なぜ、ひらがなとカタカナと漢字があるの?
メインパーソナリティ・パンサー向井の周りには、個性豊かなパートナーが勢ぞろい。さらに、お笑い芸人やタレント、アーティストなど、愉快 なゲストが毎日やってきます。
ふらっと こども電話相談室
2024年12月18日放送
パンサーの向井慧が「電話のおにいさん」となって、毎回、様々な質問に合わせた頼もしい先生をお呼びしています。今回の質問は・・・
Q. なぜ、ひらがなとカタカナと漢字があるんですか?(東京都 みあちゃん 9歳 小学3年生)
(回答した先生)金田一秀穂さん/言語学者
向井おにいさん:みあちゃんは、今日はなにをしていましたか?
みあちゃん:午前中に英語教室に行って、そのあと妹と弟と家で遊んでいました。
向井おにいさん:英語教室に通ってるんだ。なにかきっかけはあったんですか?
みあちゃん:きっかけは、まずお母さんにすすめられて、そのあと海外旅行が好きになってきたので、どこかで役立ったらいいなと思ったからです。
向井おにいさん:すごいね。海外は今までどこに行ったんですか?
みあちゃん:中国とハワイとマレーシアに行って、これからニューヨークに行きます。
向井おにいさん:ええーっ、すごいねえ! ニューヨークはいつ行くの?
みあちゃん:ニューヨークは2月に行きます。
金田一先生:寒いぞお(笑)。
向井おにいさん:2月のニューヨーク、寒いよねえ。でも、そのときに英語ちょっとしゃべれたらいいよね。
みあちゃん:そうですね。
向井おにいさん:みあちゃん、今日は聞きたいことがあるんですよね。
みあちゃん:はい、そうです。なぜ、ひらがなとカタカナと漢字があるんですか?
向井おにいさん:これ、どういうときに不思議だなと思ったんですか。
みあちゃん:私はいま中国語を勉強していて、中国には漢字ひとつしかないのに日本にはなぜひらがな、カタカナと漢字があるのか不思議に思ったからです。
向井おにいさん:えっ、中国語も勉強してるの?!
みあちゃん:はい、そうです。
向井おにいさん:確かに、英語もアルファベットだけだもんね。
みあちゃん:はい。
向井おにいさん:さあ、では金田一先生、お願いします。
金田一先生:はい、こんにちは。
みあちゃん:金田一先生、こんにちは。
金田一先生:昔々、日本には文字がなかったんです。だからしゃべるだけだったのね。書くとか、読むとか、そういうことはしなかったんです。
みあちゃん:そうだったんだ・・・!
金田一先生:今から1500年ぐらい前かな。
みあちゃん:へええ。
金田一先生:それで、そのときに中国には漢字があって、中国の人たちが「文字があると便利だよ」って教えてくれたわけ。文字があると便利なんだよね。どうして便利かわかる?
みあちゃん:うーん、手紙とかを書くときにどうしても自分の言葉では伝えられないことを紙に書くと、なんか伝えやすい。
金田一先生:そうだねえ。手紙とか書けるもんね、遠くの人にね。あのね、文字で書いておけば覚えなくていいんですよ。
みあちゃん:ほえ~?
向井おにいさん:文字で残しておけるってことですね。
金田一先生:そうそう。例えば「みあちゃん」っていうお名前を忘れても、「みあ」っていう文字があれば、みあちゃんだよなって覚えていられる。
みあちゃん:うん、確かに。
金田一先生:だから中国の人がいろんな文字を教えてくれたの。それが漢字だったんです。
みあちゃん:おおーっ。
金田一先生:それで日本人は漢字を一生懸命お勉強して、それでもって日本語を書こうと思ったわけ。でも漢字ってさ、難しいじゃない。
みあちゃん:難しいです。
金田一先生:難しいよね。そうすると書くのが面倒くさくなっちゃうんだよね。だからもっとやさしい文字がいいなと思って、日本の人は工夫して、漢字からカタカナを作って、さらにひらがなも作ったんです。
みあちゃん:ほえ~、すごい!
金田一先生:漢字の片一方だけを使って作ったから、カタカナ。それで日本語を書けるようにしたわけ。例えば、「ウ」っていうのは、うかんむりって言うけど・・・。
みあちゃん:はい、知っています。
金田一先生:宇宙の「宇」だよね。その上のところだけを使って「ウ」にしたわけ、日本人は。そのほうが簡単だもんね。
みあちゃん:へえ~っ。うん、確かに。
金田一先生:そうやって、「アイウエオ」っていうのを作っていったわけ。
みあちゃん:ほお~・・・。
金田一先生:ひらがなっていうのは、漢字を続けて書いた字なんです。例えば、安心の「安」っていう字は知ってるよね?
みあちゃん:はい、知っています。
金田一先生:安心の「安」っていう字は、ひらがなの「あ」と似てると思わない?
向井おにいさん:形がね。
みあちゃん:似てます。確かに・・・!
金田一先生:似てるよね。「安」っていう字の上にひらがなで「あ」って書いてみると、ほとんど重なるよね。
みあちゃん:はい。
金田一先生:こうやって漢字から昔の日本人は文字をたくさん作ったわけ。それで「あいうえお かきくけこ」っていうのを書けるようになったわけ。
みあちゃん:すごおい・・・。
金田一先生:大変だったんだよ(笑)。だからカタカナやひらがながないと日本語がうまく書けない。それから例えば「みあ」っていう名前も作れない。「み」の字は、「美」しいっていう字をつないで書いた字なんですね。
みあちゃん:へえええ、そうだったんですね。面白そう。
金田一先生:そうそう、面白いよ。
向井おにいさん:みあちゃん、どうですか?
みあちゃん:はい、わかりました。
金田一先生:ああ、よかった。すてき!
みあちゃん:先生、向井さん、ありがとうございました!
(回答者プロフィール)金田一秀穂さん。祖父・金田一京助さん、父・金田一春彦さんと三代続く言語学者。日本語やことばにまつわる様々な面白そうなことを研究しています。中国の大連外国語学院、アメリカのイェール大学やコロンビア大学で日本語を教えたのち、ハーバード大学客員研究員を経て、杏林大学外国語学部教授に。現在は杏林大学名誉教授で、山梨県立図書館の館長も務めています。
(TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』より抜粋)