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尺八の世界大会を経験 近大高専の藤川さん 伊賀市在住

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コンクールで演奏する藤川さん(本人提供)

 米国テキサス州で4月に開かれた尺八の世界的イベント「WORLD SHAKUHACHI FESTIVAL」内のコンクールに、三重県伊賀市在住で近畿大学工業高等専門学校(名張市春日丘)3年の藤川純真さん(18)=都山流尺八指南=が出場した。各国予選上位の計10人しか立てない特別な舞台を経験し、「得た経験を自分の演奏に採り入れ、もっと腕を磨きたい」と先を見据える。

藤川さん

 地元の「民謡やよい会」で故・曽我岱位山さんに尺八を習っていた父の卓也さんと兄の来真さんの影響で、自身も9歳から習い始め、年1回の発表大会や地域イベントなどに出演し、めきめき上達。近年は都山流の人間国宝・野村峰山さんや尺八奏者の小湊昭尚さんに学び、所属団体の発表会での伴奏やソロ演奏などで多くの舞台を踏んでいる。

 同イベントは4年に1回、日本や中国など奏者や愛好者の多い国と地域で開かれているもので、世界的奏者や研究者らを招いた講演会やワークショップ、コンサートなどが催される。今回は4月16日から5日間、同州東部カレッジステーションのテキサスA&M大学を会場に開かれた。

 最終日にあったコンクールでは日本、中国、米国、香港の計10人が、課題曲と自由曲を10分以内の演奏で競ったが、藤川さんは残念ながら表彰台には上れなかった。数年前に開催を知って目標にしてきた大舞台を終え、「毎日練習しても届かないくらい、世界の壁は高かった」と痛感する一方、「流派や国、人によって多種多様で十人十色。音色の魅力もあり、尺八が世界で親しまれていることを肌で感じた」と振り返る。

兄弟で演奏も

 「タイプは違うが、兄弟ならではの『あうんの呼吸』が心地良い」という来真さんと共演する機会も多く、兄弟ユニット「尺八爽純」としても活動する。ともに最初の師匠・曽我さんの名からそれぞれ「岱爽」「岱純」の名を授かり、藤川さんは今回のコンクールに曽我さんから譲り受けた形見の尺八で臨んだ。

 同高専では吹奏楽部で活動し、さまざまな楽器を奏でる。元来の器用さに加え、3オクターブの音域をカバーできる演奏力、聴いた音を演奏に変換できる即興力も強い武器だ。

 「4年後のコンクールで優勝を目指す」「尺八奏者のプロになること」。世界に触れた藤川さんが目指しているのは、その両方だ。

 藤川さんは自身の各種SNSや動画投稿サイト「YouTube」で出演情報や演奏動画を発信している。

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