2024年 春のおすすめ展覧会 ベスト10 ― 首都圏版 ― [3月・4月・5月]
少しずつ春の訪れを感じ、おでかけには絶好の季節がいよいよ到来。3月~5月にはじまる首都圏の展覧会の中から、アイエム編集部おすすめ10選を厳選してご紹介します。全国版はこちらです。
デ・キリコ芸術の全体像に迫る
先ず紹介するのは、日本では10年ぶりの回顧展となる「デ・キリコ展」。20世紀を代表する巨匠の1人と言える、ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)。キリコが1910年頃から描き始めた非日常的な世界を表現した「形而上絵画」は、シュルレアリスムやポップアート、デジタルアートの表現にまでその影響をみることができます。70年にわたる画業を余すところなく紹介する展覧会は東京都美術館で開催です。
東京都美術館「デ・キリコ展」
日本人も古代ローマ人も大好き。お風呂の世界へようこそ。 [PR]
ヤマザキマリ氏の漫画『テルマエ・ロマエ』によって多くの人が知るところとなった、古代ローマのテルマエ(公共浴場)。パナソニック汐留美術館「テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本」では、ナポリ国立考古学博物館所蔵の作品などを通して、テルマエを中心に古代ローマの人々の生活を紹介しながら、独自の風土のなかで育まれた日本の入浴文化もとりあげます。
パナソニック汐留美術館「テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本」
リニューアルした横浜美術館
大規模改修工事のため休館をしていた横浜美術館のリニューアルオープンでは「横浜トリエンナーレ」を開催。2001年にスタートし、毎回世界のアーティストの“今”を追ってきた横浜トリエンナーレ。今回は全5会場を使い、現在の世界で起きている問題に対して、不安を分かち合い共に明日への希望を見出すための作品を展示します。横浜トリエンナーレ 「野草:いま、ここで生きてる」は3月15日から開催です。
横浜美術館「横浜トリエンナーレ」
“トリオ”によるモダンアートの展示
東京国立近代美術館では、パリ、東京、大阪の3都市の美術館のコレクションが集結します。独自の文化を育みながら、それぞれ豊かなモダンアートのコレクションを築いてきた3館が、トリオを組み構成するユニークな展示。 時代や流派、洋の東西を越えて生まれた、総勢110名の作家による、絵画や彫刻、デザイン、映像など150点あまりの作品を紹介しながら、モダンアートの新たな見方を提案する「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」は5月から。
東京国立近代美術館「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」
宇野亞喜良、過去最大規模の展覧会
イラストレーター、グラフィックデザイナーとして活躍し続けている宇野亞喜良(1934-)。東京オペラシティアートギャラリーでは、初期から最新作までの全仕事を網羅する「宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO」が開催。1950年代の企業広告や、60年代のアングラ演劇ポスターや絵本・児童書、近年の俳句と少女をテーマとした絵画など、華麗で耽美な創作世界に迫ります。
東京オペラシティアートギャラリー「宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO」
国立西洋美術館で初めての試み
中世から20世紀前半の西洋美術のみを展示しきた国立西洋美術館。3月から開催される「国立西洋美術館65年目の自問 現代美術家たちへの問いかけ」では、初めて現代美術が展示されます。国立西洋美術館やそのコレクションが、今を生きているアーティストをいかに触発しうるのか。美術館の自間であり、参加アーティストたちへの問いかける展覧会です。
国立西洋美術館「国立西洋美術館65年目の自問 現代美術家たちへの問いかけ」
バンクシー、カウズら集結
森アーツセンターギャラリーでは「MUCA展 ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~」を開催。ドイツ・ミュンヘンでアーバン・アートや現代アートにおける作品を展示しているMUCA(ムカ)。2016年の開館以来、1200点以上もの作品を収蔵しています。会場では、世界で注目を集めるバンクシーやファッションの世界にも影響を広げるカウズをはじめ、アーバン・アートのジャンルを切り開いてきた10名の作家にスポットを当て、日本初公開の作品を含む約70点を紹介します。
森アーツセンターギャラリー「MUCA展 ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~」
江戸吉原にタイムスリップ
約250年続いた幕府公認の遊郭、江戸の吉原。格式と伝統を備え、教養や鍛え抜かれた芸事で客をもてなし、季節ごとに町をあげて催事を行っていました。 東京藝術大学大学美術館「大吉原展 江戸アメイヂング」では、吉原遊郭における江戸の文化と芸術から、全貌に迫ります。
東京藝術大学大学美術館「大吉原展 江戸アメイヂング」
画鬼と鬼才。幕末明治の多才な二人
静嘉堂@丸の内では、幕末から明治期を生きたマルチタレント、絵師・河鍋暁斎(1831~89)と、探検家で好古家、著述家、北海道の名付け親である松浦武四郎(1818~88)を紹介。2人の記念碑的作品と言える「武四郎涅槃図」やその立体再現した作品、武四郎愛玩の品々が並ぶ「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎」は4月の開催です。
静嘉堂@丸の内「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎」
哺乳類展が再再々登場
国立科学博物館では、哺乳類の進化の不思議に迫る、特別展「大哺乳類展3-わけてつなげて大行進」を開催。2019年「大哺乳類展2」から5年、「分類(=わける)」と「系統(=つなぐ)」をテーマに、500点を超える標本による大スケールの展示は大人も子どもも必見です。
国立科学博物館 特別展「大哺乳類展3-わけてつなげて大行進」