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<バレーボールSVリーグ>東レアローズ静岡 177センチの楠本岳(天理大)に脚光「小さい選手に夢を」

アットエス


苦しい戦いが続くバレーボールSVリーグ男子の東レ静岡は2月8、9日、沼津市総合体育館で行われた日鉄堺BZとの地元戦で6連敗となり、9位に沈んでいる。

SVリーグ元年の今季、各チームに世界のトップ選手が加入。攻撃力が格段にアップする中で、東レ静岡はアラン・ソウザ選手、フランチェスコ・レチネ選手の両外国人がコンディション不良でフル出場できず、日本人中心の戦いを強いられている。

その中で、守備力に定評のある内定選手のアウトサイドヒッター楠本岳選手(天理大)の存在が、チームの浮沈を占う鍵として注目されている。

好レシーブで見せ場

177センチとバレーボール選手としては小柄な楠本選手だが、抜群のレシーブ力を買われて昨年12月28日の日鉄堺BZ戦でリーグ戦デビュー。2月2日のWD名古屋戦でスタメンに抜てきされた。

最速137キロと言われるニミル・アブデルアジズ選手(WD名古屋)の破壊力のあるサーブを好レシーブし、切り返して自らのアタックで得点するなど早速、見せ場もつくっている。守備型とはいえアタッカーにこだわったのは「小さい選手に夢を与えたい。この身長でもやっていけるというのを証明したかったから」。2メートル超の外国人選手のアタックやブロックにも臆せず立ち向かい、会場を沸かせている。

手応えと課題

楠本選手の安定したサーブレシーブは、攻撃のパターンを増やすことにもつながる。2月9日に途中出場した新人セッター小野寺瑛輝選手は「パイプでもクイックでもどの攻撃も使えるようなゾーン付近にパスが返ってくるので、セッターとしては選択肢が増えるし、相手のブロッカーは見なきゃいけないところが増えて、相手にストレスがかけやすくなる」と話す。

楠本選手自身は、手応えと課題をこう受け止めている。

「サーブレシーブには自信があったので、通用している部分もあると思うけれど、高さの部分でだいぶ劣る。サーブレシーブを返しても、チームに迷惑をかけている部分が多い。ブロックでもプラスになれるように、高さをどうカバーしていくかが課題だと思う」

強みをどう生かすか

日鉄堺BZとの連戦で、阿部裕太監督は楠本選手をスタメン起用しつつ、後半の勝負どころでソウザ選手を投入した。ソウザ選手がフル出場できないための策だったが、チームはいまひとつかみ合わなかった。

日本人選手のみで速い攻撃を強みとするパターンと、ソウザ選手の得点力、高さを頼みにするパターンを併用することで、選手間の連係ミスが増えた。

「アランが長い時間プレーすることによって、楠本がコートから出て守備が不安定になる。アランがいれば簡単に決められるポイントも増えてくるが、それが“線”にならず単発で、淡泊なゲームになってしまった」と指揮官。ソウザ選手の状態次第で、次週以降も楠本選手との併用が見込まれるだけに、修正が急がれる。

若手のステップアップに

チームは危機的状況だが、出場機会を与えられた若手にとってはチャンスだ。2年目で主将を務める重藤トビアス赳選手も今季、出番が増えて成長を遂げた若手の一人。「今日のスタートも若いメンバーが中心。

そういう選手がリーグ戦で試合に出させてもらえるというのは珍しいこと。そこでおのおのが得たものを伸ばして、しっかりステップアップしていけたら」と展望を描く。

「経験を積むチャンス」

ファイナル6進出へ自力では厳しい状況となったが、楠本選手は「SVリーグは来季も続く。自分自身は経験を積むチャンス。競った展開で後ろで入ることが多いので、そういうところでも活躍できるようにしたい」と士気高く臨む。

地元戦のチケットは「完売御礼」が続いている。駆け付けてくれるファンの期待に応えたい。

(編集局ニュースセンター 結城啓子)

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