医療従事者ら趣味の作品多彩に 釜石医師会が41回目の美術工芸展 20日まで開催中
釜石医師会(小泉嘉明会長、会員52人)が開く「医家美術工芸展」が、本日18日から釜石市中妻町の釜石医師会館で始まった。会員医師や看護師、薬剤師とその家族らが制作した趣味の作品を展示する。医療現場の顔とはまた違った一面をのぞかせる同展。今年もさまざまなジャンルの作品が並び、出品者の豊かな人間性を感じさせる。20日までの開催で、同会事務局は「ぜひ多くの皆さんに見に来てほしい」と呼び掛ける。
同展は1979(昭和54)年から続く秋の恒例行事。東日本大震災で2年間、新型コロナウイルス禍で3年間の中止はあったものの、脈々と回数を重ね、今回で41回目を迎えた。同医師会に所属する釜石大槌地区の開業医や地区内の国立、県立病院の勤務医のほか、関係病医院の看護師、薬局の薬剤師、それぞれの家族など67人が出品。作品数は114点に上る。
絵画は油彩やパステルなど。医業の傍ら創作活動を続け、美術分野でも名を知られる医師の作品のほか、医師家族3世代が描いたほのぼのとした作品も。絵手紙や書、水墨画の作品も出品された。今回は写真が多く、各地の自然風景や祭り、スポーツなど多彩な被写体が並ぶ。季節の写真は年に6回発行する医師会報の紙面にも活用されるという。
今の時代を感じさせるのが「デジタル魚拓」。スマートフォンやデジタルカメラで撮影した魚の画像を実寸大でプリントするもので、会員医師が釣り上げた1メートル超えのタチウオが色や大きさそのままに魚拓として残されている。
細かな手仕事が光る作品も多数。ステンドグラス、レースや毛糸の編み物、各種フラワーアレンジなど、根気と集中力が発揮された作品が見られた。木の皮で編んだ籠バッグ、木の実細工など自然素材を生かした作品も。ツイッター(現X)発の人気キャラクター「ちいかわ」の漫画ページを刺しゅうで再現した作品は、一針一針でつないだ線の美しさに驚かされる。パン屋の店頭で見られる飾りパンもお目見え。ディスプレイ用だけでなくインテリアとしても楽しめる“食べられないパン”は実際の食材で作られ、焼きたての香りが漂ってきそうな仕上がり。
県内には地域ごとに組織される医師会が14あるというが、同様の展示会を開いているのは釜石だけ。会場には会員やその家族のほか一般市民が足を運び、作品鑑賞を通じて交流の輪を広げている。同医師会の川崎浩一事務長(60)は「忙しい日々を送る医療関係者にとって、こうした趣味に親しむ時間は貴重なリフレッシュの機会になっているよう。診療でまとまった休みが取りづらい先生方も大型連休などに遠出して写真を撮ってきたり…。長く続くこの展示会は歴代の先生方が紡いできた医師会の大切な歴史の一つ」と話す。
第41回医家美術工芸展は20日まで開催。開場時間は午前10時から午後5時まで。展示会場の釜石医師会館は、国道283号沿いの小泉医院裏手にある。