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横浜出身・小林千晃さん 「遠回りの経験も演技に」 人気アニメで注目の声優

タウンニュース

小林千晃さん…横浜市出身。(株)大沢事務所所属。声優として、「マッシュル」マッシュ・バーンデッド役、「地獄楽」画眉丸役、「葬送のフリーレン」シュタルク役など人気作品に参加。現在放送中の「アオのハコ」笠原匡役、「青のミブロ」斎藤はじめ役や、今夏公開アニメ「光が死んだ夏」主人公の辻中佳紀役も。

声優として人気アニメ「マッシュル」主人公のマッシュ・バーンデッド役をはじめ、「葬送のフリーレン」シュタルク役など、近年話題作の出演を増やしている。今注目の若手声優の一人だ。

それでも「自分の力は作品が持つ力の何万分の一にも満たない」と謙虚に語る。「どの作品も、製作にかかわる多くの人が良い作品にしたいと思いを込めている。そういう中で自分を選んでもらえるのは光栄なこと。演技で報いたい」と話す。

飽きっぽい少年時代

横浜市出身。「目立ちたがり屋で先生によく注意されるような子ども」だったと振り返る。小中学生時代はバスケにボクシング、陸上競技にも挑戦したが、どれも長くは続かなかった。「飽きっぽかったんだと思います。興味をもっては挑戦しての繰り返し。それを許してくれた両親がありがたかったですね」

中学生の頃から唯一のめり込んだのが「映画」だった。物語や映像美よりも、「レオナルド・ディカプリオの演技や、映像の中でのたたずまいに惹かれてました」と役者への興味を強めた。

高校生になるとバンドも組んだが、夢中にはなれず。アルバイト代を貯めて、高校2年の時に俳優養成所の門を叩いた。

挫折から「声」の道へ

未経験だったこともあり、「周りと比べても、演技以前の発声や滑舌など基礎的なことでダメ出しされてばかり」。大学受験の時期も迫る中で焦りもあった。「演技の才能もないし、勉強もあんまり。どっちにも行けなくて。自分にはもう、根性しか残ってなかった」。悔しさをバネにしながら、レッスンに通い続けて技術を磨いた。

その後、大学に進んでからは、友人たちとアニメ映画に親しんだ。そんなある時、試しに受けた声優オーディションで数千人の中から入賞に選ばれ、大きな転機に。「声でなら役者としてやっていけるのかも」と小さな自信をようやく掴んだ。

自分も他人も大切に

「会社員として真面目に勤めるイメージも持てなかった。それなら好きな声優の仕事で、アルバイトせずに済むくらいの仕事ができたら」。一念発起して大学を辞め、声優養成所を経て現在の(株)大沢事務所に入所した。

「いろんなことをやって、飽きて。そのおかげで好きなものが見つけられた。経験は、役者という今の仕事にも役立っていて、無駄じゃなかったと思います」

昨年発表したフォトブック「CHEER」でも、地元横浜を舞台に選び、今も正月には毎年地元の神社に足を運ぶ。本牧エリアなど「海も山もあり、街はアメリカン。港町らしい異文化あふれる雰囲気がいい」と笑む。「横浜の人はフラット。親切を押し付けすぎず、誰とでも仲良くなれる人が多い」。自分も他人も大切に――。その思いで誠実に声を届ける。

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