冬の主役たち ラグビー 大分東明の大黒柱・平山風希(3年) 日本一への覚悟と挑戦 【大分県】
日本一に向けて、並々ならぬ闘志を燃やしている―。全国高校ラグビー大会に出場する大分東明高校のプロップ・平山風希だ。
県予選決勝は、大学受験のためチームの一員として戦えなかった。その日、試験を終えてバスで帰る途中に「勝ったぞ!」というLINE(ライン)が届いた。「優勝は間違いないと思っていたが、それでもホッとした」。仲間がつかんでくれた全国への切符に、感謝と安堵(あんど)、そして「今度は自分がチームに貢献する」という強い決意が生まれた。
平山は入学当初から大柄な体格で、周囲を圧倒していた。身長175cm、体重115kg、その恵まれた体格を生かし、1年の冬にはスクラムの大黒柱である背番号「3」を背負うこととなった。得意なプレーは、強烈なコンタクトで相手を押し込むこと。しかし、全国の強豪校と戦ったとき、「このままでは通用しない」と痛感する。
練習が終わった後も自主練習を欠かさず、筋力トレーニングにも精力的に取り組んだ。タックルのスキル、スクラムのセットアップ、ラインアウトやモールでの役割など、できること全ての質を高めた。ベンチプレスでは120kgを上げるほどの力強さを手に入れ、3年間で身長は180cmに伸び、体重も126kgまで増量。地道な努力が、確かな成長へとつながった。
練習から追い込み、フィジカル強度を上げる
その実力が認められ、昨年度に続き高校日本代表候補に選出された。代表合宿では、選手同士の「コミュニケーションの重要性」を学んだ。「それぞれが自分のプレーを理解してもらうために、言葉で要求し合う」。これまでは黙々とプレーしていた平山だが、合宿を通して「伝えること」の大切さを痛感し、チームに戻ってからは積極的に声を出すようになった。それは、「このメンバーで日本一になりたい」という強い思いがあるからだ。仲間の一人一人を信頼し、自らのレベルを引き上げることがチーム全体の強化につながると信じ、個の力を磨いた。
3度目の全国高校ラグビー大会。今年こそはという思いは、誰よりも強い。「今年はどのチームよりも走り込み、フィジカルの強度を上げてきた」。積み上げてきた努力と自負が、自信となって平山の心に揺るぎない信念を支えている。「必ず勝つ」。強い決意の下、初優勝への道を切り開く。
高校日本代表候補に選出された平山風希
(柚野真也)