ポップで楽しくて、おもしろおかしい。おいでよ!「優しさ」で生きられる"街〈CITY〉”!『CITY THE ANIMATION』南雲美鳥役・小松未可子さん&にーくら役・豊崎愛生さん&泉わこ役・石川由依さんインタビュー
京都アニメーション最新作! TVアニメ『CITY THE ANIMATION』が2025年7月6日(日)より放送スタート!
あらゐけいいち先生らしい、ポップで優しく、ちょっとたのしい街に住む、南雲美鳥・にーくら・泉わこたち、個性あふれる住人の日常を楽しむことができる作品です。
メインキャストである小松未可子さん、豊崎愛生さん、石川由依さんの3人が語ったのは、面白さや可愛さだけにとどまらない本作の魅力の数々!
リアルタイムで作る「掛け合い」に重きをおいたアフレコ現場の様子、住人の誰もがどこか愛おしい『CITY』への想いとは?
見終わった後、きっとあなたもこの街に住みたくなる。そして、自分の街への眼差しも変化する!? 新たな日常系アニメのはじまりを、ぜひ覗いてみてください!
【写真】『アニメCITY』小松未可子&豊崎愛生&石川由依インタビュー
「優しさ」の街を覗く
──本作に出演が決まった際のお気持ちをお聞かせください。
小松未可子(以下、小松):まずは、『CITY』の住民になれることが嬉しかったです!
原作を読ませていただいて、今まで演じたことのないテンション感や作風だと感じました。このエネルギーについていけるのか、「どう演じるのが正解?」と思いながらも、オーディションに臨んでいたんです。作品を理解していくうちに、出演する喜びは大きくなりましたし、正解が分からない中で、模索しながら楽しくやっていけそうだなと。
豊崎愛生(以下、豊崎):私は元々、あらゐ先生の作品が大好きで『CITY』も読んでいたので、出演が決まって本当に嬉しかったです!
本作に限らず先生のイラストや作風が大好きで、色々なところで拝見していたので、今回はその絵がアニメーションになって。そこに私自身も出演することができて、夢が叶ったような気持ちです。
石川由依(以下、石川):私もふたりと一緒で嬉しかったんですけど……正直、不安な気持ちもありました。
──と言いますと?
石川:自分の笑いのセンスを信用していないんですよ! この作品の面白さを果たして自分がうまく表現できるのか……。ちゃんと自分の中に落とし込んで、わことして生きていけるのか。皆のテンションについていけるのかなとか……(苦笑)。
──不安がいっぱいですね(笑)。
石川:そうなんです。でも、本作の監督を務める石立さんとは以前もご一緒させていただきましたし、また京都アニメーションの作品に出演できることは嬉しかったです。あとはアフレコ現場に行って、身を委ねようと思いました。
──皆さん、作品のテンションやエネルギーのお話をされていましたが、作品の全体的な印象はいかがでしたか?
小松:テンション感やエネルギッシュさもありつつ、根底にある「優しさ」が印象的でした。非常にカオスですし、ギャグも狂気的なものを感じますが(笑)、どこにも悪意がない。
一方で悪ではないけど、ポップさの中にシニカルさやダークさがあります。そこを紐解いていく楽しさもあるというか。知性的な部分と笑いが絶妙なバランスで成り立っているなと。すごい作品ですよね。
──メインのキャラクターが大学生であったり、街には大人も沢山いるので、以前アニメ化された『日常』とはまた違った面白さがありますね。
小松:そうですね。『CITY』の住民はみんなが主人公というか、「この人がこの作品の主人公」みたいなものをあまり感じないんです。
街の色々な場面、色々な人たちの日常を切り取って、その切り取られた部分で誰かが主人公になっている。見れば見るほど、どのキャラクターも魅力たっぷりで、愛せてしまいます。そのうえで、何を考えて行動しているのかは分からない、みたいな不思議な感覚がありました。
──そもそも大きな目的やストーリーを意識して、日常生活を過ごすことはないですもんね。
石川:たしかに。みかこしが言っていたように、私たちが演じる3キャラクターがメインになっていますけど、誰もが主人公のポテンシャルを秘めています。さりげない日常をしっかり描いていて、それが凄く賑やかで、面白くて、尊くて。キャラクターのデザインなども含めると、思わず楽しくなっちゃう作品だなって思います。
──豊崎さんはいかがですか?
豊崎:皆が言ってくれたように、今回は「優しさ」がテーマだと思っています。『CITY』は優しさでできている!(笑)
基本的には、テンションがずっと高くて、私が演じるにーくらなんか、叫びツッコミの数がすっごく多いんです。そんな中で、どこか心温まるシーンもあって、それが視聴者の皆さんにも届いたらいいなって思います。
石立監督が、アフレコに入る前に「あらゐ先生の作品の魅力である、ギャグやコメディの中にあるインテリジェンスを表現したい」とおっしゃっていたのが印象に残っていて。私自身、根底に哲学チックなものがある先生の作風が好きなので、それがアニメーションでも至るところに表現されていると思います。
──監督が提示したコンセプトは、作品ファンである豊崎さん的にもぴったりだったと。
豊崎:そうですね。見た人が幸せになれるとか、笑えるものを作ることって、エンターテインメントの基礎的な部分になっていると思うんです。アフレコを通して、そこに改めて立ち返ることができたと思います。
「南雲美鳥」は『CITY』の“概念”
──続いて、それぞれのキャラクターについてお聞きしたいと思います。まずは、小松さんに南雲の魅力をお伺いしたいです。
小松:南雲は男子学生っぽい雑さがあるキャラクターです。欲に忠実で、常にお金を欲しがっています(笑)。暴れまわってはいますが、個人的には「にーくら以上にまともなんじゃないかな?」と思ったり。街の住民の中では、意外と常識的な方です。
──分かります。ある意味、真面目ではありますよね。
小松:間違いなくうるさいんですが、この街の中では割と一般的な情緒を持っている側なんじゃないかなって(笑)。
ボケて、突っ込んで、突っ走って……みたいなエネルギッシュさやボーイッシュな感じが魅力的な子だと思います。ただ、まともさ故に翻弄される側でもある。南雲も振り回されているんだけど、南雲に振り回されている人もいて、街のバランサーとして、その中心にいるようなイメージでした。
──物語、キャラクターの関係性においても起点になるキャラクターですよね。
小松:南雲がきっかけになることは多いですね。そして、きっかけになった後はずっと叫びまくっていたなって(笑)。『CITY』を象徴する存在ではあると思います。監督も「南雲は概念。CITYという作品の概念そのものだから!」とおっしゃっていました。
──続いて、豊崎さん演じるにーくらはいかがでしょう?
豊崎:にーくらは、わこちゃんや南雲さんと一緒にいると飛びぬけたところはない子なんですよね。身体能力がすごい訳でもないし、独特のセンスもない。いわゆる普通の大学生の女の子で、だからこそ3人でいる時には、嫌でもツッコミに回らざるを得ないんです。
魅力は沢山あるんですけど、やっぱりツッコミの瞬発力が目立っています。何が起きるかわからない、なんでもアリな街の中で、柔軟性を持っている人だなって。目の前の状況にあわせてツッコめる対応力が魅力です。
──にーくらのツッコミで沢山笑いました。ひとりでいる時の意外な一面も描かれていましたね。
豊崎:そうですね(笑)。結構変わっている子ではあるのかもしれません。
──石川さん演じるわこは、さらにその上をいく変わり者ですよね。
石川:そうですね。わこちゃんは究極のマイペースなんです。和を乱したり、誰かに迷惑をかけることもないんですけど、ひとりでやってることが面白いという(笑)。そういう意味では、自分の軸をしっかりと持っている子ですよね。
メンタルがめちゃくちゃ安定していて、南雲やにーくらがわちゃわちゃとやっている中でも、動じずに楽しそうにしています。騒がしいカオスの中で、飄々と笑っているというか、なんでも「楽しい」に変換できる子なんだと思います。
──見ているこちらも幸せになるような。
石川:好奇心の塊みたいなキャラクターで、ずっとセロトニンが出ている、常に幸せな子です。
──わこはファッションセンスも特徴的でした。
石川:恐竜のパジャマを着ていましたね。……あれはなぜ着ていたのでしょうか(笑)。多分、自分の好きなものやこだわりがある子なんだと思います。
別録りはしない、アフレコの原点へ
──それぞれのキャラクターを演じるうえで、意識したことを教えてください。
小松:掛け合いが重要な作品であり、南雲もそこで生きるキャラクターだと思います。だからこそ、現場では“用意したもの”を忘れるようにしていました。皆がどんなテンションで来て、「今日はどんな『CITY』になるんだろう?」みたいな感覚ですね。もちろん、南雲のテンション感は自分で調整しつつ、現場ではまっさらな気持ちで、なんなら作り直そうと思うくらいでした。
──ツッコミにボケに、たまにジーンとくるようなセリフもありますし、南雲はやることがたくさんありますよね。
小松:もちろん彼女の役割の多さ、それこそ概念感が魅力に繋がったら良いなとは思っていました。ただ、彼女は彼女らしく、南雲そのものとして生きている。何も飾らない、飾る気なんてさらさらない、素直にノリで生きているところを大事にしたかったんです。
──現場でディレクションはありましたか?
小松:割と自由にやらせていただいたので、ほぼなかったと思います。逆にどこまでやって良いんだろうかと(笑)。周りのキャストさんたちが強烈なアドリブや崩し方をしていて、負けじと盛ってみたり、引いてみたり、トータルバランスも見ながら演じていました。
皆さんも同じだと思いますが、毎話毎話キャラクターの中に課題が見つかって、その課題と戦いながら、試行錯誤していたんです。中でも鶴岡さん(音響監督・鶴岡陽太さん)に、けしかけてもらうことが多かったかな。「もっといけんじゃないの!」って(笑)。
──豊崎さんや石川さんとはどのようなお話をされましたか?
小松:ありがたいことにおふたりと一緒に待機していることが多くて、色々とお話しました。アフレコを一回やって、皆で爆笑して、その後にちょっと悩む時間があって。「ここはどう合わせるか」みたいな演技プランの相談だったり、「あそこヤバかったよね!」って作品への愛を語ったり。
──アフレコ中に爆笑されたりするんですね。
小松:ありますよ! テストテイクでは皆のけぞったり、手を叩きながら笑っていたくらい(笑)。
豊崎:私も今、未可子ちゃんの話を聞きながら思い出し笑いしちゃいました(笑)。もうめちゃくちゃ楽しいアフレコでしたね。アフレコの手法もそうで、皆で息を揃えて同時に録って、思ってもいなかったものが出たけど、ノリや勢いが良いからオッケーみたいな。ライブ感と言いますか、みんなで餅つきをしているような感じ(笑)。
──(笑)。息のあった高速餅つきですね。
豊崎:家で練習してきたものと全く違うものが飛び出すことも日常茶飯事でした。鶴岡さんはキャストとキャラクターの化学反応みたいなものを大事にしてくださる方なんです。
もちろん原作の時点で、あらゐ先生らしいキャラクター像が確立しているんですけど、声がつくことによってその輪郭がくっきりして、アニメーションならではの個性がついたと感じています。
──そのライブ感や楽しさこそが、豊崎さんの中での原点なのでしょうか?
豊崎:そうですね。アニメーションだと、どうしても個別でアフレコするシーンがあって。そういう時でも、ミキサーさんが頑張ってくれて、会話劇として成立するようにしてくれています。
ただ、今回はできるだけ一緒に録ることで、全員でキャッチボールをしながら、テンションを上げていく。南雲さんとにーくらに関しては、お互いをどう超えていくかみたいな感じで。それがやっぱり楽しいんです。鶴岡さんがアフレコを通して言っていたことは「汗をかいていこう」でした。
──良いですね! まさに熱血と言いますか。
豊崎:全員が全員各パートで大汗をかきながら全力でやる。これはすごい方針で私も「熱い!」と思いながらやっていました。
──豊崎さんと言えば、ふんわりとしたいわゆるボケのイメージがあります。今回、にーくらとして熱くツッコミをしてみていかがでしたか?
豊崎:たしかに、今までご縁があったキャラクターは割と熱くツッコむタイプではない子も多かったかもしれません。でも私は関西に住んでいたので、常に血が騒いでいるんですよ。
──関西人の血が……!
豊崎:元々の気質もツッコミタイプです。今回はもう全力で、時にはハリセンを持ってコテコテにやらせていただいて、すごくスッキリしました!
──石川さんはいかがでしょう?
石川:皆が言っていたように、とにかく別録りをしないことが根本にあったなと。とにかく収録を止めないんですよ。キャストも大変なんですけど、スタッフさん的にも大変な仕事だと思います。でも、私たちの勢いとかノリを大事にしてくださっていて。ある意味で、声優としての力が試される場所だとも思いました。「何かやらなきゃ!」みたいな。
──なるほど。そういった意識が伝播していく訳ですね。
石川:きっと少し昔の現場だと少し難しいシーンでも1発で録ることってあったと思うんです。技術の進歩があって、無理をしないで済むようになったのはいいことなんですが、皆さんの技術を目の当たりにすると、残していきたいとも思います。こういうことができる人間、声優でありたいなと。とても勉強になる現場でした。
──京都アニメーションの作品では、アフレコの際に映像がほとんど完成していると耳にすることがあります。映像があるからこそ、また違う演技のアプローチになったりしますか?
石川:素晴らしい画を完成させていただいているので、イメージはしやすいですね。映像が素晴らしいからこそ、モチベーションが上がって、「もっと頑張ろう!」という気持ちになります。
おいでよ!「優しさ」で生きられる“街〈CITY〉”
──皆さんがこのCITYの中で暮らすとしたら、どんな生活をしてみたいですか?
小松:街全体での催しもあると思うので、ぜひそれに参加してみたいです! 命が削られそうな気もするんですけど(笑)、とにかく街の人たちと触れ合ってみたいですね。
豊崎:私はまず「洋食マカベ(CITYにある洋食屋)」でご飯を食べたい! 鶴菱さん(真壁鶴菱)ってきっとなんでも作れると思うんですよ。洋食と言いながら、全然洋食じゃないものがいっぱい出てきますよね(笑)。なにか食べたいと言えば、すぐ作れそうなので、初手はマカベに行きたいです。
あと、未可子ちゃんの優しい人の話で思い出したのですが、いい人(キャラクター名)役の水内清光さんが、アフレコで監督に質問していたんですよ。その時、いい人のバックボーンについて、監督が「この人は街の優しさで生きています」って言っていたんです。
──優しさで生きている。
豊崎:これって作品の本質だと思うんですよね。南雲さんは、一生懸命バイトして家賃を稼いでいますけど、それでも基本的には「優しさ」で生きていける街なんだって。それを思うと、本当に引っ越したいと思いました。
石川:私は街の幻の生物になりたいです!(笑)
──(笑)。時折、出没していましたね。
石川:そういう生き物になって街を眺めたいなって。時には発見されたりして、でも「優しさの街」なので、特に捕獲されることもなく……。どんなキャラクターでも認めてくれる街の中で、自由な生活を送りたいです。
──最後に、放送を楽しみにしている視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
石川:とにかくポップで、楽しくて、優しい作品なので、瞬きしないで見てほしいくらいです。
何気ない日常がしっかり描かれていて、ふとした1シーンを切り取っても発見があると思います。心の元気に繋がるような内容になっているので、ぜひ楽しんでください。私も、この幸せな気持ちをお届けできる日が楽しみです。
豊崎:おもちゃ箱の中に3人が入っているビジュアルが出ていましたけど、本当にその通りの作品です。一度手を突っ込んだら、何が出てくるのかわからないドキドキがずっと続きます。
見てくださった方が幸せな気持ちになって、その気持ちがバトンのように繋がるきっかけになれたら嬉しいです。
小松:どのお話からも街の人達の暮らしを体感できますし、『CITY』の住民の気持ちになれるというか、人の生き様に触れられる瞬間が沢山あります。「こういう生き方もあるんだな」と、ある意味で解放されるような感覚をめいっぱい楽しんでいただきたいです!
[インタビュー/タイラ]