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有名テック企業のCTOたちが「採用面接で“必ず聞く質問”」大公開!

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有名テック企業のCTOたちが「採用面接で“必ず聞く質問”」大公開!

国内トップレベルの優秀なエンジニアが集まるテック企業の採用面接。特に、最大の関門となるであろう「技術部門トップ」との面接では、一体何が問われるのか。

今回はDeNA、サイバーエージェント、LayerX、LINEヤフー、MIXI、エムスリーの6社にヒアリング。CTOクラスが、実際に採用面接で「必ず聞く質問」と「その意図」をあげてもらったので、一挙紹介していこう。

各社に聞いたことは、下記2点だ。

【1】採用面接で必ず聞いている質問を教えてください。
【2】その質問をする理由をお教えください。

目次

DeNAが面接で必ず聞くこと必ず聞く質問(1)必ず聞く質問(2)サイバーエージェントが面接で必ず聞くこと必ず聞く質問(1)必ず聞く質問(2)LayerXが面接で必ず聞くこと必ず聞く質問(1)必ず聞く質問(2)LINEヤフーが面接で必ず聞くこと必ず聞く質問(1)必ず聞く質問(2)MIXIが面接で必ず聞くこと必ず聞く質問(1)必ず聞く質問(2)エムスリーが面接で必ず聞くこと必ず聞く質問(1)必ず聞く質問(2)

DeNAが面接で必ず聞くこと

【教えてくれた人】
株式会社ディー・エヌ・エー
グループエグゼクティブ / IT本部 本部長 金子 俊一さん

2003年より開発エンジニアとしてキャリアをスタート。2009年にDeNA入社、サービス開発に従事した後にインフラエンジニアに転身。インフラ部門でマネージャー、部長を歴任し、全システムのクラウド移行を責任者として推進。2022年からはIT本部長として、DeNAグループ全体のIT戦略立案・推進、そしてシステム基盤の管理を統括。2025年からはAIオールイン戦略のもと、全社のAI活用推進とその基盤整備を推進中

必ず聞く質問(1)

「今までで一番苦労した技術トラブルやエピソードを教えてください」

金子さん:この質問では、応募者がDeNAのどの領域で中心的な役割を担えるエンジニアになりそうかを確認しています。

DeNAでは、社員一人一人が会社を代表するという「球の表面積」という考え方を大切にしています。トラブルの規模や内容から、これまでの役割や視座を、また解決までのアプローチや難易度からは、得意な技術領域と深さを把握できます。単に説明を聞くだけでなく、具体的な質問を重ねて深く掘り下げることで、主体的に課題解決に取り組む姿勢も確認しています。

必ず聞く質問(2)

「なぜ企業所属のエンジニアというキャリアを選択するのですか」

金子さん:この質問は、応募者のキャリア観、組織観、そして想定するポジションとのマッチ度を確認するために伺います。

近年、エンジニアのキャリア選択肢はフリーランスや起業、副業など多様化しています。そうした中で、あえて企業に所属することを選ぶ理由を尋ねることで、「組織やチームに何を期待し、どのように関わりたいか」や「自身の経験や技術をどう活かして貢献したいか」といった、重要なヒントを得ることができます。

サイバーエージェントが面接で必ず聞くこと

【教えてくれた人】
株式会社サイバーエージェント
専務執行役員(技術担当) 長瀬慶重さん(@lionbaby
通信業界での研究開発を経て、2005年サイバーエージェントに入社。「アメーバブログ」や「アメーバピグ」「ABEMA」などのサービス開発を担当し、2014年に執行役員、2020年に常務執行役員に就任。エンジニアの採用や、技術力をさらに向上するための評価制度などの環境づくりにも注力している。現在はサイバーエージェント専務執行役員(技術担当)を務める

必ず聞く質問(1)

「学生時代に最も打ち込んだものは?」

長瀬さん:変化が激しいテック業界では変化対応力が求められます。この質問から、目標設定力、やり切る力、論理的思考力、コミュニケーション力、サイバーエージェントのカルチャーとの適合性を見極めています。

学生時代に打ち込んだ経験を通して、何を学びどのように成長したのかを聞くと同時に、会話を通して、人となりを理解し「一緒に働きたいか」と思えるかを判断しています。

必ず聞く質問(2)

「AI時代のエンジニアとしての生存戦略は?」

長瀬さん:AIの進化が加速する今、エンジニアのスキルは一瞬で陳腐化する時代とも言え、自分なりの生存戦略を描けない人は淘汰されると考えています。

サイバーエージェントでは早いタイミングからGitHub Copilot、Cursor、Cline、Windsurf、Devinなど開発に生成AI系のツールを積極的に導入し、先日1人あたり月額200米ドルの開発AIエージェント導入費用をサポートすることを発表しました。

進化するAIをどう活用し、どんな価値を生み出すかを考え抜く力が求められる時代だからこそ、この問いで、危機感を持ち自ら学び続ける自走力と、自分をアップデートする覚悟を見極めています。

LayerXが面接で必ず聞くこと

【教えてくれた人】
株式会社LayerX
バクラク事業 CTO 中川 佳希さん(@yyoshiki41)

株式会社エウレカにて、インフラエンジニアとして国内最大のマッチングアプリを運営。その後フリーランスとして、音声配信アプリ、金融サービス、産学連携プロジェクトなどを経験。 2020年株式会社LayerX入社後、バクラク事業の立ち上げ、2024年1月より現職

必ず聞く質問(1)

「周囲から受けたことのある印象的なフィードバックは?」

中川さん:正解不正解や究極の質問はなく限られた時間でその人がより鮮明になる質問をしています。

印象的なフィードバックは自己開示が求められますが、一緒に働いていく上での強み弱みを知れるものです。チーム内でどう映っているか、フィードバックを通して知ることを意図しています。エンジニアは問題解決を通して全能感を感じる瞬間もありますが、一人で成し得ることは少なく、周囲からのフィードバックは自身のことをメタに捉える機会だと思います。

そこからの成長や自己変容を大切にしたいと思っています。LayerX の行動指針には Trustful Team があり、信頼を置くチームの中で闊達なフィードバックやコミュニケーションを行うことを大切にしています。

必ず聞く質問(2)

「直近のコーディングスタイルとそのキャッチアップについて」

中川さん:学習や働く際の姿勢を知れることを質問の背景にしています。コーディングについては、AI による環境の変化を受けツール云々でなく、変化をどのように受け止めているか、エンジニアなら誰しも刺激を受け考えているトピックだと思います。

LINEヤフーが面接で必ず聞くこと

【教えてくれた人】
LINEヤフー株式会社
メディアカンパニーCTO 牧 竜也さん

2010年にヤフー株式会社入社。エンタメサービスやストレージサービス、メディアサービスなど複数プロダクトの開発に携わる。 2015年にSkyscanner Japan株式会社に出向、開発基盤や開発環境の整備に従事。 帰任後、メディアサービスの開発を経て、TD(Technical Director)や開発本部長としてメディアサービス全体の技術領域を管掌。2023年10月のLINEヤフー合併に伴い、現職

必ず聞く質問(1)

「これまでに解決した技術課題の中で、最も大きな成果につながったものはなんですか?」

牧さん:技術的な問題を解決したご経験と、その成果の再現性をお聞きしたい質問です。

問題設定や仮説立案、解決策の比較、検証・実行、成果創出に至るまでの一連のプロセスを、具体的な事例を通じて伺うことが多いです。 自律的に問題を発見し、技術やプロダクト、組織など様々な観点を考慮した解を見出し、主体的に解決に導かれてきたかを重視しています。

特定の技術を導入・利用したことよりも、適切なアプローチが採用できているか、具体的な結果や成果につながっているか、再現性があるか、に重きを置いています。

必ず聞く質問(2)

「〇〇(具体的なサービスやシステム)を設計する、性能改善するとしたら、どのようにアプローチしますか?」

牧さん:抽象度の高い要件や課題に対し、構造的にシステム設計を検討できるかをお聞きしたい質問です。面接での対話を通じて、具体的な課題・要件の特定、問題の構造化や分解、優先順位付け、設計や技術選定の比較、トレードオフ検討など、一連のプロセスをお聞きすることが多いです。

パフォーマンスや保守性、コストなど多角的な観点を考慮し、適切な技術選定や設計を導き出せるかを重視しています。検討のプロセスに加えて、技術的な幅や深さに関しても重きを置いています。

MIXIが面接で必ず聞くこと

【教えてくれた人】
株式会社MIXI
執行役員CTO 開発本部長 吉野純平さん(

@junpei_y

)

大学院卒業後、08年4月に新卒エンジニア職で株式会社ミクシィ(現 MIXI)に入社。SNS『mixi』のインフラを担当後、アプリケーションの運用に従事。その後、物理インフラ、サーバ運用、ネットワークから、映像処理や撮影などIP通信関連の開発を手掛ける。19年5月にインフラ室の室長、22年4月に開発本部 本部長を担当。23年4月 執行役員CTO就任

必ず聞く質問(1)

「何を学んでいるか、どのように学んでいるか、それをどのような期間で行っているか?」

吉野さん:学んでいる内容や学び方、その計画性などを伺うことで、自律して成長していける素養があるかを確認しています。当社では、成長意欲を持ち、共に学び続けられる方と働きたいと考えています。

必ず聞く質問(2)

「どのようなコミュニケーションをつくっていきたいですか?」

吉野さん:当社はコミュニケーションサービスを生み出していこうとする職場であるため、どのようなコミュニケーションに関わっていきたいのかという視点は非常に重要です。

サービス開発に限らず、日常生活のなかでコミュニケーションについてどのような課題を感じ、どのように解決したかについても伺えると嬉しいです。

エムスリーが面接で必ず聞くこと

【教えてくれた人】
エムスリー株式会社 VPoE
河合俊典(ばんくし)さん(

@vaaaaanquish

Sansan株式会社、Yahoo! JAPAN、エムスリー株式会社の機械学習エンジニア、チームリーダーの経験を経てCADDiにジョイン。AI LabにてTech Leadとしてチーム立ち上げ、マネジメント、MLOpsやチームの環境整備、プロダクト開発を行う。2023年5月よりエムスリー株式会社3代目VPoEに就任。業務の傍ら、趣味開発チームBolder’sの企画、運営、開発者としての参加や、XGBoostやLightGBMなど機械学習関連OSSのRust wrapperメンテナ等の活動を行っている

必ず聞く質問(1)

「最近興味がある技術、触って面白かった技術、論文、技術書は?」

ばんくしさん:社内LTも8割近いエンジニアが集まるような会社ですので、一緒に技術トークで盛り上がる中でギークなカルチャーマッチを見ています。

私はロボコンもやっていたのでハードウェアからWeb開発、機械学習、アルゴリズムまで幅広く話せるので大体一緒に盛り上がれます。私が常に面白い技術について知りたい、皆さんの好きを知りたいというのもあります(笑)

必ず聞く質問(2)

「プログラミングとの出会いは? ハマった瞬間は?」

ばんくしさん:一緒に人生を振り返りながら、技術を活かして一緒に活動できるかを見ています。

カルチャーマッチは大切だと思っていて、医療という複雑なドメイン事情、30以上のサービスと次々生まれる新規事業を少数精鋭で作り切る、そんなエネルギーを生み出すには、お互いにリスペクトするギークカルチャーが必要ですので、そこのマッチ度合いを見ることが多いです。

各社の質問を並べてみると、単なるスキルチェックにとどまらず、「どんな人と、どんな未来をつくりたいか」という各社の思想やチームカルチャーが浮かび上がってきた。

特に印象的だったのは、CTOたちがこの時代ならではの「企業に属する意味」や「エンジニアの生存戦略」といった問いを投げかけていたこと。技術力は当然の土台。そのうえで、事業やプロダクトを成長させるための“共に歩む仲間”をどう見つけるか。その真剣さが、どの質問にもにじんでいた。

生成AIについて明示的に触れていたのはサイバーエージェントのみだったが、他の企業も「AIについては当然聞いている」という前置きが添えられていた。6社ともAI活用を先進的に進める企業ばかりで、「AIを使っていること」はもはや当然。選考の場でも、その前提で会話が進んでいることを強く感じた。

だからこそ求職者も、「AIをどう使っているか」「どう向き合っているか」というスタンスを言語化し、語れるよう準備しておきたい。「聞かれたら答える」ではなく、「当然、聞かれる」という意識で臨むことが、これからの面接では当たり前になっていくだろう。

企画・編集/玉城智子(編集部)

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