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地元で愛されて40年、誰もが気軽に入れる食堂「かもめ亭」。

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地元で愛されて40年、誰もが気軽に入れる食堂「かもめ亭」。

JR新潟駅近くに「御食事処」の暖簾を出している「かもめ亭」というお店があります。とんかつやうどんが看板メニューになっている様子。気取らず落ち着いた雰囲気の店内で、お店を経営する土屋さん夫婦からお話を聞いてきました。

かもめ亭

土屋 敏明 Toshiaki Tsuchiya

1953年新潟市秋葉区生まれ。東京のホテルやフランス料理店で修業を重ね、1984年に新潟へUターンし「かもめ亭」をオープン。40年間営業を続けてきた。温泉巡りが好きで、県内の温泉はほとんど制覇。

かもめ亭

土屋 光子 Mitsuko Tsuchiya

山形県生まれ。東京で洋裁関係の仕事をしているときに敏明さんと出会い結婚。1984年に新潟へ来てからは「かもめ亭」をオープンした敏明さんを支えてきた。余暇には夫婦で温泉巡りを楽しんでいる。

食堂のオーナーは、フランス料理のコックだった。

——こちらのお店はご夫婦で営業されているんですね。

敏明さん:はい、私が調理をして、妻が接客と調理補助をやってくれています。今月の21日で開店40周年を迎えるんですよ。

——それはおめでとうございます。ちなみに敏明さんは、いつ頃から料理に興味をはじめたんですか?

敏明さん:高校生のときかな。実家が農家だったので、農繁期には家族の食事を作ったりしていたんですよ。

——ご家族は助かったでしょうね。高校卒業後は料理の修業を?

敏明さん:東京に出てホテルで働きはじめました。洋食、和食、中華の中から私は洋食を選んだんです。コック帽やコックコート、サロンエプロンにネッカチーフというスタイルに憧れていたので、フランス料理を選んだんですよ。

——ホテルでの洋食修業はいかがでした?

敏明さん:1年目はウェイターをやって接客を学ぶんです。2年目からは調理場で働きはじめるんですけど、最初は雨合羽を着て洗い物をしたり野菜を刻んだり、ハンバーグのタネをこねたりする下ごしらえをやっていましたね。

——最初はやはりそういった下働きからなんですね。ホテルの仕事で印象に残っていることってありますか?

敏明さん:上司や先輩からフライパン使いを褒められたことが嬉しかったですね。ピラフを炒めたりするのは得意だったんですよ。それから氷彫刻で表彰されたのも思い出に残っています。

——氷彫刻というと?

敏明さん:氷を削って氷像をつくって、パーティー会場なんかに飾り付けるんです。ノコギリやノミ、ときにはチェーンソーを使って36貫の氷を削ってつくるんですよ。宴会やパーティーの間飾っておくわけですから、2時間はもつように溶け具合を計算してつくらなければならないんです。

——料理だけではなく、そんなものまでつくっていたんですね。ずっとホテルで働かれていたんでしょうか。

敏明さん:ホテル以外のフランス料理店でも働きました。できるだけいろいろなところの料理や調理方法を勉強したかったんです。

フランス料理店ではなく、食堂をはじめたわけ。

——新潟に戻ってこられたのはいつ頃なんですか?

敏明さん:1984年です。独立して自分の店をはじめるなら、生まれ故郷の新潟でやりたいと思っていました。

——開店当初から「かもめ亭」という店名だったんですか?

敏明さん:そうです。気取った横文字の名前ではなく、誰にでも親しまれて覚えやすい名前にしたかったんですよ。新潟といえば港町ですから「かもめ亭」にしようと思いました。

——ずっと修業されてきた、フランス料理の店をやろうとは思わなかったんでしょうか?

敏明さん:当時の新潟でフランス料理店をやるのは難しいと思ったので、地元の方々に親しまれるような店をやろうと思ったんです。だからとんかつをメインにした丼や定食の店としてオープンすることにしました。

——食堂のような店構えも、親しまれるお店を目指してのことなんでしょうか?

敏明さん:そうです。小さなお子様から年配のお客様まで、誰もが気軽に入れるような店にしたかったんです。

——看板メニューのとんかつは、どんなことにこだわってつくっているんでしょうか?

敏明さん:材料にはこだわっていますね。豚肉は国産のロース肉やヒレ肉を使っているし、パン粉は中目の生パン粉にこだわっているんです。

——中目の生パン粉にこだわっているのは、どうしてなんですか?

敏明さん:油切れがいいこともあるけど、うちはタレカツ丼だけじゃなく卵とじカツ丼もやっているから、衣がザクザクしないほうが合うんですよ。油もいろいろ試した結果、コシのよさが長持ちしてカラッと揚がるキャノーラ油を使い続けています。

——とんかつはともかく、うどんまで提供されているんですね。

敏明さん:お客様からのリクエストがあったんですよ。ラーメンとかそばとか……。まぁ、うどんだったら対応できるかなと思ってはじめました。

光子さん:お客様の中には店に入ってくるなりメニューも見ないで「ラーメン」って注文する方もいるんですよ。当然あるだろうと思われているんですね(笑)

——うどんも人気メニューなんですよね?

敏明さん:これからの寒い季節は「すき焼きうどん」とか「鍋焼きうどん」とかが人気ですね。うちはカツ丼も、タレカツより卵とじの方が人気があるんです。

食べ終わったお皿が物語る「美味しかった」。

——奥さんは接客の際に気をつけていることってあるんですか?

光子さん:とにかく注文を間違わないように、しっかり確認するようにしています。うちは気の早いお客様が多いので、メニューをよく見ないで注文してくることが多いんですよ(笑)

——例えばどんな注文があったんでしょう?

光子さん:生姜焼きを「焼肉」、焼肉を「焼魚」と注文してきたことがありました。だから間違いのないよう、しっかり確認するようにしています。

——メニューをしっかり読めば間違わなそうですけどね……(笑)。他にも大変なことがあったら教えてください。

光子さん:最近は利用が減っていますけど、出前もやっているので大変でしたね。お店をはじめたばっかりのときは子どもも小さかったし、子どもをおぶって土地勘もない雪のなか出前の配達をしたのが大変でした。週末は店が混むのでどうしても出前に時間がかかるんです。注文を受けるときに念を押すんですが、配達したら「遅い」って怒られたこともありました。

——お店をやりながら出前もやるのって大変ですよね。ではお店をやっていて、嬉しいと感じるのはどんなときでしょう?

敏明さん:もちろん「美味しかった」という声が聞けたときです。

光子さん:言葉じゃなくても、残さずきれいに食べていってもらえると嬉しいですね。千切りキャベツを一本も残さず食べていってくれる方もいますよ。

かもめ亭

新潟市中央区春日町2-4

025-241-8506

11:00-14:30(L.O.14:00)/17:00-22:00(L.O.21:40)

土曜休

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