感覚の働きとつまづきへのアプローチ方法を解説!遊びを取り入れた対応をしてみよう【発達が気になる子の感覚統合遊び】
理論4:6つのつまずきに対するアプローチ①
○理論解説のポイント!
過敏は慣れさせるより安心させる感覚探求型は感覚を堪能させる運動企画・両側統合・抗重力運動・スモールステップの支援
【理論解説】感覚の働きとつまずきへのアプローチ
固有感覚【働き】
筋肉や関節に感じる感覚自分の体の動きや位置を教えてくれる感覚重さを感じる感覚
固有感覚【うまく動かない場合の困りごと例】
体の動きがぎこちない人やものによくぶつかる力加減がわからず乱暴に見える不器用な印象になり、基本的な生活習慣がうまくいかない など
固有感覚【アプローチするための遊び】
第2章 ボディイメージ
前庭覚【働き】
揺れや回転を感じる感覚体のバランスをとる感覚
前庭覚【うまく動かない場合の困りごと例】
動きたがらないまっすぐ立てない座った姿勢を保てないじっとしていられない など
前庭覚【アプローチするための遊び】
第3章 バランス感覚
触感覚【働き】
痛みや暑さ、寒さを感じる感覚ものに触ったとき、人から触られたときに感じる感覚
触感覚【うまく動かない場合の困りごと例】
シャワーを嫌がる偏食がある歯磨き、爪切り、入浴など衛生にかかわる生活習慣を嫌がる長袖にこだわる など
触感覚【アプローチするための遊び】
第4章 触れて楽しむ
聴覚【働き】
音を感じる(聞く)感覚音の意味がわかる(聴知覚)
聴覚【うまく動かない場合の困りごと例】
音の意味がわからず、不安になりやすい特定の音が苦手音に気づきにくい など
聴覚【アプローチするための遊び】
すべての章
協調運動【働き】
微細運動(手や指の運動)粗大運動(体全体を使う運動)目の動きと手の動きを協力して使う動作
協調運動【うまく動かない場合の困りごと例】
ボタン留めが苦手、スプーンがうまく使えない(手先が不器用)スキップや片足ジャンプが苦手全身の動かし方がぎこちない など
協調運動【アプローチするための遊び】
第5章 身のこなし
感覚欲求【働き】
安心できる、快適な感覚を取り込もうとする欲求苦手な感覚を避けようとする欲求気持ちの安定を図ることに必要な欲求
感覚欲求【うまく動かない場合の困りごと例】
動けないとイライラする好きな感覚遊びに没頭するたくさんの感覚刺激があると不安になる など
感覚欲求【アプローチするための遊び】
第6章 感覚を堪能する
【知識・学習】固有感覚のつまずきにアプローチ
固有感覚がうまく働かないと、子どもは不器用で着替えなど基本的な生活習慣がうまくいかず、イライラしてしまうことがあります。「こう動かしたい」というイメージ通りに、体や指先が動いてくれないのです。固有感覚に偏りがあり、力の入れ方や関節の動かし方、筋肉の使い方が調整できないことが考えられる原因のひとつです。
皆さんも軍手を2枚重ねて手にはめて、小さな折り紙を折ることを想像してみてください。なんとなく、その気持ちがわかるでしょう。そのときに、「もっと丁寧に」「ここをつまんで!」など、叱咤激励される子どもは本当につらいですよね。
自信を失わせずに「やりやすくなる」アプローチを考えましょう。
うまくいかないときは手伝ううまくできているところに焦点をあてほめる年齢に関係なく使いやすいツールを選択できるようにするボタンのある洋服は避けるズボンはゴムのものにするボタンをかける糸を長めにしとく など
その上で、遊びの中でたくさん体や指先を動かすものを取り入れましょう。遊びで発達を促して成熟してきたら生活動作に移行させます。
なぜなら、生活動作は子どもにとってめんどうくさい、やりたくないことが多いからです。皆さんも着替えや片づけは仕方なくしているのが現実ではないでしょうか。子どもも同じです。めんどうくさいことと苦手なことが重なったら、練習なんてストレスなだけです。
ですから、遊びで発達させることをまずは考えましょう。
【アイデア提案】動かす体の部位に感覚を入れて準備する
手先を使う前に、準備運動のように手遊びをいれる、マッサージをするのもおすすめです。特に、マッサージは触れられることで、気持ちが安定する子も多いので、苦手に取り組む前のおまじないとしても効果も大きいかもしれません。
次ページでは、手軽にはじめられる遊びを紹介します。
指先を使う遊び
昔からある伝承遊びの中に、楽しいものがあります。
以下のような遊びを、ちょっとした隙間時間に取り入れてみることもおすすめです。
指ずもうあやとりおはじき粘土遊びお手玉ビーズ通しゆびあみ など
お手伝い
家庭でのお手伝いも楽しみながらしてもらいましょう。料理の中には、「泡だて器で拡散する」「包丁で切る」「調理ばさみで切る」「皮むき器を使う」「手で皮をむく」など、いろいろな動作が含まれます。
窓ふきや、洗濯物ほし、お風呂掃除なども大人と一緒に楽しい「遊び」として取り入れてみましょう。全身を使うよい動作になります。
Q&A
Q.子どもがつま先立ちして歩きます。直したほうがよいでしょうか?
【A】つま先立ちをするとわかるのですが、つま先、足首、ふくらはぎ、ひざ、太もも、股関節としっかり固有感覚に感覚が入るのです。また、バランスもとれるので前庭覚の刺激としても心地よいのかもしれません。
危険でないのなら、止める必要はありません。感覚を堪能しているのかもしれませんね。この行動も自然に消えていくことが多いものですから、おおらかに見守ってみてはいかがでしょうか。
【出典】『発達が気になる子の感覚統合遊び』著:藤原里美