2025年どうなる?どうする!世界・日本・九州、福岡市の主な注目事業
新年2025年は、どのような年になるのでしょうか? 経済・ビジネス分野では、みずほリサーチ&テクノロジーズによる世界や日本の経済成長率の予測に注目しました。そして、九州経済調査協会による2025年度の九州のGRP予測を踏まえながら、福岡市における2025年の主な注目事業を紹介していきます。
〝昭和100年〟2025年の経済成長率は世界3.1%、日本1.2%
出典:みずほリサーチ&テクノロジーズ調査本部『2024・2025年度 内外経済見通し~パンデミック後の落ち着きどころを探る世界経済~』
2025年における世界実質GDP成長率は、3.1パーセント(見通し)━━。
みずほフィナンシャルグループのシンクタンクであるみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社は2024年10月24日、『2024・2025年度 内外経済見通し~パンデミック後の落ち着きどころを探る世界経済~』を発表している。
同レポートによると、〝昭和100年〟にあたる2025年における世界経済について、「インフレ一服と金利低下が押し上げ要因になるも、成長率は力強さを欠く」と見通す。
そして、「2025年半ばにかけては高金利の余波と中国減速が重石に。その後は利下げ効果が徐々に顕在化し、緩やかな成長軌道へ」との見通しの下、2025年の世界実質GDP成長率について、前年比3.1パーセント増と予測する。
一方、日本においては、「高水準の企業収益が継続することで賃上げ余力は相応に担保。人手不足感も相まって2025年春闘賃上げ率は4%前半と高めの伸びを維持」との見通しを示す。そして、日本における2025年の実質GDP成長率を同1.2パーセント増と予測する。
2025年度:九州・沖縄の実質域内総生産の成長率を前年度比1.4%増を予測
画像提供:九州経済調査協会
当会は、25年度における九州(沖縄県含む)の実質域内総生産(GRP)成長率を前年度比+1.4%と予測する━━━。
公益財団法人九州経済調査協会は2024年12月24日、『2025年度における九州経済の見通し』を発表した。
2025年度における九州・沖縄の経済見通しについて九州経済調査協会では、「所得増を要因とした民間消費の回復が進みます。春闘など全国的な賃上げムードの高まりの中、九州においても足下で現金給与総額の増加がみられる。加えて、円安等に起因していた物価上昇が25年度は緩やかになることが予測されるため、民間消費の成長率は前年度を上回ります」と予測している。
2025年はヘビ年の「乙巳」。〝再生や変化し柔軟に発展〟する年
2025年の「干支(えと)」は、十二支(じゅうにし)の「巳(み):ヘビ」と十干(じっかん)の「乙(きのと)」が組み合わさった「乙巳(きのと・み)」である。
十二支とは、その年を12種類の動物になぞらえたものだ。
2025年は、毎年変わる十二支で6番目となる、〝巳年〟つまり、ヘビ年だ。
巳(み・ヘビ)は、神様の使いとして大切にされてきた動物である。
そして、脱皮を繰り返すことから、不老不死のシンボルともされている。
一方、十干とは、「万物は木・火・土・金・水の五元素(五行)で構成されている」と考える古代中国の思想である『五行説』に基づくものである。
2025年は、「木」行に属する「乙(きのと)」となる。木の要素を持つ乙は、草木がしなやかに伸びる様子や横へと広がっていくという意味がある。このため、乙巳(きのとみ)の年は、「再生や変化を繰り返しながら柔軟に発展していく」年になるものと考えられる。
2025年の福岡市における主な注目事業
天神ビッグバンと博多コネクティッドという都市開発促進策を〝両輪〟にして、大きく前へ進み出している福岡市にとって、2025年は、どのような年になるのだろうか?
福岡市における、2025年の主な注目事業を紹介していく。
【2025年01月】オフィス・ホテル・商業の複合商業ビル『ヒューリックスクエア福岡天神』が1月31日に開業
『ヒューリックスクエア福岡天神』
福岡市・天神を東西に走る明治通り南側、福岡パルコの西隣に不動産会社ヒューリック(東京都中央区)が建設している『ヒューリックスクエア福岡天神』は、2025年1月31日に開業する。
福岡市の再開発促進策である天神ビッグバンでのボーナス認定を得た同ビルは、地上19階・地下3階建て、高さ92メートルのホテル・オフィス・商業の複合ビルだ。
同ビルの地下2階~地上2階は商業フロアとなっており、中華料理店『天神華都飯店』やドラッグストアなどが入居する。
地上3階~8階は、オフィスフロアだ。地上10階~19階にはヒューリック子会社の運営による『ザ・ゲートホテル福岡 by HULIC』が、九州地区で初出店する。
ホテルの開業日は、『ワン・フクオカ・ビルディング』の開業日と同じ2025年4月24日を予定している。
【参考】天神2丁目の明治通り沿いに高さ92mのホテル・オフィス・商業の複合ビル【福岡市中央区】
https://fukuoka-leapup.jp/biz/202401.22033
【2025年03月】『花の祭典』が3月23日からの5日間、福岡市植物園で開催
『福岡市植物園』(画像提供:福岡市)
2025年3月23日から27日の5日間、福岡市植物園において『花の祭典~Fukuoka Flower Show Pre-Event』が開催される。
同イベントは2026年春、花をテーマとした国際イベント『フクオカフラワーショー(FFS)』の開催を目指し、そのプレイベントとして実施するものだ。
花の祭典では、市民・企業・行政が一体となった〝花による共創のまちづくり〟のさらなる推進を図り、一人一花運動の拠点である福岡市植物園のバラ園と大花壇エリアのリニューアルオープンに合わせて開催される。
花の祭典の会場では、通常の植物園入園料で入場可能な『一般エリア』に加えて、別料金を支払って入場する『特別エリア』を設ける予定だ。特別エリアでは、シンボルガーデンを展示し、レストラン・カフェも出店する。
また、『まちなかエリア』では、市街地のビルや公開空地などにおいての花装飾の展示もしていくとする。
【参考】世界最高峰のガーデニング大会を参考に2026年3月、『Fukuoka Flower Show 2026』の実施に向けてチャレンジ
https://fukuoka-leapup.jp/city/202407.34167
【2025年03月】福岡空港の国際線ターミナルビルが3月28日にグランドオープン
福岡空港の国際線旅客ターミナルビル
福岡空港にとって2本目となる第二滑走路の供用開始が2025年3月末に予定されている。
そうした中、福岡国際空港株式会社(福岡市博多区)は2025年3月28日、国際線旅客ターミナルビルをグランドオープンさせる。
福岡空港の国際線ターミナルビル等増改築工事では、従来の約7万3,000平方メートルだった国際線旅客ターミナルビルの延べ床面積を倍近い約13万6,000平方メートルへ拡張している。
これまでの増改築工事では、コンコースの延伸や旅客搭乗橋の増設、立体駐車場の新設、ラウンジのリニューアル、到着ロビーの拡張、二次交通への乗り継ぎ環境を改善したアクセスホール、内際連絡バス専用道の供用などを実施している。
2025年3月28日のグランドオープン時には、保安検査場や出国審査場を移転拡張し、保安検査場にスマートレーン(スマートセキュリティシステム)を7台導入する。
【参考】福岡空港の国際線ターミナルビルが2025年3月28日、グランドオープン
https://fukuoka-leapup.jp/biz/202411.42102
【2025年03月】『福岡市民ホール』が3月28日オープン、福岡市民会館を継承
『福岡市民ホール』
60年余りにわたって、福岡市民に親しまれてきた福岡市民会館を継承する施設として、建設を進めてきた『福岡市民ホール』が3月28日に開館する。
福岡の新たな文化振興の拠点として、文化芸術空間を創出していく『福岡市拠点文化施設整備及び須崎公園再整備事業』によって、福岡市民ホールは整備されている。
施設整備に際して、民間事業者による施設建設~所有権移転~維持・管理・運営を実施するPFI-BTO 方式を採用した。
福岡市民ホールには、大ホール(約2000席)、中ホール(約800席)、小ホール(約150席)の3つのホールがあり、さらに大ホールの舞台と同規模のリハーサル室や、個人利用も可能な練習室などが設けられている。
福岡市民ホールは、福岡市民会館の西側となる天神方面側に建設されており、福岡市都心部へより近づいた利便性の高い施設としても期待を集めそうだ。
【参考】福岡市民会館の建て替えと須崎公園のリニューアルによる「福岡市拠点文化施設整備及び須崎公園再整備」が進行中【福岡市中央区】
https://fukuoka-leapup.jp/biz/202212.1027
【2025年03月】大橋駅東口に〝緑〟のランドマークとなる複合施設『OHASHI HILL』が3月、誕生予定
『OHASHI HILL』(画像提供:えんホールディングス)
福岡市南部の広域拠点であり、住宅地としても人気が高い大橋地区に〝新たなランドマーク〟となる複合施設『OHASHI HILL』が3月、誕生する予定だ。
日赤通りに面した大橋駅東口にOHASHI HILLを建設する株式会社えんホールディングスでは、「人々が集い・交流できる場や仕組みの提供を通じて〝ゆとりある憩い空間〟を創出していく」とする。
地上6階建てのOHASHI HILLでは、調剤薬局やカフェ、ベーカリー、物販テナント、クリニック、オフィス、一時保育所などに加えて、地域の活動拠点となる新施設『おおはしラボ』も開設する予定だ。
OHASHI HILLでは庭園デザイナーであり、福岡市一人一花アンバサダーである石原和幸氏の監修の下、壁面・屋上緑化で立体的かつ重層的な植栽を施していく。
『ウェルネス』『多様性』『環境』『文化芸術』をコンセプトとするOHASHI HILLは、『居場所感』を得られる施設としても注目を集めそうだ。
【参考】大橋駅前に〝居場所感〟のある新複合施設『OHASHI HILL』建設がスタート。2025年3月開業予定
https://fukuoka-leapup.jp/biz/202404.27608
【2025年03月】日生ビル跡・三栄ビル跡に日本生命と積水ハウスの共同ビル『天神ブリッククロス』が3月、完成予定
『天神ブリッククロス』
福岡市・天神地区の東西を走る主要基幹道路である明治通りと昭和通り━━。
その両通りに挟まれた天神一丁目北街区14番街区の日本生命福岡ビル跡地と福岡三栄ビル跡地に建設中の大型オフィスビル『天神ブリッククロス』が3月、完成する予定だ。
日本生命保険相互会社、積水ハウス株式会社が建設する天神ブリッククロスは、昭和通りと接する北棟(地上18階・地下2階、高さ約86メートル)と明治通りに面した南棟(地上13階・地下2階、高さ約67メートル)で構成されている。
建物の東側道路は、福岡市の都市計画道路を延伸して、明治通りから昭和通りをつなぐ新たな都市計画道路『天神通線』となる。
天神通線の道通り沿いに幅員約8メートルの歩行者空間を設けて、常緑並木をはじめ地上から地下までつながる壁面緑化を配置し、緑豊かな空間を設けている。
【参考】天神一丁目北街区14番街区に日本生命と積水ハウスの共同開発オフィスビル誕生、2025年3月【福岡市中央区】
https://fukuoka-leapup.jp/biz/202311.17808
【2025年04月】『ONE FUKUOKA BLDG.』が4月24日、〝創造交差点〟として開業
『ONE FUKUOKA BLDG.』
2025年4月24日、『ONE FUKUOKA BLDG.(ワン・フクオカ・ビルディング:略称ワンビル)』がオープンする。
ワンビルは、福岡ビル~天神コア~天神第一名店ビル(天神ビブレ)の3棟ビルを建て替えて、街区全体を一体的に開発した大型複合ビルだ。
地上19階・地下4階、高さ約97メートルとなるワンビルの地下3階・地下4階は駐車場であり、地下2階~地上5階の商業フロアにローカルの名店から世界ブランド店など約120店舗が出店する。
6階・7階のスカイロビーでは、6階にカンファレンス機能を担う『ONE FUKUOKA CONFERENCE HALL』を設け、7階にイノベーションキャンパス『CIC Fukuoka』が入居する予定だ。
8階~17階はオフィスフロアであり、このうち9階・10階に西鉄本社が入居する。
18階・19階はホテル・レストランフロアとなっており、最上階の19階に博多湾を一望できるルーフトップバーやオールデイダイニングを開設する。
【参考】天神ビッグバン絵巻 其の二 ~輪郭が見え始めた天神の「いま」と「未来」~
https://fukuoka-leapup.jp/biz/202405.29467
【2025年06月】高さ113mの『天神住友生命FJビジネスセンター』が6月に完成予定
『天神住友生命FJビジネスセンター』
福岡市・天神の目抜き通りである明治通りと西通りがクロスする天神西交差点の一角において、住友生命保険相互会社と福岡地所株式会社による『天神住友生命FJビジネスセンター』の建設が進んでいる。
2025年6月に完成を予定する同計画では、住友生命所有の『住友生命福岡ビル』と福岡地所所有の『天神西通りビジネスセンター』の2棟を建て替えて、高さ113メートルの地上24階・地下2階建てオフィスビルを一体的に開発していくものだ。
明治通りに面した建物の正面には、地上広場や2階の大きなテラスなどが、新たな〝ビルの顔〟となり、天神西の象徴的な景観をつくりあげるとする。
地下鉄天神駅と接続する本計画では、敷地1階の東側にピロティ空間を設ける一方、同じく敷地の西側にも大きな庇(ひさし)のある広場空間を開設する予定だ。
【参考】明治通りと西通りがクロスする天神西交差点に高さ113メートルの24階建て新ビルを建設【福岡市中央区】
https://fukuoka-leapup.jp/biz/202212.993
【2025年06月】既存躯体の再利用による環境配慮型の13階建てオフィスビルが6月、完成予定
『博多駅前三丁目プロジェクト(仮称)』
従来の建替工事比でCO2を解体時で52パーセント削減、新築時37パーセントで削減━━。
みずほ銀行系列の不動産会社である中央日本土地建物株式会社(東京都千代田区)が、福岡市・博多駅前3丁目で建設を進めている、地上13階・地下2階建ての環境配慮型オフィスビルが2025年6月、完成する予定だ。
『博多駅前三丁目プロジェクト(仮称)』として建設している同ビルでは、従前建物のうち、地下2階~地上2階の柱とはりなどの躯体を再利用している。
このため、解体時や新築時のCO2排出を大幅に削減しているとする。
一方、新築部分では、中3階に中間免震層を設けており、建物全体の耐震性を高めていくことによって、BCP対策にも配慮した建物になっている。
場所はANAクラウンプラザホテル福岡西側。同ビルでは、福岡市から4件目となる博多コネクティッドボーナスの認定を受けている。
【参考】博多駅前3丁目に既存躯体の再利用でCO2大幅削減の環境配慮型13階建てオフィスビル【福岡市博多区】
https://fukuoka-leapup.jp/biz/202308.12056
【2025年11月】新しい福岡武道館が福岡県庁近くに11月完成予定
新しい福岡武道館(画像提供:福岡県警察)
デザインコンセプト「武道の精神と福岡の文化の融和による武道振興の新たな拠点の創出」━━。
福岡県庁に程近い福岡市民体育館西側の国有地において現在、建設が進められている新しい福岡武道館が2025年11月、完成する予定だ。
新福岡武道館は、地上4階・地下1階建で、建物の地下1階に駐車場を設ける。
地下1階と地上1階の吹き抜けにサブアリーナを新設し、地上1階に相撲場と練習用土俵を設ける。
地上2階と地上3階の吹き抜けに柔道場・剣道場として使える武道場を設置し、地上4階には弓道場を設ける計画だ。
大濠公園南側にある現行の福岡武道館は、新福岡武道館の完成後に移転する計画だ。
そして、現行の福岡武道館跡地を含む大濠公園の一部において新しい福岡県立美術館の建設を予定している。
【参考】新福岡武道館が福岡市民体育館隣に建設中、完成は2025年11月予定【福岡市博多区】
https://fukuoka-leapup.jp/biz/202409.37263
参照サイト
昨年の福岡市の主な注目事業はこちら
どうなる?どうする! 2024年における 世界・日本・九州、福岡市の主な注目事業
https://fukuoka-leapup.jp/biz/202312.22061
みずほリサーチ&テクノロジーズ調査本部『2024・2025年度 内外経済見通し~パンデミック後の落ち着きどころを探る世界経済~』
https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/report/2024/pdf/outlook241024.pdf
山田平安堂【2025年干支】来年は巳年(へびどし)!基礎知識や年齢早見表などまとめ『干支の基礎知識』
https://www.yamada-heiando.jp/c/column/eto/eto2025