浅草から世界へ!着物再生ブランド『KIMONO REBORN TOKYO』が描く未来
浅草の一角に、新たな発想で伝統文化を未来へつなぐブランド『KIMONO REBORN TOKYO(キモノ リボーン トーキョー)』があります。
着なくなった着物をバッグやシューズなどのファッションアイテムとして再生し、再び人々の手に届ける活動をしています。
今回は、『KIMONO REBORN TOKYO』の代表・河村晶太郎さんにお伺いした話と共に、企業理念からお店の魅力まで徹底紹介します。
浅草に誕生した『KIMONO REBORN TOKYO』とは?
『KIMONO REBORN TOKYO(キモノ リボーン トーキョー)』が現在の浅草・花川戸の地に店舗をオープンしたのは、2024年3月のことです。ブランド自体は4年目を迎えており、現在の『KIMONO REBORN TOKYO』につながる、最初の実店舗『TOKYO KIMONO SHOES』を、2023年1月から別の拠点で営業を行っていました。
なので、はじまりは着物を素材に用いたシューズの販売からでした。
「着物」との出会い、そして「再生」への想い
『KIMONO REBORN TOKYO』は、もともと着物の再生を目的としてスタートしたブランドではありませんでした。
「会社を立ち上げた当初は、“何を売るか”は決めていませんでした。純国産品を扱うという目的だけを持って、スタートしたんです。」
そんな中で偶然出会ったのが、台東区で作られていた着物素材のシューズでした。それが着物という素材、そして“再生”というテーマとの出会いにつながったそうです。
「正直、私は着物について詳しくはありませんでした。業界の人と比べたらまったくの素人です。でも、実際にキモノシューズの制作を始めてみると、日本では多くの着物が捨てられているという現実を知りました。」
年間500トン以上の着物が廃棄されているという日本国内の状況。この事実に直面したとき、靴だけではこの問題は解決できないと感じたといいます。
「靴以外のアイテムにも展開して、多くの着物を再生していかなければならない。そう考えるようになりました。」
職人の技と、サステナブルなモノづくり
『KIMONO REBORN TOKYO』のものづくりは、サステナブルでありながら、確かな職人技にも支えられています。
「靴はすべて、台東区の職人が一足ずつ丁寧に手作りしており、そのクラフトマンシップに対して正当な対価を支払う体制を整えています。」
また、工房と店舗が徒歩10分ほどの距離にあることで、物流や梱包などの中間コストを削減しているそうです。
「浅草で作ったものを、そのまま浅草で売ることができる。この距離感が、品質を保ちながら価格を抑えることにもつながっています。」
他のハイブランドでは高価格帯で販売されるような品質のものを、もっと手に取りやすい価格で提供。それも、『KIMONO REBORN TOKYO』が大切にしている姿勢のひとつです。
お客さまの声から生まれるプロダクト
店内に並ぶ商品は、着物や帯を使ったバッグやポーチ、足袋シューズなど多岐にわたります。一見、デザイナーが緻密に設計したかのような商品群ですが、実は“お客さまの声”から生まれたものがほとんどだそうです。
「このくらいのサイズのポーチがあったら便利だよね、という声をもとに、まず試作品を作ってみるんです。そうしたら、予想以上に評判が良くて、それが今では一番人気の商品になっています。」
このように、現場のリアルな声をもとに柔軟に商品開発を進めるスタイルも、このブランドの強みです。お客さまと一緒に作り、育てていく。そんな空気が店内には流れています。
着物廃棄ゼロを目指して、世界へ
『KIMONO REBORN TOKYO』の事業ミッションは「着物廃棄ゼロ」。日本では年間500トン以上の着物が廃棄されており、国内市場だけではその量を再生しきれないという課題があります。そこでブランドは、2026年末までに海外進出を目指しているそうです。
「1億人の日本市場だけでなく、80億人の世界市場へ展開していきたいと考えています。着物の再生商品は、日本の伝統文化を表現する上でも、とても力強いコンテンツだと思っています。」
訪日観光客との接点が生まれる浅草を起点に、世界へと文化を発信する。それが『KIMONO REBORN TOKYO』の描く未来です。
浅草から新しい日本の魅力を
「どうすればお客さまに喜んでもらえるかを常に考えています。」
その言葉が印象的だった『KIMONO REBORN TOKYO』の代表・河村晶太郎さん。
スマートでシックな印象を持つ河村さんですが、取材時にはとても気さくに、企業理念やモノづくりへの想いを語ってくださいました。
バンドでドラマーとして活動していたという経歴を持つ河村さんは、作り手の立場にも深く寄り添う姿勢が印象的です。ブランドの代表としての情熱はもちろん、モノづくりに携わる職人やスタッフの思いを大切にしていることが、言葉の端々から伝わってきました。
また、取材の合間には、河村さんが自ら流暢な英語で観光客に接客する場面もあり、国内外問わず多くの人に日本の伝統文化を届けたいという意欲がうかがえました。
伝統文化を大切にしながら、現代のライフスタイルにフィットする形で再解釈していく。その柔軟で熱意ある姿勢に、共感する人が増えているのもうなずけます。
浅草を訪れた際は、ぜひ『KIMONO REBORN TOKYO』に足を運んでみてください。そこには、過去と未来が交差しながら、新しい日本の魅力が息づいています。
KIMONO REBORN TOKYO(キモノ リボーン トーキョー)
住所:東京都台東区花川戸2-3-10
電話番号:03-6458-1016
営業時間:【月~日】11:00~18:30
休業日:不定休