生活に関わるインフレとデフレが起こるカラクリとは?徹底解説!【眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話】
2:インフレとデフレが起こるカラクリ
インフレとは、モノやサービスへの需要が高まり、モノやサービスの価格が上がる現象です。
一方、不況でフトコロが苦しくなり、モノも売れない、モノの価格も下がり気味となるのはデフレ傾向です。つまり、インフレは物価上昇、デフレは物価下落を意味するのです。
経済発展には、一定の需要増による緩やかなインフレが望ましいとされているわけです。日本は、戦後の高度成長期にはインフレ傾向が続きましたが、1980年代後半にバブルが弾けると、90年代はその後遺症に悩まされます。97年の金融危機(山一証券や拓銀が破綻)以降は、一転してデフレに苦しむようになるのです。デフレは、モノやサービスが売れないため、企業はモノやサービスの価格を下げたり、コストカットを強いられます。首切りをせざるをえない状況にも陥ります。
日銀は、デフレ脱却を図るべく、2013年からアベノミクスの「第一の矢」として大規模な金融緩和を実施します。しかし、10年かけても目標とした「安定的な2%の物価上昇」が果たせぬまま、 2023年4月には日銀総裁も交代しました。
欧米ではインフレが昂進し、金利が引き上げられますが、日銀は緩和を続けるのみです。その結果、円安が進むも身動き取れず、出口を探り迷走しています。「悪いインフレ」と呼ばれる原材料や資源価格の急激な上昇で起こる「コスト・プッシュ・インフレ」が起点です。「良いインフレ」は、コストの上昇も価格に転嫁できて、賃金アップも可能で世の中全体の好景気需要に支えられるプル・インフレ」で、こちらが理想です。
インフレとデフレのカラクリ
・インフレ(ものの値段が上がり続ける)
好景気で需要が供給を上回る
賃金や原料の高騰による費用の拡大
・デフレ(ものの価格が下がり続ける)
製品価格の値下がりによる売上高の減少
生き残るため、従業員の賃金カットやリストラ
先行き不安感から、さらに商品の買い控え
インフレ=お金の価値が下がる
100円で買えていたりんご→200円でやっと買える
デフレ=お金の価値が上がる
100円で買えていたりんご→50円で買える
【経済とお金の豆知識】
インフレは庶民の生活を直撃します。賃金がインフレに追いつけなければ購買力が衰えるからです。しかし、最も強烈なダメージは「年金生活者」や「生活保護世帯」です。収入が固定で他にないからです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い図解プレミアム経済の話』著:神樹兵輔