写真家時田さん 「危機意識を高めて」 「まさかはない」と警笛
東日本大震災からもうすぐ14年が経つ。この間、震度7クラスの地震は昨年元日に能登半島、2018年には北海道胆振地方、16年には熊本で発生し、甚大な被害をもたらした。写真家、時田まさよしさんは被災地の惨状と復興への記録を撮り続けてきた中で改めて今、人々に何を伝えたいのか--。
時田さんが撮影してきた写真には「がれきで埋め尽くされた市街地」「変わり果てた街に落胆する人々」「倒壊して壊れたビルや家」など想像を絶するほどの被災地の姿が収められている。
時田さんがいつも訴えているキーワードが『まさかはない』。被災地の写真を撮り続ける中、今でも強く感じているのは「日本は災害大国でありながら、危機意識が低い」ことだという。
取材を通じて被災者から聞こえてくる声の多くは『まさか自分が住んでいる所でこんな災害が起こるとは思わなかった』。「災害に対する危機意識を高めることが重要」と指摘する。
時田さんはこれまで、東日本大震災や糸魚川の大火などの被災地をテーマとした報道写真集を出版。「被災地の現場がもっと報道され、それが一般市民の人たちの目に触れることが重要。それを教訓として生かさなければいけない」と地元・相模原市内を中心に写真展を開催してきた。
国会や地方議会では今、新年度予算を審議しており、防災のデジタル化やトイレ整備など新たな視点が盛り込まれた施策が発表されている。
それでも時田さんは警笛を鳴らす。「大きな災害になったら公助の手は回らなくなる。地元自治会のバックアップ体制が重要であり、個人での対応が必要となる」