猫の『ハイシニア期』はいつから?超高齢猫に起きる変化3つと気をつけてあげたいこと
猫のハイシニア期は何歳から?
猫は、人間に換算すると最初の2年で24歳、3年目以降は4歳ずつ年を取るといわれています。7歳ごろからは「シニア期(高齢期)」に入り、15歳を超えたあたりから「ハイシニア期」や「超高齢期」と呼ばれる段階に差しかかります。
一般社団法人日本ペットフード協会の調査によると、医療の進歩や飼育環境の改善で、猫の平均寿命は15歳を超えています。
世界最長寿としてギネス記録に認定された猫はなんと38歳!人間に置き換えると約170歳に相当するそうです。
ハイシニア期に起きる3つの変化
年を重ねた猫の心と体には、若いころには見られなかったさまざまな変化があらわれます。その代表的な3例を見ていきましょう。
1.食欲が落ちる
高齢になると、消化機能が低下して食欲が落ちます。また、基礎代謝も下がるため必要なエネルギーも減っていきます。食欲が徐々に落ちるのは、自然な現象で過度に心配する必要はないと考えられます。
ただし、腎臓病や歯周病などの病気が原因で食欲不振に陥っているケースもあります。何日も食べない、下痢や嘔吐があるといった症状が見られたら、高齢だからしょうがないと考えず動物病院への受診をおすすめします。
2.寝ている時間が増える
猫はもともと睡眠時間の長い動物で、1日の半分以上を寝て過ごすといわれています。高齢になると、筋力や体力が落ちていくため、エネルギーを温存するために寝る時間はさらに増加します。
しかし呼吸がいつもより速かったり、寝づらそうに何度も体勢を変えたりしている場合は病気が潜んでいる場合があり注意が必要です。
日ごろから様子をよく観察して、体調不良のサインを見逃さないようにしたいですね。
3.夜鳴きなどが増える
猫も年齢を重ねると、認知機能が衰えて認知症のような症状が見られることがあります。夜に何時間も鳴き続ける「夜鳴き」や、意味もなくうろうろ歩き回る「徘徊」などが代表的です。
また、トイレの場所が分からなくなって粗相をする、性格や好みが変わって攻撃的になるなどの症状があらわれる猫もいます。
病気が原因のことも多いので、年だから…と考えずに気になる場合は病院を受診しましょう。
お世話をする上での注意点は
愛猫が高齢になってきたときには、変化や症状に応じて生活のリズムや環境を見直すことが重要です。
お世話をする上で気をつけたいポイントについてもチェックしていきましょう。
食事のコントロール
高齢の猫は食欲が落ちがちです。柔らかく消化の良いフードへの切り替えや、温めたりふやかしたりと一工夫することで食べやすくなるかもしれません。
また、健康維持に欠かせないカルシウムやビタミンなどがとれるよう栄養素にも気を配りましょう。
水分補給もお忘れなく。水飲み場を増やす、ウェットフードを利用するなど、積極的に水分をとってもらえるようにしたいですね。
快適で安全な住環境
睡眠時間が長くなり、足腰が弱くなるハイシニア期の猫。けがのリスクを減らし、安全に過ごせる環境を整えましょう。
具体的には、滑りにくい床マットを敷く、トイレなどの段差をなくす、危険な場所には立ち入れないようにするといった対策があげられます。
また、温かくて床ずれがしにくい寝床を用意して、静かで落ち着ける場所に置いてあげると、猫も安心して快適に過ごせます。
健康診断・動物病院のサポート
病気の早期発見・治療のためにも、ハイシニア期の猫にとって健康診断は特に重要です。半年に1回程度、血液検査や尿検査などを行うことをおすすめします。
猫と生活する中で、気になる変化や症状があらわれたときに気兼ねなく相談できる動物病院を見つけておきましょう。なかには、シニアの動物の治療やサポートに力を入れている病院もあるようですよ。
まとめ
年齢を重ねて心身に変化が起きる猫の様子を目にすると、悲しい気持ちになってしまいますよね。
ただ、若いころよりも性格が穏やかになったり、甘えん坊になったりと嬉しい変化もあるはずです。
悲しいことですが、いつか必ずお別れはやってきます。そのときに後悔しないためにも、ハイシニア期に入る前から準備をしておくと良いかもしれません。
高齢の猫ならではの魅力を感じながら、穏やかで優しさにあふれる素敵な時間が過ごせますように。
(獣医師監修:加藤桂子)