本場の味を福岡で楽しむ。ローマ帰りのシェフが営むイタリアン食堂
ローマのレストランで修行したシェフ・園田和也さんが腕を振るう「Taverna Tiberina」。警固交差点から薬院六つ角に向かう途中で見つけた、蛇のマークが書かれた小さな置き看板を目印に入った路地裏にある、知る人ぞ知るイタリアンレストランです。
店内は、カウンター席もあるものの、多くはテーブル席。奥には個室もあるため、小さなお子さんと一緒に家族で訪問することができます。壁に飾られている写真は、店主が修行したローマのお店で撮影したもの。内装がそっくりなのですが、「今の物件は居抜きで見つけたのものですが、偶然、内装が似ていたんですよ」と教えてくれました。店名の「Taverna」は食堂という意味。「Tiberina」は、園田さんが修行したレストランがあるティベリーナ島が由来です。島にあった教会ではギリシャ神話の医神が祀られていて、そのシンボルが蛇だったことから、島の名前を借りた「Taverna Tiberina」のロゴマークには蛇を採用したといいます。
本格的なローマ料理がいただけるとあってワクワクしながらメニューをチェック。定番だけでなく、週替わりメニューも充実しています。この日は2ページに渡り、50種類ほどもあってその数に驚きます。目移りしたものの、初訪問のお店。定番中の定番をオーダーすることにしました。
まずは、「前菜の盛りあわせ」(1980円、写真は2人前)。野菜を中心に、イタリアのアンティパストがぎゅっと詰まったプレートです。もともと15種類程度だったそうですが、オープン以来少しずつ増えていって、この日はレバーペースト、カポナータ、キノコのローストなど18種類。内容は日によって異なりますが、季節の野菜を使うことを意識しているそうです。1種類いただくと隠れていた別の料理が登場して、まるで宝探しをしているかのような気分になるのもなんだか楽しく、そしてうれしい。これだけでワインが数杯進みます。
2品目に選んだ「国産牛テールのローマ煮込み」(3850円)は、まずそのボリュームに驚きます。ホロホロに煮込まれた牛テールは、ナイフいらずで食べられる柔らかさ。しっかりした肉質は食べ応えがありもちろんおいしいのですが、口の中でトロンととろけるコラーゲンの部分もたまりません。赤ワインやトマトをベースに、松の実やレーズン、香味野菜、さらにチョコレートを加えることで、複雑な香りとコク、旨味が感じられる逸品に仕上がっています。園田さんいわく「ローマの下町料理」ということで、現地の味とボリュームそのままに提供しているそうです。
最後にいただいたのは、店のスペシャリテ「トンナレッリ クッカーニャ」(1980円)。修行先であるティベリーナ島のレストランで提供していたオリジナルパスタを再現したもので、おそらく日本でもここでしか食べられない人気メニューです。パンチェッタ、グアンチャーレ、サルシッチャ、モルタデッラなどが使われ、程よい塩味としっかりした旨味が口一杯に広がります。手打ちのパスタは、太めでもっちり。クルミの食感と香ばしさも感じられる濃厚な一品です。
ティベリーナ島のレストランやイタリアの三つ星店などで、本場の味や文化に触れてきた園田さんは「よりイタリアに近く、イタリアらしく」をモットーに、現地の味や文化を伝えていきたいと考えています。「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」「こんばんは」と店に迎えてくれるのも、イタリアで学んだお客さんとの心地よい距離感からくるものだそうです。「Taverna Tiberina」で、福岡にいながら本場・ローマの味を気軽に楽しんでみてはいかがでしょう。
Taverna Tiberina(タヴェルナ ティベリーナ)
福岡市中央区警固1-8-12 レジディア警固1F
092-725-8771