戦後約270万人、現在約70万人。出生数の差は「希望」の差?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、3月3日の放送で「出生率、過去最少」をテーマに、ジャーナリストの二木啓孝が解説を展開した。
鈴木純子(文化放送アナウンサー)「先週、厚生労働省が公表した2024年の人口動態統計速報、外国人を含む国内の出生数は過去最少72万988人でした。6月ごろ公表される2024年の日本人のみの出生数、70万人を初めて割り込む可能性が高い、といわれています」
二木啓孝「70万人と聞いて、私は団塊の世代なのでピンとくるんです。私のときの出生人数が270万人。きのう行われた東京マラソンのような状況で、気が付いたら走らなきゃいけない、みたいな。団塊の世代ってだいたい700万人いるわけです。戦争が終わった、ホッとして家庭をつくって……ということでお父さん、お母さんががんばった」
長野智子「男性もかなり戦争で亡くなって、必ずしも夫婦できちんと子供が生める環境ではなかった。どういうことで皆さん、それだけ子供をつくったんですか?」
二木「希望なんです。食料もそんなにない、服もない。冬は寒い。でも戦争が終わって『さあこれから』という希望。いま希望がない、なぜ、という話なんです。少子化するなんて昔からわかっていた。国立社会保障・人口問題研究所が毎年、出すんだけど、どんどん減っていますよ、と。ずっと出し続けて、いろいろあって慌てたのが安倍政権の後半」
長野「はい」
二木「少子化対策。少子化担当大臣を決めて、こども家庭庁をつくって。ということで必死だと思うんですが。来年度予算で出産や子育て、教育、若者支援の金額、通ると思うんだけど6100億円です。多いか少ないか」
長野「少ないですよ」
二木「少ない。高校無償化の話で4000億です。それに比べて全部まるっといったかたちで6100億しか出ていない。異次元の少子化対策って、どこが異次元か」
さらに少子化対策について、二木は、この日の石破茂首相の発言を引用する。
二木「じつはきょう午前中の予算委員会で、少子化問題について石破さんが答弁しているわけ。じつは良いことを言っている。『人口の減少率は何が関係あるかといえば、間違いなく婚姻率です』『結婚しろという個人の価値観に国が介入すべきではありませんが、出会いの機会が恐ろしいほどなくなったことは間違いない』と。いまは見合い結婚というのがほぼ絶滅、社内結婚も下がっています。社内結婚を勧めたら、いまはパワハラになる」
長野「なるほど」
二木「『行政として婚姻率を上げるために努力をしなければいけないと思います。非正規の方々の婚姻率が正規労働者に比べて明らかに低い。将来に対する不安をいかに取り除くか、ということが少子化の対策です』。全然、間違ったことを言っていない」
長野「つかんでいますね」
二木「ところが、これは『だから予算を組み替えます』という話ではない」