サミュエル・L・ジャクソン、アカデミー賞は「ノミネートされても忘れられてしまう」 ─ 賞レースから距離を置く仕事術
ハリウッドが誇るバイプレーヤーにして名優、サミュエル・L・ジャクソン。80年代後半から、ジャンルやスケールを問わず多数の作品に出演しつづけてきた彼は、2021年にアカデミー名誉賞を贈られているが、意外にも受賞経験はなく、ノミネートも『パルプ・フィクション』(1994)で助演男優賞の候補となった一度きりだ。
過去にも賞レースについて「望むほどにウンザリする」と話していたサミュエル。「この役でオスカーをもらうべきだったとか、あの役でオスカーいけるはずだったとか、考えるけれど実現しない」「何年も前に悟ったから、自分にとっては大したことじゃない」と自身のスタンスを。
米の取材で、サミュエルは再びアカデミー賞との距離感を語っている。「この業界に長くいるからわかる。みんなは“ノミネートされるのは名誉なことだ”と言うけど、そんなことはない。受賞することが名誉なんだ」と、辛辣なジョークを口にした。
「ノミネートされると、みんなに“覚えてますよ”と言われるけれど、たいていの人は忘れてしまうんです。[中略]“ノミネートされた映画はなんてタイトルだっけ?”って。終わってしまえば、誰が受賞したのかを思い出すことさえみんな苦労するものですよ。」
サミュエルは、アカデミー賞を「基本的に自分から進んで参加するものではないコンテスト」と呼ぶ。たしかに、映画スタジオの熱心なプロモーションや業界内政治が毎年のノミネーションを左右していることは暗黙の了解だ。「僕はそこに入らなかったから、のびのびとやれてきた。“僕に出番をください、そうすれば人に覚えてもらえるから”ってね」。
『アベンジャーズ』『スター・ウォーズ』シリーズやファミリー映画、アニメーション作品にも出演してきたサミュエルは、以前にもアカデミー賞は「役者としての成功や失敗を測る“ものさし”ではない」と話していた。「成功の基準は、僕が幸福かどうか。やってて満たされることは何か?賞レース狙いの映画はやらないこと。ニック・フューリーとか、メイス・ウィンドゥをやってライトセーバーを持っている方が楽しいですよ」。
わざわざ賞レースに参戦するのではなく、自分が望む作品と役どころを“のびのびと”演じる精神。それこそがサミュエルのキャリアを築き上げてきた、健康的に働きつづけるための仕事術なのだろう。
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