参院選に向けた政策。排外主義の色が強まる?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、6月30日の放送に政治ジャーナリストの角谷浩一が出演。「参議院選挙(7月3日公示、20日投開票)の情勢」をテーマに、各党に見られる政策の方向について解説した。
長野智子「自民大敗の都議選のあと、各党の受け止めは変わってきていますか?」
角谷浩一「徐々に変わってきています。何を訴えるべきかという政策に関しては、自民公明など歴史ある政党も、いままでどおりでは勝てない、という雰囲気はあります。各政党がいろいろなことを言いますし、国民民主党の『手取りを増やす』というキャッチが日本中に刺さったんだと思います。昨今では参政党の言う『日本人ファースト』という言葉かな」
長野「アメリカみたいな」
角谷「日本人ファーストというのは悪いことではないし、国民が甘受できるものはきちんとしてほしいと思う。けれどたとえば2012年、自民党は生活保護の1割カットを決めるんですね。つまり困っている人、セーフティネットにも手を突っ込んで。その人たちも日本人なんだから」
長野「はい」
角谷「社会復帰するための生活保護であって、日本人なら養ってあげます、ということではない。そこにも厳しくいっていた。去年の衆議院選挙のとき国民民主党が『尊厳死の法制化を含めた終末期医療の見直し』を掲げたんですね。『PLAN 75』みたいな映画がありましたけど、自分で『このまま生きるか、死ぬか』を決めていいよ、というのは一見、選択肢を与えたように見える」
長野「はい」
角谷「でもそこにかけるお金があるなら若い人に回したほうがいいんじゃないか、という、若者たちの声があるんだと思いますね。そこに国民民主党は反応したけれど、今度の政策にはどこにも出てこない。半年ちょっとで消えた、みたいな感じで」
長野「出てこない? ああ……」
角谷「今回、自民党が『違法外国人0に向けた取り組みを加速化する』というのを公約に入れた。外国人に恩恵が行く政策があって、そういうのをやめていくべきだ、という姿勢が前に出てきた。免許の取り方も厳しくするとか。全体的に自民、国民民主、維新の会は外国人規制を強め始めた。インバウンドでこんなに儲かりました、ありがとう、と言っていたけど、あまりお金を持っていない外国人は迷惑だ、という感じですよね」
長野「排外主義を感じますね」
角谷「日本人っておもしろくて、世界の中の日本は大好きだけど、よく知らない人が隣にいるとイヤな感じ。たとえば『原発は必要だね、わかる。でも裏庭にはつくらないでくださいよ』と。ゴミの施設もそういう運動あるじゃないですか。必要だし、うちもゴミ出るから焼却炉がなきゃいけない。だけど、うちの近くはダメですよ、と」
長野「日本はそういうのが多いですよ」
角谷「それが政策に入り始めた、ということです」