市内幼稚園約10施設 運転手の派遣を打ち切り 都内業者が文書で通告
川崎市内の幼稚園に送迎バスの運転手を派遣していた「みつばモビリティ」(本社・東京都港区)が、今年の3月末で運転手派遣を打ち切ることを決め、1月末に各施設に文書で通達していたことが分かった。
「みつばモビリティ」(以下「みつば」)の親会社「ソシオークホールディングス」の広報担当者によれば、同社が運転手を派遣していた市内の幼稚園は約10施設。運転手の残業規制に付随する人手不足などの「2024年問題」の影響により、今年度をもって運転手の派遣契約を解約する内容の文書を、1月末に関係各施設に送付した。
その上で「営業担当者が各園に出向いて今回の決定に関する説明と、新たな委託先などの情報をお伝えした」という。同社からの提案としては、【1】新たな派遣委託先を見つける【2】現在の運転手を新たな業者に再雇用させる【2】現在の運転手を幼稚園で直接雇用する、の3種類。2月下旬までに、「全施設で4月以降の運転手確保の見通しがついたことを確認した」(広報担当者)という。
園長「不誠実」憤り
約120人の園児が通う「川崎ふたば幼稚園」(川崎区)では、約70人が送迎バスを利用している。「みつば」との契約は約20年に及ぶが、同園には1月末に「契約の解約申し入れ」と題する文書が届いたという。
小川哲也園長は唐突な通告に驚き、「みつば」の営業担当者に電話で説明を求め、「文書を送るだけの対応は不誠実だ」と強く抗議した。すると約1週間後、同社の浜地康太社長と営業担当者が園を訪れて謝罪。派遣打ち切りの理由については「恒常的な人材不足と高齢化、諸物価の高騰」と説明された。
派遣打ち切りまで2カ月というタイミングに関しては、契約書内に「契約更新の2カ月前まで解約が可能」という趣旨の文言があることから、同社は「直前まで募集をかけていた」と釈明。しかし小川園長は「もし新たな委託先を探せなかったら、相当な数の園児が通えない事態が発生した。なぜもっと早く情報を共有しなかったのか」と憤る。同園は4月から、新たな会社から運転手を派遣してもらうという。
川崎市幼稚園協会の石渡宏之会長は「送迎バスのドライバー確保は、保育スタッフの確保と同様に、どの幼稚園でも重要な案件。多くの人に送迎バス運転手という仕事を知り、関心をもってもらうことが大切だと思う」としている。