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MIRACORE®(ミラコア)で実現するオールパーパスな食の未来 25年2月号

料理王国

MIRACORE®(ミラコア)で実現するオールパーパスな食の未来 25年2月号

創業から70年以上、植物性の油脂とたん白を研究する「不二製油」が、植物性素材のみで肉や魚を使った時のような旨みや味の厚み、満足感を作る注目の技術「MIRACORE®」。今回は、MIRACORE®が飲食業にもたらす可能性をお届けする。

MIRACORE®とは?オールパーパスとは?

MIRACORE®とは、本能的に食べたくなるプラントベースフードを目指し、大豆や発酵食品などを原料に、植物性油脂とたん白を組み合わせて満足感を作り出す技術。

このMIRACORE®を用い、「だし」として使えるようにした製品こそ、今回4名のシェフが使った「MIRA-Dashi®」だ。現在、チキン、ビーフ、白湯、カツオなどがあり、もちろん植物性で香料不使用である。

ミラコアの技術で作る「ミラダシ」は現在、全6種。組み合わせて使うことができる。

これらを使うことで可能になるのが下記の図表。例えば、菜食の主義や宗教の有無に関わらず、誰もがおいしい料理を体験できるため、インバウンド対策や集客に効果が。さらに簡単に使える希釈タイプゆえ、人件費の削減や円滑なオペレーションも実現。肉や魚に代わり満足感を得られるため、資源枯渇対策にも。畜肉エキスを含む動物性原材料に関する輸出制限に非該当で、海外ビジネスも拡大。オールパーパスとは、こうしたMIRACORE®の技術が叶える多様性や効率性、持続可能性のこと。味に加え、食の未来を見据えている。

誰もがおいしい料理を食べられる「多様性」、手軽に高い満足度を楽しめる「効率性」、将来的においしい料理を食べ続けられる「持続可能性」。限りなく本物の味に近い印象を作るミラコアの技術が、食の可能性を飛躍させる。

「満足感に植物性から向き合う技術」を謳うMIRACORE®。“ミラ”は「未来」「ミラクル」に由来。そのコアになる技術を目指す。2021年2月に誕生。

MIRACORE®公式ホームページhttps://www.miracore.jp/

不二製油株式会社
風味基材事業部 部長
齋藤 努さん

1995年、不二製油入社。中央研究所にて大豆たん白を対象に新素材を開発。2015年より不二製油グループ本社・未来創造研究所の新素材創出グループでリーダーを務め、24年現職。

龍旗信 松原龍司さん


ヴィーガン&グルテンフリー塩ラーメン

「ヴィーガンでありながら、グルテンフリーにふり切って誰もが食べられる商品を」と米粉麺を使用。丼にMIRA-Dashi®のカエシとネギ油を入れ、小鍋で加熱したトマト、タマネギ、米粉麺を茹で汁ごと丼に注ぎ入れて作る。植物性とは思えない濃厚で力強い旨みは驚愕の域。

動物性ラーメンと遜色ない、世界初の一杯ができました

ヴィーガンの塩ラーメンは約11年前から研究し、挫折したことも。ラーメンらしい力強い旨みを出すには野菜だけでは難しく、うま味調味料が必要でした。なのでMIRA-Dashi®に出会った時は「これがあればうま味調味料がいらない?!」と期待。ただし業務用だしは使ったことがなく、若干の心理的抵抗があったのも事実です。

昆布やシイタケ、トマトなどを煮出して煮詰めたものに、塩ダレやMIRA-Dashi®のチキン、カツオタイプを加えたカエシ。動物性だと脂が固まるが、植物性のため冷温両ラーメンに共用可。

しかし聞けば聞くほど料理人には作り出せない素材。それが大豆を中心にできていると知り、まずはMIRA-Dashi®で限りなく動物性のラーメンに近い、ヴィーガン塩ラーメンに挑みたいと思ったのです。2年かけて完成したのは、鶏だしに鰹節をきかせた塩ラーメンをイメージし、MIRA-Dashi®のチキンタイプをベースにカツオタイプを配合、さらに当店の塩ダレを合わせたカエシ。割るスープは、トマトやタマネギと共に米粉麺を茹でた茹で汁。とろみのあるスープが麺に絡み、鍋一つで調理が可能、かつ植物性なので冷製もOK。当店看板の塩冷麺に限りなく近い味が完成した時、「売れる!」と確信しました。MIRA-Dashi®は輸出ができるのでパリ店でも使う予定。宗教や嗜好を超えて誰もが食べられるオールパーパスなラーメンに可能性を感じています。

まつばら たつじ
1969年、大阪府生まれ。数々の飲食店の起業を経て、2000年に「塩ラーメン専門店 龍旗信」を大阪・堺にて開業。18年、フランスに進出。23年には「角濱ごまとうふ総本舗」とコラボした精進ラーメンを開発。

大阪NAMBA 龍旗信RIZE
大阪市浪速区難波中2-10-25なんばCITY なんばこめじるし
TEL 06-6644-2523

龍旗信LEO 新大阪駅店
大阪市淀川区西中島5-16-1 JR 新大阪駅 アルデ新大阪2F
TEL 06-6886-2272

楽心 片山心太郎さん


秋野菜の貝だし粥

粥のみを食べても貝やエビの風味を感じ、満足感のある旨みに驚く。さらに、食べる箇所ごとにそれぞれの野菜の風味や香ばしさ、食感が顔をのぞかせる。プラントベースの明太子や大豆ミートふりかけ、ヒノナの糠漬けなど、トッピングを添えて。

研究者と関わり新しい和食の可能性が見えました

MIRA-Dashi®を使ってみたのは、プラントベースの素材が目的というより、研究者と料理人が関わることで新しい和食の可能性を引き出したいと思ったからです。MIRA-Dashi®を試食した際には、想像とはやや異なり余韻や複雑味が足りず、「何か足したい」という印象でした。逆に言えば、それだけ余白があり、食材や調理法次第でいかようにもできると直感。和食は一般的に引き算の料理ですが、MIRA-Dashi®を使えばさまざまな味の足し算が可能になると思いました。そこで、日本の食文化や料理の原点であるお粥をベースにすればと思い、MIRA-Dashi®でお粥を炊くことに。MIRA-Dashi®の貝タイプをベースに、チキン、カツオ、白湯、エビを混ぜて複雑なだしを作り、そのだしで炊きました。

粥を炊くだしは5種のMIRA-Dashi®を合わせ複雑味を出す。ベースの貝タイプは「小さいアサリやサザエの壺焼きの汁の風味、味を感じる」。

仕上げには揚げたギンナンや香ばしく焼いたカブの葉、昆布だしで炊いた根菜を盛り、野菜の風味やえぐ味、苦味、食感を加えることで滋味深い味わいに。近年よく求められる精進料理に使えたり、消滅の危機にある昆布だしの代わりに使えたりするなど、MIRA-Dashi®は和食を未来に紡ぎ、可能性を広げる一つの手段になると感じます。

かたやま しんたろう
1977年、千葉県生まれ。「懐石料理 桝田」で8年、「とよなか桜会」で8年経験を積み、うち6年は料理長を務める。2013年、大阪・福島にて独立。海外でのイベントも多数。25年2月には同エリアで移転・拡大予定。

楽心
大阪府大阪市福島区福嶋1-6-27(2月より)
TEL 06-6451-2323

NO CODE 米澤文雄さん


大根のピカタ デミグラスソース

カットした大根をピカタ風に仕立て、「MIRA-Dashi®ビーフタイプ」をベースにしたデミグラスソースを添えたヴィーガン料理。ソースにはシェリー酒、メープルシロップ、15年熟成のバルサミコ酢、3年熟成の醤油、黒オリーブなどを加えて複雑な旨みを出した。

野菜料理に奥行きのある満足感を生む

MIRA-Dashi®と出会ったのは昨年の春頃。「不思議な調味素材」という第一印象で、「牛肉や魚介の風味が鮮明に感じられるのに、香料ではなく植物性、大豆由来?!」と混乱(笑)。私達料理人には“クセ”があって、修業時代から同じ調味料を使い続けがちです。新しいものに手を出すことは難しい。しかし、このMIRA-Dashi®はさまざまな角度で試作を続ける間に、面白さや可能性を感じるようになりました。

今回は、ダイコンをピカタ風に仕立て、MIRA-Dashi®のビーフタイプを使ったデミグラスソースを添えました。動物性の要素のない料理で満足度を高めるためには、しっかり咀嚼できる食感と奥行きのある旨みが重要。そのため、大根は輪切りと細切りの二種を使い、衣にはオニオン、ガーリックパウダーなどを加えてパンチをきかせています。

MIRA-Dashi®ビーフタイプに、熟成感のある調味料や酒を加え、コーンスターチでつないで濃度のあるソースに。力強く、奥行きある旨み。

ソースは、MIRA-Dashi®を軸に熟成感のある酒や調味料で肉付けしていくイメージ。ヴィーガン料理ではゴボウやビーツなどの土の香りの根菜でソースに深みを出すことがあり、それもおいしいのですが、単体で濃厚な動物性の旨みを感じさせるMIRA-Dashi®はやはり頼もしい。使うほどに用途は広がりそうです。

よねざわ ふみお
1980年東京都生まれ。渡米し、「ジャン・ジョルジュ」(NY)で日本人初のスーシェフに。帰国後、複数の店での料理長を経て22年「NO CODE」(東京・西麻布)を開業。ヴィーガン、持続可能性に配慮した食を多く手掛ける。

NO CODE
東京都港区西麻布2-25-31 クオーレ西麻布 2F

トゥーランドット臥龍居 脇屋友詞さん


芙蓉蟹丼(フーヨーハイ)

「芙蓉蟹」はいわゆる「カニ玉」のことで、広東料理の定番。MIRA-Dashi®の貝タイプをベースに作った餡をかけ、天津飯風とした。MIRA-Dashi®を芙蓉蟹と餡の両方に加えて全体をまとめ、卵やカニの味わいを際立たせるとともに、旨みの豊かさで驚きを生み出す。

時間をかけてとったような貝の深みで卵の味が際立つ

MIRA-Dashi®は、動物性の素材から時間をかけてとっただしのような深い旨みや風味が、こんなに手軽に、しかも植物性の素材だけで表現できていることに驚きを覚えます。これは、さまざまな理由で食に制限のある人や、健康に気を配っている人にも喜ばれますし、食を楽しむ上での裾野が広がりますね。

中国料理でも、例えば湯葉を鴨肉に見立てたり、ジャガイモとシイタケ、ニンジンをすりつぶして上海蟹に見立てたりといった精進料理は昔からありますが、そういう料理にMIRA-Dashi®を使ったら、さらに満足感の高い一品になると思います。

MIRA-Dashi®の貝タイプを用い、貝の風味と旨みをしっかりと主張するだしを作る。写真は餡を作る場面だが、卵にも少量加え、一体感を出す。

今回は、卵のおいしさが主役の芙蓉蟹にMIRA-Dashi®の貝タイプを活用しました。精進料理ではないですが、卵のようなシンプルな素材は、MIRA-Dashi®の旨みやコクによって輪郭が際立ち、より印象的な味わいになります。また、10%と濃い目に希釈をして卵と餡の両方に加えることで、ご飯にかけたときの一体感、インパクトも増します。

優れた植物性の食品は、これからの食生活には不可欠なものとなります。問題意識を持ちつつ、“お客様の嬉しそうな顔”を生み出せる料理を作っていきたいですね。

わきや ゆうじ
1958年北海道生まれ。15歳で料理の道へ。「山王飯店」(東京・赤坂)などで修業を積む。「トゥーランドット游仙境」代表取締役総料理長に就任の後、2001年「Wakiya一笑美茶樓」、11年「トゥーランドット臥龍居」を赤坂に開業。23年「Ginza脇屋」オープン。

トゥーランドット臥龍居
東京都港区赤坂6-16-10
TEL 03-3568-7190

MIRA-Dashi®から広がる多様なおいしさがスタンダードに!?

動物性原料や香料を一切使用していないにもかかわらず、動物性食品特有の風味や重層感、満足感を叶える技術がMIRACORE®。その技術によって生まれたのが、植物性の風味素材(ダシ)MIRA-Dashi®だ。

パンチのある味わいながら後味が軽やかなラーメン、季節の野菜を添えた深い旨みの粥、ボリューム感も意識して濃厚なデミグラスソースを合わせたヴィーガン料理、そして定番の卵料理を貝の風味でより厚みのある味に仕立てた広東料理の一品──。ジャンルが異なる4人の料理人が創ったMIRA-Dashi®を活用した料理の数々は、まさにオールパーパスな食の未来形を見せてくれる。

4人の共通した感想として出ていたのが、新しい可能性を秘めた植物性のだし、料理のベースとしてのMIRA-Dashi®の魅力だ。

「MIRA-Dashi®の旨みを軸に、さまざまな食材や調味料、スパイスなどを足しながら複合的に厚みを出していくことで、ヴィーガン料理にありがちな“もの足りなさ”を、克服できる。フォンやソースはコストも高くなりがちだが、それを抑えるメリットも大きい」と話すのは、昨年からMIRA-Dashi®を試し始めたという「NO CODE」の米澤文雄さん。

一方、今回「芙蓉蟹」を提案した「トゥーランドット臥龍居」の脇屋友詞さんは、「食に制限のあるお客様とないお客様が、お互い気を使わず同じテーブルに着き、皆が笑顔で料理を楽しめるように工夫することはこれからのレストランにとって重要。MIRA-Dashi®は、その可能性を広げてくれる」と話す。

MIRACORE®では、動物性の食品特有の満足感を再現すべく、満足感のもとと考える〝油脂とたん白〟に着目。不二製油で長年蓄積されてきた「植物性油脂とたん白の加工技術の融合によって、さまざまな風味を再現する手法」を駆使し、動物性食品の風味も再現した。MIRA-Dashi®にはそれが存分に活用されている。

また一般的な業務用だしと異なり、MIRA-Dashi®では味を完成させず、アレンジの余地を残している。さまざまな素材や調味料、酒、スパイスやハーブなどの要素を足していくことで、旨みを備えつつ作り手の目指す味に寄り添ってくれることも魅力だ。

多様なおいしさを生み出す可能性を持った料理の土台として、また、レストランが慢性的に抱える人材不足や、動物性資源の枯渇といった問題にも貢献する素材として、MIRA-Dashi®の注目度は今後ますます高まりそうだ。

問い合わせ先
不二製油株式会社 風味基材事業部
miracore@so.fujioil.co.jp

text: Ryoko Sato(冒頭から楽心まで), Nobuko Minagawa(NO CODE以下) 
photo: Katsuo Takashima(龍旗信、楽心), Haruko Amagata(NO CODE), Tomoko Osada(トゥーランドット臥龍居)

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