ありがとう!先生たち~!――下島陽平のおしえて!先生たち~!【NHK囲碁講座】
NHK『囲碁講座』テキストの好評連載「下島陽平のおしえて!先生たち~!」。毎月、下島陽平八段が囲碁界の名だたる先生方にインタビューをしてきたこの企画。今回はついに最終回です!
延べ41人の棋士の先生方にお話を聞いてきた下島陽平八段の「印象に残った答えベスト3」を、ご紹介します。
ありがとう!先生たち~!
月日のたつのは早いもの…。
「おしえて! 先生たち~!」
丸4年、延べ48回、41人の棋士の皆さまにたくさんのお話を聞かせていただきました。ついに! いよいよ! スーパーミラクル最終回であります! 本も読まない、国語もよく分からんわたくしにこんなコーナー務まりゃしまへん!と思って始めたエッセイですが、たくさんの方々に支えられて気が付きゃ遠くへ来たもんだ。と、いうわけで…。
「印象に残った答え勝手にベスト3」!! だぞ!
第3位 今村俊也九段
「陣地はつながってできる。それだけでござんす。エッヘン!」
「先生の碁はなんであんなにゆっくりなのに遅れないんですか?」と質問した時の答え! つながってできるから一歩ずつでいいんだよ、という深〜い答えなんだけど…。「エッヘン!」がすべてを持っていっちゃってるのよね。変で優しくて面白い先生! とても印象深い、楽しい取材でした。
第2位 河野臨九段
「姿勢を正すことです」
「勝負に勝つということにおいて最も大切なことは?」という質問に対しての答えでした。これねえ、後からジワジワきたんですけど、「精神的にも肉体的にも姿勢を正すことで、思考が健全に働くと思います」という説明もしてくれていて、めちゃくちゃいいこと言うなあって。やっぱりトップになる人って、必ずどこかに自分だけのものを持ってるんかなあって改めて感じた言葉でした。
第1位 上野愛咲美女流立葵杯
「相手が、ん!?ってなって、私が、あ!?ってなって、フッ…と時が止まりました(笑)」
「これまででいちばんの失敗談を教えてください」と質問したところ、こんな答えが! プロ試験の時、白番の愛咲美先生は、2手目と3手目を続けて打ってしまい、反則負けをしたとのこと。
「お願いします」から推定1分。反則負け。こんな衝撃的な話、他に聞いたことない! 今や世界戦でも複数回優勝するスーパースターが、この話を普通にしてくれるんですよね。すべてを楽しんでいる印象! 見ているだけでこちらも楽しくなってしまう人って感じです! どんな取材も印象的な答えだらけなんですけど、パッと浮かんでくるのはこの3つでした。
皆さんやっぱり個性的なんですよね。
囲碁って、何が正解かよく分からないゲームじゃないですか。目的地を決めない旅行みたいな…。アドリブで行き先を変更したりするのも楽しい。そのアドリブの瞬間に、その人の個性が表れやすいと思いません? さて…。
あなたにとって囲碁とは何ですか?
毎回必ず聞いてきたこの質問。自分も考えてはみたけど…。なんて難しい質問をしてたんだ!と思います(笑)。面白いものとしか言いようがないです(笑)。
皆さまにとって囲碁とは何ですか?
どこかでお会いしたら、ぜひ教えてください。それでは…。
編集に携わっていただいた皆さま、いつも楽しいイラストを描いてくださった丸山先生、そして囲碁ファンの皆さま! 4年間おつきあいありがとうございました! 皆さまにとって、囲碁が楽しいものであり続けますように!
NHK『囲碁講座』テキストでは、「三谷哲也 描け!勝利へのストーリー」が開講中。3月号は「状況変化に対応せよ」がテーマ。
また、ご紹介した「下島陽平のおしえて!先生たち~!」、「一力遼の勝利は細部に宿る」、「林漢傑の三択詰碁」、「孫喆・星合志保の囲碁端会議」なども好評連載中。
今月の別冊付録は「本当に知りたかった!13路盤で学ぶ囲碁の基本6 アマチュアあるある」です。
◆『囲碁講座』2025年3月号「下島陽平のおしえて!先生たち~!」より抜粋
◆文:下島陽平八段
◆イラスト:丸山誠司