新学期の事故…「魔の7歳」の命に大人ができることを考える 通学路の危険は?
北海道内の小学校では続々と入学式が行われ、新学期が始まりました。
そんな中気をつけたいのが、通学路での交通事故です。
北見市の市立小学校21校は、4月7日が入学式。小泉小学校では警察官らが通学路に立って交通安全を呼びかけました。
「道路にはみ出さないように、気をつけてって言われたことがある」
「ひかれたら大変だから、ちゃんと手をあげてやるしかない」
しっかりと答える1年生。
北海道警察によりますと、歩行中の交通事故で死傷した小学生のうち、およそ6割が「登下校中」の事故です。
新学期に気をつけたい通学路の危険を、詳しく調べました。
連載「じぶんごとニュース」
「魔の7歳」小学生死傷事故の7割が
2024年までの5年間で道内で歩行中の交通事故によって死傷した小学生は、あわせて327人。
減少傾向で推移しているものの「魔の7歳」とも呼ばれる小学1、2年生が全体の半分以上を占めています。
札幌市では、交通事故を未然に防ぐため、10年前から新年度に通学路の危険箇所を公表しています。
市内すべての小学校を対象に調査を行い、道警や北海道開発局と協力して危険な通学路に標識や信号機を設置するなどの対策をしています。
担当者の札幌市教育委員会学校配置マネジメント担当・日比野篤課長は「保護者も気をつけていただいて、子どもたちにちゃんと通学路を通って、青信号でも左右を確認したうえで横断歩道を渡るときは気をつけてほしい」と呼びかけています。
交通量と街路樹の危険(札幌・白石区)
通学路には、どのような危険が潜んでいるのでしょうか。
交通事故のリスク管理に詳しい専門家・日本損害保険協会北海道支部の大本修嗣さんと札幌市内の通学路を歩いてみました。
やってきたのは白石区の米里小学校の通学路。
交通量が多いことがわかります。
「こちらから見ると、この道は左側に緩やかにカーブしている。夏になって葉が生い茂ってくると、信号が見えにくいかもしれない」
大本さんは、信号に気がつかないで車が交差点に入ってくる危険性を指摘します。
札幌市は、3月にできるだけ信号を見やすくするため、街路樹の枝を伐採しました。
取材の翌日には、通学路を確認する親子連れの姿が。
「娘がこれから小学校入学なので、通学路を確認するために一緒に歩きに来ました。車の通りが結構多くてちょっと怖いなと思っていたので、しっかり教えておこうかなと」
右みて、左みて…新1年生、準備万端です。
ドライバーも子どもの動きに注意(札幌・厚別区)
続いては、厚別区の「新札幌わかば小学校」の通学路です。
ここにも危険が潜んでいます。
交通量が多く、交差点には横断歩道も信号機もありません。
子どもがふと道路を渡ってしまいそうな道…。停止線はほとんど消えてしまっています。
「できれば横断歩道、信号のあるところを渡るように指導してほしいが、それでも子どもは渡ってしまうことがある」と大本さん。
「特に学校の近くを運転するドライバーは、子どもがどういう行動をするか分からないと考えて、減速して注意や安全確認をしながら運転してほしい」と呼びかけます。
通学路での交通事故…登下中が6割
2024年までの5年間で、道内で歩行中の小学生が死傷事故に遭った時の状況です。
登校中が27.5%、下校中が30.9%で、登下校を合わせると、6割に迫っています。
横断歩道があるから安心とは限らない
2024年までの5年間で、横断歩道が「ない」道路の交通事故で死傷した小学生は合わせて122人です。
一方、信号機と横断歩道が「両方ある」交差点やその付近でも、101人が死傷しているんです。
小学生の場合は、歩行者の側が飛び出しや横断違反といった法令違反をしたのが40.1%に上ります。
大人も含めた全年齢の倍以上の割合なので、まだまだ交通ルールや注意力が身についていない面もあるかもしれません。
私たち大人ができること
子どもたちに向けて、呼びかける注意点。
青信号でもいったん立ち止まって左右を確認し、クルマの停止を確認してから、手をしっかりと上げて横断してください。
そして、新学期に楽しく一歩を踏み出してもらうためにも、私たち大人の側も車を運転するときには、よくよく注意しましょうね。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年4月7日)の情報に基づきます。