で感じました」と、こちらもアニメの演出について感想を述べていく。
最後に、連載時から原作の大ファンだったという永瀬さんは、「登場人物の感情の起伏が丁寧に描かれていて、その繊細さに感動して、ファンとしても、素敵な作品になると思いました」とアニメのクオリティの高さに驚いていた。
第1話の本編が約36分あったのだが、その理由が、新PVと共に発表された。通常のTVアニメは20分強で1話分とされているが、『タコピーの原罪』は、テレビでの放映はなく、各プラットフォームでの配信公開となる。そのため、各話が同じ長さではない。それも、アニメ化が難しいとされる作品を、より丁寧にアニメで描いていくための判断であり、新しい試みと言えるだろう。
気になる第1話の配信は、6月28日(土)0時から。Netflix、Amazon Prime Video、ABEMA、U-NEXT、dアニメストアほかで、毎週土曜日に、全6話で配信されることも伝えられた。
さらに、OPテーマはano「ハッピーラッキーチャッピー」、EDテーマはTele「がらすの線」に決定。お二人から、曲に込めた想いを語るコメントも紹介されたが、こちらは公式サイトに掲載されているので是非チェックしてほしい。
「点在する救いを求めて、最後まで見届けてください!」
その後トークコーナーは、それぞれが演じたキャラクターにフォーカスして話をしていく。
東を演じた永瀬さんは、「東くんは優しい心を持っている人なんですけど、相手がどんなことを言ったら喜んでくれるのかなというのを、一旦整理しているところがあるんです。だから、頭の中でテキストにして、それを出力しているんだ、というイメージで収録していました。でも、ここから先、東くんがどう変わっていくのかというところも楽しみしていただきたいです」と語る。第1話での登場シーンは少なかったが、今後物語にどう絡んでくるのかも見どころとなってくるだろう。
まりなを演じた小原さんは、正直(演じていて)苦しかったと吐露する。「今までに向き合ったことがないタイプの女の子だったので、覚悟を決めて挑もうと思ったんですけど、自分の引き出しにはなくて……。元気な感じはあるけど、それ以外の感情的になる部分が、経験もなければヒントになる部分もなかったんです」と話していく。ただ、スタジオに行くと、家でひとりで演じていたものとは全然違う音が出たのだという。「まりなに一番寄り添えるのは、私一人しかいないと思えたとき、スーッと入ってきたところがあった」と、掛け合うことで生まれたものを大切にしていたと語る。
しずかを演じた上田さんは、「PV収録の時、しずかちゃんは“諦め”を強く出したいと言われて、なるほどと思ったんです。そのキーワードをベースにして、第1話以降のお芝居を考えていってみようと思って始めた収録でした。でもしずかちゃんって意外と感情表現が豊かでもあるんです。だから、無感情、無欲になり切ってはいないというラインを狙えるように演じていました」と振り返っていた。
また、本作に欠かすことができないタコピーについては、声を担当した間宮くるみさんの話題が広がっていく。小原さんが「現場ではタコピーのように、優しくてマスコット的な方なんです。でもお芝居入ると、かわいらしいお声なんですけど、演じるのに難しいところも、絶妙なお芝居をされている……。後ろで見ていて、すごくカッコ良かったです」と話すと、2人もそれに共感していた。間宮さんの人柄があったから、緊張せずに過ごすことができたと、事務所の後輩に当たる上田さんが語っていたが、3人共、間宮さんのお芝居と人柄を絶賛しつつ、頼りにしていたのも伝わってきた。
トークの最後には、3人からメッセージが贈られた。
「いよいよ『タコピーの原罪』が始まろうとしています。罪というキーワードが重く映る作品なのですが、辛く苦しい場面の中にも温かさや優しさがある作品なんです。そういうところを心の片隅に置きながら観ていただきたいです。キャスト陣のお芝居と絵の力で素晴らしい作品になっていると思っていますので、アニメの配信を楽しみにしていただければと思います」(永瀬アンナさん)
「それぞれ、好きな系統の作品ってあると思うんですけど、この短い人生の中で、このアニメーションに出会えたのは奇跡だと思いました。この仕事をすることで、いろんな役者さんを始め、スタッフさんとのご縁を改めて感じました。演じる上で、私になかったものを広げてくれたまりなちゃんにも感謝していますし、何よりこの作品を作ってくださった原作の先生に感謝したいです」(小原好美さん)
「この先を楽しみにしていてください!というのもちょっと言いづらいというか(笑)、ドキドキしながら観てくださいという気持ちが一番合っているのかな? でも本当に良い作品です。第1話で胸が苦しいと思った方もいらっしゃると思うんですけど、休憩を挟みながらでもいいので、最後まで観ていただきたいです。私はよく、『しずかに引っ張られたことはないんですか?』と聞かれるんですけど、実はなくて。それは、みんなで『タコピーの原罪』の素晴らしさを伝えるんだ!という気合いと熱量を持って作品づくりに挑めていて、それがすごく楽しかったからなんだと思います。その熱量は伝わると思いますので、点在する救いを求めて最後まで見届けてください!」(上田麗奈さん)
[文・塚越淳一]