さあ、ニットの季節です! 今年は何を編む?
ウエアも小物も! あったかニット大特集
やってきました、ニットの季節。
ウエアに、小物に……。今年は何を編みましょうか?
1本の糸から、あらゆる形が生み出され、
さまざまな編み地を表現できる、編み物。
時間をかけて1目ずつ編むという体験のなかに、
驚きと喜びが満ちあふれて、思わず夢中になります。
そして、自分の手で作品が編み上がったときの満足感は格別。
編み針と糸を手にすれば、さあ、とっておきの時間の始まりです。
棒針で編む! ジグザグ模様のはおりもの
アラン模様のようなジグザグが印象的なはおりもの。
後ろ身ごろから模様が続いて、前身ごろまで一続きに編みます。
ゆったりと肩を覆う身ごろで暖かく、これからの季節にぴったりです。
ベストのように着られますが、そで部分があるので肩がしっかり覆われる、肌寒い時期に頼りになるはおりものです。
後ろ身ごろのすそから編み始め、わきで増減してそでにあたる部分を作り、右前身ごろのすそまで編んだら左前身ごろへ。
前後身ごろとそでのパーツを分けず、続けて編みます。
ジグザグ模様は交差編みで作り、2本の模様の間を裏編みにすることで、より立体感が生まれました。
身ごろを左右に分けた位置で、左右の縁編みを重ねて編むことで丈夫になります。
ネップの入ったネイビーのツイードヤーンで、作品Aよりカジュアルな雰囲気に編みました。
張りのある糸なので編み地はやや厚く、ジグザグ模様もより浮き上がって見える仕上がりです。
松本恵衣子(まつもと・えいこ)
ニットクリエイター。幼い頃から好きだったニットを大学卒業と同時に本格的に学び、ニットの技能検定や師範の資格を取得。書籍や雑誌、展示会などで作品を発表している。棒針・かぎ針を融合したユニークな作品や、工夫を凝らした編み地や仕立てで、幅広い年齢層に人気が高い。
模様編みを楽しむ 厚手のニット帽
ねじり目と“ノット編み”で立体感を出したニット帽。
太い糸で編んだ、ふっくらとした弾力のある編み地が魅力です。
男女・年齢問わずにかぶれる甘すぎない模様を楽しんで。
シンプルな生成りで、合わせる服を選ばず使えるニット帽。
ねじり1目ゴム編み、模様編み、メリヤス編み……と編み進むごとに変化する編み地構成が楽しいデザインです。
後ろの部分はスリットを作って、アクセントに。
この部分だけ往復に編んでいます。
作品Aと編み方は同じですが、トップの部分で色をかえて。
グレー×ブルーは男女どちらでもフィットする配色です。
かぶったときにしっかり形が決まるのがうれしいデザイン。
トップの配色がポイントです。
宇野千尋(うの・ちひろ)
ニットデザイナー。アパレル業界、糸メーカーでの勤務を経て独立。現在はウエアから小物まで、主に身につけるものを中心にしたニットデザイン・製作に携わる。手編みならではのボリューム感ある編み地と、男女問わず着られるデザインが魅力。
巻き方いろいろ アシンメトリーの三角ショール
方眼編みに模様を編み込んだ、左右非対称の三角形のショール。
首にぐるぐる巻いたり、ひと結びしたり、服装や気分によって巻き方を楽しめる、ちょっと長めのショールです。
長編みと鎖編みを繰り返す方眼編みに、表引き上げ編み3目一度を編み込むと、ぷっくりとした模様が浮き上がります。
縁は鎖編みでスカラップ形に。
グラデーションの糸で編み地の色の変化も楽しんで。
作品Aを1号細い針で編むと、サイズがひと回り小さく仕上がります。
単色の糸の編み地は模様編みがよりくっきりと見え、スタイリッシュな印象に。
左右非対称の形を生かし、三角形の頂点を背中の中央ではなく、ずらしてもおしゃれ。
巻き方いろいろ
左右の辺の長さが違うので、ひと巻きしたり結んだりしたときに、バランスがとりやすいのがポイントです。
1 ショールを肩からかけて、左右の辺を両手に持ちます。
2 長いほうの辺を後ろに回します。
このまま短いほうの辺を前側に垂らすだけでも様になります。
3 長いほうの辺を首に巻きます。
ここでストップして、ひと巻きスタイルにしても。
4 最後に左右の辺を前側でひと結びすると、かわいい雰囲気に。
風工房(かぜこうぼう)
ニット&クロッシェデザイナー。武蔵野美術大学で学び、独学で編み物の技術を習得。美しい配色とデザインに定評があり、国内外の雑誌や書籍、メーカーの展示会などで作品を発表。
ふんわり編む 粉雪のカウル
空から舞い降りた粉雪のように、ふんわり柔らかいカウル。
身につけていることを忘れるほどの軽さながら、首元をしっかり温めてくれます。
シンプルで洗練された形と、編み地の優しい表情が目を引くカウル(ネックウォーマー)。
輪になっているため、さっとかぶるだけで形が決まり、巻き方に迷うこともありません。
かぎ針を使って芯糸(変わり糸)を編み糸(モヘア糸)で編みくるむ、包み編みで作ります。
鎖編み、細編み、引き抜き編みで編めて、編む長さも短いため、さくっと完成します。
1玉ずつで出来るのもうれしいポイント。
コンパクトでかさばらないので、寒暖差が大きい時期にはバッグにしのばせても。
ノンストレスな軽さは、室内の寒さ対策にもぴったりです。
Ronique(ろにーく)
札幌市出身。幼い頃から棒針編みなど手芸に親しみながら育ち、子育てを機に独学でかぎ針編みを始める。シンプルで編みやすいパターンと、ふだん使いしやすいデザインが人気。
いくつも編みたい かぎ針編みのくつ下カバー
いつものくつ下の上に、重ねて履きたいくつ下カバー。
冷えやすい足先をふんわり包み、彩ります。
長編みの繰り返しで全体を編み、甲には方眼編みで左(Left)と右(Right)を表す「L」と「R」の文字を入れました。
一度、編み方を覚えたら、次は糸をかえてもう1足。
自分用にバリエーションをそろえたり、人に贈るプレゼントにしたりと、楽しみが広がります。
くつ下とくつ下カバーの 組み合わせを楽しむのもおすすめ。
白で統一したコーディネートに、くつ下カバーの水色がアクセントに。
村林和子(むらばやし・かずこ)
ニットデザイナー。シンプルに見える編み地の中に、きれいに仕上がるテクニックがちりばめられ、編み上がりの美しいデザインに定評がある。
ビッグモチーフのスクエアバッグ
5枚の大きなモチーフをつないで作る、かぎ針編みのバッグ。
四角形の連なりと、ぷっくりとした花のモチーフが目を引きます。
20㎝角のモチーフを5枚編んではぎ合わせ、持ち手と入れ口は細編みでぐるりと編んで作ります。
基本的な編み方だけでできるので、かぎ針編み初心者にもおすすめ。
大きな入れ口からは荷物が出し入れしやすく、
広いまちがあるので容量もたっぷり。
糸を6色使用して、作品Aと同じ要領で編みます。
甘さと大人っぽさのバランスのとれた、配色のセンスが光ります。
柔らかな編み地は、荷物の形や持ち方によっていろいろな表情を見せてくれます。
底面も同じモチーフで、どの角度から見てもかわいらしいデザイン。
Lunedi777 泉 玉青(るねでぃなななななな いずみ・たまお)
ニット作家。転勤暮らしの中、どこでも続けられる編み物を独学で学ぶ。2007年頃からブローチやバッグ、ニット小物などの作品を販売し、手芸雑誌や企業へのデザイン提供を行う。
ヘッダー画像
撮影/白井由香里、中野博安(はおりもの、くつ下カバー) モデル/ケルクハナ、松永ちさと(はおりもの、くつ下カバー)
棒針で編む! ジグザグ模様のはおりもの
いくつも編みたい かぎ針編みのくつ下カバー
撮影/中野博安 モデル/松永ちさと
模様編みを楽しむ 厚手のニット帽
巻き方いろいろ アシンメトリーの三角ショール
ふんわり編む 粉雪のカウル
ビッグモチーフのスクエアバッグ
撮影/白井由香里 モデル/ケルクハナ