ベルリン国際映画祭金熊賞受賞!桃農家を営むスペインの大家族が時代の変化に晒される物語、『太陽と桃の歌』12月13日から全国ロードショー
スペインの女流映画監督、カルラ・シモンが桃農家を営む大家族の物語を映画化した『太陽と桃の歌』が2024年12月13日(金)から全国ロードショーとなる。
監督の生まれ故郷、スペイン・カタルーニャ州アルカラスが舞台だ。監督の父や兄弟たちもアルカラスで桃農家を営んでいたことから、この物語は生まれた。
桃農家を営むソレ家は、夏の収穫を迎え忙しい最中、突然地主から土地の明け渡しを迫られる。桃の木を伐採してソーラーパネルを設置するというのだ。誰よりも桃の木を愛する祖父のロヘリオと、よく働くがすぐ感情的になってしまう父のキメットは拒絶するが、地主は彼らの心を揺さぶるようにソーラーパネルの管理を任せると持ち掛ける。妻のドロルスは、ソーラーパネルで楽に稼いでシチリア島に別荘を借りた知人の話に心を動かされる。そこに要領のいい、妹夫婦も話に絡んでくる。
キメット、ドロルスの夫婦の長男・ロジェーは、桃の栽培に積極的に関わるのだが、桃農家の将来を憂うキメットは自分とは違う道を選んで欲しいと願い「勉強しろ」とロジェーに口うるさくなるのだ。父が腰痛に倒れ、自分が頑張らなければと張り切るロジェーだったが、家を救うため畑の片隅で大麻の栽培を始め、そのうちに自らも吸ってしまい問題をおこす羽目に。亀裂が入っていく家族に、一家の長とも言える祖父の判断とは……。
まだ小さい末娘や妹夫婦の子どもたちは、太陽の光をいっぱい浴びながら畑を遊び場にしてはしゃぐが、家族の雰囲気がギクシャクしているのを微妙に感じているようだ。果たして桃の木の行方は?一家は団結することができるのだろうか……。
スペインの桃はやや平べったく日本の桃とは若干違っている。やや扱いも手荒いような感じも受けたが、ソレ一家の父親も長男も、桃の栽培のために朝から晩までよく働く。農業は重労働であるし気候にも左右される。「楽に稼げる」という言葉に、人間はどうしてこうも弱いのだろうか、と自己反省もさせられた。
ソレ家族は、祖父、大伯母、夫婦と4人の子供たち、妹夫婦とその子供たちと13人の大家族である。監督はあらゆる村のお祭りを訪ね、9000人以上と会い、オーディションの結果キャスティングされた13人である。あたかも本当の家族のようなでそれぞれの関係が自然で温かい。ソレ一家のできごとは、農業に携わる人たちだけの問題ではない。私たちがいろいろな危機に直面した時、世代間の食い違いを克服しながら、よく話し合い、団結することが大切だということを感じるのではないだろうか。
カルラ・シモン監督は、長編映画監督デビュー作『悲しみに、こんにちは』でベルリン国際映画祭最優秀新人作品賞とジェネレーション部門グランプリを受賞した。本作もベルリン国際映画祭で金熊賞に輝き、世界の56の賞にノミネートされ20の賞を受賞した話題作である。
『太陽と桃の歌』
12月13日(金)、全国ロードショー
(C)2022 AVALON PC / ELASTICA FILMS / VILAÜT FILMS / KINO PRODUZIONI / ALCARRÀSFILM AI
配給:東京テアトル
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