「大抵のことは読書で解決できる」年末年始だから勧めたい!AIを活用したPMO的読書術【連載Vol.11】
エンジニア時代に知りたかった「開発現場の難所」突破のコツ
社会人として日夜活躍されているみなさん。職場の先輩や上司から、「一冊くらいはビジネス書を読みなさい」「本から学びなさい」と言われていませんか?
「毎日忙しいんだからそんな時間ないよ!」「動画を見る方がよっぽど勉強になるのでは?」と思う気持ちはすごく分かります。
実は私も、昔は一切本を読まない人間でした。しかし今では幅広くたくさんの本を読んでいます。といっても現在の読書は、一から自分でページをめくって本を読む必要はありません。
AIとリアルを組み合わせた、いわば「ハイブリッド読書」によって、本の読み方が格段に変わると考えています。必要な情報を効率的に得られる。
今回はそんな「PMO的読書術」をみなさんにお伝えしたいと思います。なおここでいう「本」とは主にビジネス書を指します。
また、本記事で登場するAIという表現は、「本の要約サイト」「解説動画」なども含みます。生成AIで書籍の要約を行う場合は自己責任の範囲で活用ください。
株式会社office Root(オフィスルート)
代表取締役社長
甲州 潤(こうしゅうじゅん)
国立高専卒業後、ソフトウェア開発企業でSEとして一連の開発業務を経験し、フリーランスに転身。国内大手SI企業の大規模プロジェクトに多数参画し、優秀な人材がいても開発が失敗することに疑問を抱く。PMOとして活動を開始し、多数プロジェクトを成功へ導く。企業との協業も増加し、2020年に法人化。さまざまな企業課題と向き合う日々。著書『DX時代の最強PMOになる方法』(ビジネス教育出版社)
目次
なぜ本を読むことが大切なのか?読書レベル別! PMO的読書術どうしても読めないなら専門書や好きな本からチャレンジして本を読むって、尊いこと。読書で世界を広げてみては書籍紹介
なぜ本を読むことが大切なのか?
そもそもなぜ、本を読むことが大切なのでしょうか。大きく分けて二つの理由があると考えています。
一つは、本を読むことで物事を体系的に理解できるからです。例えばWebデザインについて学びたいとしましょう。
本であればそもそもWebデザインとは何か、どんな歴史があるのか、から始まり、具体的な手法までを体系的に学ぶことができます。これに対し、ブログやネット記事は断片的な内容がほとんどで、全体を知ることができません。動画などで学ぶ方法もありますが、形に残らないので記憶するという意味では弱いと感じます。
もう一つは、本はコスパがいいということです。いわゆる「良書」と呼ばれているビジネス書は、業界の第一人者が書いたもの。手ごろな価格でその人の考えに触れられるのは大きなメリットです。
たとえ直接アポイントメントをとらなくても、本を買えばその人の思考を知ることができる。コミュニケーションが苦手でも大丈夫(笑)! 極端ですが私は、情報を得るために行きたくもない飲み会に行くくらいなら、本を読む方がはるかにいいとすら考えています。
読書レベル別! PMO的読書術
では実際、AIを使用したハイブリット読書とはどのように本を読めばいいのでしょうか。まずは、自分が普段からどの程度本を読んでいるのか、チェックしましょう。
ここでは、初心者・中級者・上級者の三つのレベルに分類します。
・初心者……ほとんど本を読んだことがない人。年に五冊未満。
・中級者……ある程度本を読む習慣がある。月に一〜二冊読む。
・上級者……年間百冊程度の本を読んでいる。
初心者は、そもそも本を読む習慣がないため、AIに本の要約をしてもらうことから始めましょう。要点の大枠をつかめたら、実際に本を読んでいきます。そのときぜひ「AI、ここは間違っているじゃん」と疑ってかかるようにしてください。要約されたものをすべて「ああ、そうなんだ〜」と純粋に信じてしまうのは、今後AIを仕事などで活用していくうえでも危険です。AIの要約を、実際の本で答え合わせしていくような感覚で読んでいきましょう。
中級者は、(矛盾するようですが)AIではなくもっともリアルで本を読んだ方がいいフェーズです。読む力はあるので、さらに自分で読み込むことで「ビジネス書ってこんな構成で書かれているのか」という本のパターンを知ることができるからです。ちなみに「イマイチ本を読むスピードが上がらないな」と感じている場合は、紙・電子書籍・オーディオブックなど、あらゆる媒体を試してみましょう。すると「あ、自分はこれならスムーズに読める」という媒体が必ず現れるはずです。そうやって読書のスピードを上げていきましょう!
上級者は、AIで本の要約をしつつリアルでも読んでいきます。初心者や中級者と違うのは「本の基本的な構成を知っている」ことです。例えばリアルの読書においても、「この手の本は最初に著者のプロフィールがあるから、ここは飛ばそう」とか「最終章は著者からのメッセージがほとんどだからここは読まなくいいな」など、不要な部分を読み飛ばし、要点をつかんでいくことができます。
このように本の読み方がわかっている上級者は、AIを使用すると圧倒的なスピードで本を読み進めていくことができます。ちなみに私がビジネス書を読む際に注目するのは「参考書籍」です。いろいろな本を読んでいると、多くの本で引用されている参考書籍が見つかると思います。その場合、「引用元の本を読む」ことで時短をはかっています。
読書レベルによって読書の方法はやや異なりますが、いずれのパターンでも「AIへの要約の指示方法」はマスターしたいもの。適切な指示はわかりやすい文章力が肝となります。いうなれば、読書を重ねることでプロンプトの最適化も学ぶことができるでしょう。
どうしても読めないなら専門書や好きな本からチャレンジして
今回はAIを使用した読書術に関してお話してきましたが、それでもビジネス書を読む気にならないといった場合もあると思います。そんなときはぜひ、技術書などの専門書から始めてみてください。漫画やエッセイなどでもOK。さまざまな本を読むことで「このテイストはすごく読みやすい」「このシリーズなら読めそう」といったことが分かってくると思います。
また、好きな本が見つかったらぜひ、紙、電子書籍、オーディオブックも全て読破してみてください。媒体が変わると、読みやすさやインプットされる部分も変わってくることがあります。
余談ですが、ものすごく好きな原作漫画がアニメや映画になったら、それも見たいと思いませんか?
「あ、アニメではこんな風に表現したんだ」「映画はあの場面カットしたんだな、ふむふむ」など、そうした「違い」も楽しむことができます。一つのコンテンツをいろいろな角度で深くじっくり考察することも、読書する際に使う「読み込む」スキルを養うことにつながります。
ビジネス本であれば、同じ本でも読む時間や場所によって捉え方が変わってくることがあるため、面白い体験ができるでしょう。なおここで言う時間とは、朝昼晩という時間だけでなく、社会人1年目の時、5年目の時、リーダーの時、部門長の時といった時期やタイミングも含みます。
良書と呼ばれる本は、自分の成長具合によって響く箇所が変わってくるので、同じ本を、久しぶりに見返してみるのもとても良いと思います。
以前は自分の読解力や視野が低かったり、経験が浅かったりして気づかなかったことを気づかせてくれるので、本を読むのが楽しくなるはずです。
本を読むって、尊いこと。読書で世界を広げてみては
私はもともと本を読む習慣がなく、社会人になりやや仕方なしに始めた読書でした。しかし、たしかに本を読むことで、幅広い知識や情報がインプットされる感覚をつかむことができました。
私の好きな本の一つ『チ。―地球の運動について―』には「文字は、まるで奇跡ですよ。」という一文があります。まさに文字を読むことは、昔の人の考え方を時空を超えて知ることができる、ということ。だとするならば、読書はもしかしたら過去に戻れるタイムマシンなのかもしれません。
自分が抱えている悩みや、どうすべきか分からないことの多くは、実は過去の偉人たちもすでに通った道であり、大抵のことは読書で解決できると思います。完全に解決できなくても、解決のヒントにはなるはずです。一人で悩み、頑張って成長しようとしなくとも、過去の偉人たちの力を借りて前に進めば良いのです。少なくとも私はそうやってこれまでさまざまなことを乗り越えてきました。
過去に解決済みの悩みはさっさと解決して、本当にあなたが悩むべき事、考えるべき事に集中するようにしましょう!そうすればあなたの過ごす時間はとても充実した素晴らしい時間になるはずです。
長期休みに入るこの時期、AIも活用しながらぜひ読書時間をとってみてはいかがでしょうか。
書籍紹介
『DX時代の最強PMOになる方法』
著:甲州潤
▼こんなエンジニアはぜひお読みください。
・今の仕事に不満を持っていて、現状を変えたいと思っている
・給料をアップしたい
・エンジニアとしての将来が不安だ
・キャリアアップをしたいが、何をしたらいいかわからない
・PMOに興味がある
・PMOとして仕事をしたい
【目次】
第1章 一番稼げるIT人材は誰か
第2章 これからはPMOが1プロジェクトに1人必要
第3章 SEとPMOの仕事は何が違うか
第4章 稼ぐPMOになる7つのステップ
第5章 優秀なPMOとダメなPMOの見抜き方
第6章 PMOが最低限押さえておきたいシステム知識とスキル
第7章 システムは言われた通りに作ってはいけない
第8章 どんな時代でも生き残れる実力をつけよう
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