フレデリックとラッキリの相思相愛ツーマン実現ーー『802 Jungle Attack』第2弾でゴリホがダンス天国に
『802 Jungle Attack』2024.11.18(MON)大阪・GORILLA HALL OSAKA
フレデリック、Lucky Kilimanjaroらが出演したライブイベント『802 Jungle Attack』が、11月18日(月)に大阪・GORILLA HALL OSAKAで行われた。
『802 Jungle Attack』は、大阪のラジオ局FM802と大阪・住之江区のライブハウス「ゴリホ」ことGORILLA HALL OSAKA、プレイガイドのイープラスが4月にスタートさせた新番組『MUSIC Play-STANDARD』(月〜金曜23:48〜24:00 O.A.)主催のライブイベント。8月に続いての開催となった第2回目は、開演前にまずFM802DJ土井コマキが「フレデリックとLucky Kilimanjaroという夢のカードを盛り上げるオープニングアクトがいます。「こんなに大きなライブハウスでパフォーマンスするのは今日が初めて」という彼らを、ぜひ応援してあげてください!」とPOOLSを紹介、『802 Jungle Attack』がスタートした。
POOLS(Opening Act)
FM802とデジタル音楽ディストリビューションサービス「FRIENDSHIP.」による『802 Jungle Attack』への出演を懸けた共同オーディションで、オープニングアクトに抜擢されたPOOLS。『802 Jungle Attack』としても初の試みであり、彼らにとっても過去最大の大舞台ながら、1曲目の「wave」からしっかりと極太のボトムを鳴らし切る堂々たるたたずまいでの(Gt)の轟音ギターと、壮大なサウンドウォールすら軽々貫くみきりょうへい(Vo.Gt)のボーカルで冒頭から見る者をロックオン。初見の観客が多かったことは予想にたやすいが、「KICK-ASS」でもそんなことはまるで問題なくぶち上げる頼もしさがあった。
まだ開場中にも関わらず、多幸感溢れる「luv(2u)」に吸い寄せられフロアがみるみるうちに埋まっていく光景は痛快で、与えられたわずかな時間に最大級の爪痕を残すべく「effect!」~「サークル」と一畳み掛け、鮮烈な印象を残したPOOLS。後に控える2組を前にして見劣りなし、すでに大器の予感を漂わせるニューカマーには期待大だ。
Lucky Kilimanjaro
司会のFM802DJの加藤真樹子と土井コマキが登場し、フレデリックとLucky Kilimanjaroの名をコール。待望のツーマンライブの実現をオーディエンスと共に喜び、満員御礼ソールドアウトへの感謝を述べる。「ジャンアタ!」「ウホウホ!」と『802 Jungle Attack』でしかあり得ない独特過ぎるコール&レスポンスを経て(笑)、先攻のLucky Kilimanjaroがいざステージへ!
SEが鳴り響いた瞬間から沸き立つクラップが出迎え、「皆さんご存知のようにダンスは自由です。アー・ユー・レディ?」と熊木幸丸(Vo)がいざなえば、すでに熱気で爆発寸前の場内が沸きに沸く。「350ml Galaxy」から見渡す限りがハンズアップする絶景を瞬く間に作り上げ、バックヤードからビールジョッキを持ってきた熊木が「素敵なダンサーの皆さんに乾杯!」と音頭を取れば、脳みそが一気に解放されていくこの感覚。ラッキリのライブに準備や助走は必要なし。「kimochy」でも快楽の極みに登り詰めんと「月曜から踊りに来たんでしょ?」と熊木が呼び掛ければ体内のアドレナリンが騒ぎ出す、無敵のアジテーターぶり。この時点ですでに後に出番を控えるフレデリックが心配になるほどの熱狂を生み出し、「ひとりの夜を抜け」~「Dancers Friendly」でも「知ってる/知らないとか関係ないんですよ。皆さんが音楽を楽しみたいと思うかどうか、踊りたいと思うかどうかなんです!」(熊木、以下同)と、身も心も徹底的に踊らせる!
「Burning Friday Night」でシンガロングが巻き起こった景色は、もはやワンマンライブ。その場にいる全ての民をとりこにしてしまうラッキリの音楽の力に、何もかも忘れてとことん満たされていく。その後も、エレクトロラテンなパーティーソング「KIDS」で静かに躍動し、「まだまだ踊らせたいと思ってます!」と容赦なく導いたチルい「エモめの夏」、大瀧真央(Syn)のシンセのリフレインとコーラスでも魅せた「フロリアス」、ドラムとパーカッションの強烈な打撃音が鼓動を加速させた「かけおち」、ボサノバとハウスと民謡とetcのごった煮ミクスチャー「踊りの合図」、いったいどこまで連れて行けば気が済むのかというエクスタシーに到達した祝祭の「でんでん」と、GORILLA HALL OSAKAをノンストップクルージングさせ続ける驚異のグルーヴには圧倒されるばかりだ。
「メロディライン」のとろけるようなメロウネスに浸りつつ放ったトドメの「HOUSE」まで、全13曲50分の完全無欠のショータイム。アツアツのバトンをフレデリックに手渡したラッキリに、割れんばかりの拍手が送られた。
フレデリック
「人生の中で教えていただけることで、俺が一番ためになったのは、結論を先に言うこと。結論から先に言います、俺たちフレデリックは<踊ってない夜が気に入らない>!」
三原健司(Vo.Gt)の導入から問答無用のアンセム「オドループ」で幕を開けたフレデリックは、先ほどラッキリがもたらした狂乱などものともしない、あっという間の無双状態。促さずとも発生した大合唱にも後押しされ早くもダンスホールと化したGORILLA HALL OSAKAで、キレと重さが共存する緩急自在の「CYAN」でも変則ブレイクを乱れ打ち、ライブアクトとしてのすごみをさらりと見せつけていく。
MCでは、「待望のツーマンライブですね。ラッキリとは親和性があると思っていたんですよ。「いつか一緒にやりたいな」みたいな話をお互いにしていて」(三原健司、以下同)と、最近は各地のイベントでラッキリとのニアミスが続き対バンへの期待値が高まっていたことを語り、「何よりすごくいいなと思ったのは、どの音楽も見逃さないぞ、踊り尽くすぞ、楽しみ切るぞ、と捉えている人たちが今日はたくさんいるんやなと、幸せな気持ちになりました。2バンドがやってくれた以上に、フレデリックが最高にして帰しますのでよろしくお願いします!」と高らかに宣言。
ここで三原康司(Ba)がシンセベースにスイッチし、「ナイトステップ」へ。アーバンでアダルトなギターが冴えわたる「midnight creative drive」へのシームレスな流れも高揚感を引き出すのに抜群に機能し、続く「LIGHT」でもフォーピースのロックバンドという枠を優に超える洗練されたダンスミュージックを聴かせていく。伸びやかな歌声を会場いっぱいに響かせた「シンセンス」から突入した「スパークルダンサー」では、GORILLA HALL OSAKAが跳ねまくる! クライマックスは「銀河の果てに連れ去って!」~シアトリカルな新曲「Happiness」と駆け抜ける怒濤のエンディング。ベストヒットの抽出になりがちなフェスとは異なり、バンドの音楽的な幅を見せられるツーマン以上のロングセットのうま味を存分に味わわせた、本領発揮のフレデリックだった。
当然のごとく鳴り止まないアンコールでは、「めっちゃいいイベントやね。今日で完結するんじゃなくて、今日の夜がその先につながる感じがめちゃくちゃ好きで。そういう夜を経験できて良かったし、そういう思いでやりたかったから、この曲を置いて帰ろうと」と、ラストはフレデリックの覚悟と転機の一曲「名悪役」を披露。大盛況のままフィナーレを迎えた……はずだったが、「まだちょっとゴリラが残ってるっぽいから(笑)、もう一曲やっていいですか? POOLSとラッキリとあなたがそうさせました!」と、おかわりキラーチューン「オンリーワンダー」をドロップ! 天井知らずの熱量と喝采の中、最後の最後までこの夜を楽しみ、楽しませた粋なフレデリックが、見事にその幕引きを担った。
なお、11月最終週の『MUSIC Play-STANDARD』では、この日のライブ音源に加え、公演直後に実施されたフレデリック三原健司×Lucky Kilimanjaro熊木幸丸によるフロントマン対談をオンエア。また、GORILLA HALL OSAKAのエントランスに常設され、ライブの感想や出演アーティストへのメッセージを自由に記入できる「ゴリラパネル」には、「おどりくるったぞ~!!」、「このライブ見る為に今日まで生きのびたぞー! しあわせ!!!!!」など、『802 Jungle Attack』の終演後にはうれしい書き込みも。時には番組内でその内容がピックアップされることも!? 今後もFM802、GORILLA HALL OSAKA、イープラスが連動し、ラジオ、ライブハウス、WEBと、さまざまな切り口でアーティストをプッシュしていく。
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=FM802提供(渡邉一生)