【合志市】花を生かして、花に生かされて~ご自宅のお庭を公開されている方へお話を聞きにいってみました~
ここは合志市御代志。近所を散歩していると、あちこちに手書きの看板がありました。
手書きが目を引く、素敵な案内です。自宅にて「ナチュラルガーデン公開中」との事。 確か去年もあったなぁと思い、今回伺って見ました。
ナチュラルガーデン(ご自宅のお庭)を公開しているお宅へ
場所はご自宅。案内板をたどっていくとすぐに分かります。
松本さんというお宅です。記者の近所ですが、面識はありません。
色使いも素敵な案内板が何カ所かに設置されております。
到着しました。お声掛けなしで、入ってくださいと書いてありました。
ナチュラルガーデンのすべて 松本さん宅の場合
お話を聞くために、お声掛けしました。こころよく、お外に出てきてくださった松本さんは女性の方でした。松本さんのご自宅は通り沿いではなく、車の一切通らないこの地区の公民館内にあるので、通りすがりに眺めるという事は出来ません。
「あら~もうお花も終わりに近いんですよ。」と松本さんは言っておられましたが、まだまだ色鮮やかなお花たちが迎えてくれました。
(玄関へ続く道)
このご近所付き合いも乏しい時代に、自宅のお庭を公開されている理由を聞いてみました。
「仕事を10年前に退職して、何をしようかな、と思った時に、義理の母がバラの接ぎ木をしていたのを見て、私もやってみようと思い始めました。2004年が一本目になります。それがこんな風に増えて。ではせっかくなら公開してみようかなと思いました」との事。
そんな松本さんは学校の先生をされていたそうです。植物は大変!と笑われておられましたが、教員というお仕事を経てまた、生き物をお世話をされるとは、心からパワフルな女性だなぁと思いました。
こだわっているのは無農薬という事だそう。松本さんは、元々農薬が苦手だったそうで、害虫対策に木酢液やニームオイルという、インド産のニーム樹から抽出した天然由来の虫よけ剤で何とか対策をしているそうです。
お話をしている間に、いい意味で「ぶんぶんぶん」と虫の羽音が聞こえ、懐かしい子供の頃を思い出しました。幼少期は、虫とも土とも植物とも、とても距離が近かったなぁと思います。今は綺麗な道路を利用してばかりで、土の感触さえ、忘れてしまいそうです。
きちっとしたお庭というわけではなく、除草剤も使わないそのお庭の姿は、ありのままを生きた、ターシャテューダーのお庭を思い出させました。
ターシャ・テューダー(Tasha Tudor、1915年8月28日 - 2008年6月18日)はアメリカの絵本画家・挿絵画家・園芸家(ガーデナー)・人形作家である。 50歳代半ばよりバーモント州の小さな町のはずれで自給自足の一人暮らしを始め1800年代の農村の生活に学び、彼女の住む広大な庭で季節の花々を育て続けるライフ・スタイルは、日本でも注目を浴びた。
ここは、ターシャのお庭みたいですね?とお話すると「あら、私もすごく大好きで!!!ターシャさんが生きてらっしゃるうちにいつか行ってみたいと思っていたのですが、なかなか行けませんでしたね」との事。
近頃ではバラの引き立て役のお花たちも、大切にされているそうです。
どくだみなんて、抜いても抜いても出てくるでしょう?もうね、キリがないの。だから最近は格闘することをやめたのよ。戦いをやめて共存を目指しています。との事。
この素敵なお庭を作る為に、一番忙しいのは12月~2月だそう。寒い中、春のこの風景を見るために気力体力を振り絞っておられるそう。寒い中でも頑張れるのは毎年期待に応えてくれる薔薇たちのおかげでしょう。
今は80種類くらいのお花があるそうです。たくさんの方が見に来られますか?と尋ねると、「Facebook仲間やバラ仲間、LINE友達とか、そんなものですよ~」と言われておられました。一度だけケアハウスの利用者の方々が来られたそうですが、車いすに対応してないので申し訳なかったですね、と話されておられました。
「ここの近所にもっとすごい薔薇のお庭がありますよ、と、松本さん。そこはイブニングコンサートなどもされていて、一度行かれてみてはどうですか?」と言われておりました。お庭でイブニングコンサート!?近所にそんな界隈があった事もびっくり。
害虫駆除をやめたら、そこは虫たちにとって楽園になっておりました。農薬を「使う」「使わない」といった育て方は好みだと思いますが、こんな風に色んな植物がざわざわと咲き乱れているお庭は共存という意味でも、とても素敵な空間でした。
どくだみの話で出てきた、松本さんの「戦う事をやめました」と言われた時の笑顔は、生きてきた中でたくさんの経験を経てこられたであろうことが垣間見えた素敵な瞬間でした。 ※現在お庭の公開期間は終わっております。