支援必要な高齢者ら受け入れ 福祉避難所の開設運営訓練 名張で初開催
南海トラフ巨大地震などの災害発生時、避難行動に支援が必要な高齢者らに配慮した「福祉避難所」を開設し、救護の優先順位を付けて移送・受け入れを実施する訓練が1月23日、三重県名張市東田原の在宅複合型施設「グリーントピア名張」で開かれた。
初めて開かれたこの訓練は、市と名張市社会福祉法人連絡会(市川知惠子会長)の共催。2022年11月現在、市内8法人が運営する特別養護老人ホームや知的障害者支援施設など計17か所が福祉避難所に指定されており、今回は同施設を運営するグリーンセンター福祉会(花本克則理事長)の介護士、看護師らが想定に基づいて訓練に取り組んだ。
この日午後1時30分に、同連絡会に加盟する社会福祉法人の職員ら約20人も見学する中、同市で震度6弱の地震が発生した3日後、という想定で訓練がスタート。市災害対策本部から要配慮者4人の受け入れ要請が入り、施設職員が介護度、病気の有無、家族の付き添いの有無などが記された調書を基に判断し、受け入れが可能な旨を対策本部へ返答した。
正式な開設要請が入ると、職員らは1階ホールに介護用ベッド2台、簡易ベッド・段ボールベッド各1台、段ボールの折り畳み式間仕切りなどを手際良く設置。送迎車2台に分乗した要配慮者役の高齢者らが到着すると、看護師が体調や食事、発災以降の困りごとなどを聞き、付き添いの家族がいる人を1階へ、いない人を2階へそれぞれ振り分けた。
訓練終了後の反省会で、参加した職員たちは「トリアージの段階でどこまでの情報が必要か、改めて確認しておきたい」「受け入れ後も感染症対策や心のケアなどに留意したい」「付き添いの家族へ『大変でしたね』というねぎらいの一言が掛けられなかった。少しでも明るく元気に過ごしてもらえるようにしたい」などと感想を話していた。
訓練の様子を見守った北川裕之市長は「訓練のシナリオも想定外のこともある中で、丁寧に聞き取りをしてくれていて安心した」と参加者をねぎらい、「今回限りでなく、来年度以降も続け、少しでも良い対策につなげていきたい」と述べた。